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第3部 シュレトの首飾り:6 シュレトの心の影

 「どうして、お前達がアークの鏡を持っているんだ!」

 ケイは自分の耳を疑いました。顔から血の気が引いていくのが分かりました。

 「シュレト、今、何て言った?」

 「お前達、これをどうやって手に入れた?どうしてこれを持っているんだ!」

 「今、アークって言ったよね?」

 「うるさい、俺が質問しているんだ!答えろよ!これを何処で手に入れたんだ!」

 シュレトはケイの言葉に耳を貸そうとはせず、怒ったように怒鳴るばかりです。

 「答えろよ!これを何処で…」

 「シュレト!」

 再びタエが大声に驚いて飛び上がりました。しかし、今度叫んだのはシュレトではなく、ケイでした。シュレトはケイの声に少しだけ大人しくなって、彼を見下ろしました。

 「シュレト、今確かにアークって言ったよね。アークのことを知っているの?」ケイは震える声で言いました。

 「うるさい。質問しているのは俺の方だって言っているだろう!答えろよ、これをどうしたのかって聞いているんだ!」

 「シュレトはアークのこと、何か知っているんだ。アークの鏡って何?どうしてシュレトが、アークの鏡を持っているのか教えてよ」

 シュレトはいらいらしたように、首を振りました。「おい、質問しているのは俺だって言っているだろうが。答えるのはお前の方だ。これを何処で手にいれたんだ!」

 ジョーカーズの皆はおろおろして、二人のやり取りを見ているしかありませんでした。ついにケイが手を上げて、シュレトを黙らせました。

 「分かった。シュレトが聞きたいっていうことに、ちゃんと答えるよ。全部話すって約束する。だから、アークのことで知っていることを、僕達に話してくれないかな」

 「ケイ、でも、そうしたら…」皆は驚いてケイを振り返りました。

 「こうなってしまったら、話すしかないよ。シュレトが聞きたいことはちゃんと話すよ。約束する。どうして僕達がかけらを持っているのかも、全部教える。だから、アークのことを教えて」

 シュレトはしばらくケイを見て考えていましたが、やがて大きく首を振りました。

 「駄目だ。まずお前が先だ。お前が先に、俺の質問に答えろ」

 「そうしたら、アークのことを教えてくれるって、約束する?」

 「…いいだろう。ただし、出鱈目を言って誤魔化そうとしたら、許さないからな」

 「分かった、じゃあ話すよ」ケイは一息ついてから始めました。「どうして僕がそれを持っているのかというと、ある人から頼まれたんだよ。突然鏡のかけらを一つ渡されて、アークという人物を捜してくれって。そして、まだ理由は分からないんだけど、彼を捜し出すのに、鏡のかけらが重要な意味を持っていると分かってきたんだ。そんな時、シュレトが鏡のかけらを持っていることを知って、アークに関係するのかどうかを、どうしても調べてみたいと思ったんだ」

 「ある人からかけらを渡されて、アークを捜してくれって頼まれたって?あいつ、やっぱりいなくなっちまったのか」シュレトは最後の部分を、独り言のようにつぶやきました。しかし、すぐに疑いの目を向けて、「誰が、どうしてお前にアークを捜せなんて頼んだんだ?」

 「ケイが今言ったことは、全部本当のことなんだ。ケイはどうしても、アークを捜し出さなくちゃあならないんだよ。協力してくれ、頼むよ。アークって一体何者なんだ?」

 ニールが痺れを切らしたように言うと、シュレトはしばらく考えてから口を開きました。

 「アークは、俺ががきだった頃の友人だよ」

 シュレトの思いがけない答えに、ジョーカーズは言葉を失いました。

 「ゆ、友人?つまり、友達だったってこと?」

 「ハ、ハックション!」

 突然、シュレトは大きなくしゃみをしました。彼はお風呂あがりで、ズボンははいていましたが上半身は裸のままで、長い髪からは滴が流れ落ちていました。

 「ハックション!」シュレトはまた大きなくしゃみをして、震え出しました。

 七月下旬になり、季節は夏になったといっても、ケイの知っている日本の夏のように湿気はなく、夜になるとぐっと気温が冷え込んだりするので、お風呂あがりにずっと裸でいるなんて、体を冷やして当たり前です。

 「大変。そんな格好じゃあ、風邪を引いちゃうわよ」ノエラは慌てて上に羽織るものを取りに行きました。

 

「はい、熱いスープです。体が温まりますよ」

 ミミが熱々のスープを運んできて、シュレトに渡しました。

 「ありがとう、ミミ」

 シュレトは受け取ったスープ皿を、両手で包み込んで手を温めました。すっかり体を冷やしてしまったシュレトのために、ケイ達は鏡のかけらをめぐる口論を一時中断して、シュレトの体を温めるために動き回りました。そして今、ようやく全員居間に落ち着いて、ミミのスープを飲むことになったのでした。

 「うん、こいつは美味い。最高だぜ」シュレトはスープを一口飲んで感激しました。

 彼は少し落ち着いていて、先程の怒りも多少おさまっているようでした。

 「ありがとう」タエがそう言ってから、はっと顔を赤くしました。

 「何で、お前が言うんだよ。俺は作ってくれたミミに言ったんだぜ」シュレトは呆れてタエを見ました。

 「ありがとうございます」ミミが慌ててそう言って、笑いました。

 「ところで、さっきの話だけど」ウィルが真面目な顔で言いました。「ケイがさっき言ったことは、本当の話なんだ。彼はアークを捜すことを頼まれて、鏡のかけらを渡されたんだよ」

 「誰がどうして、そんなことを頼んだんだよ?」

 ケイはシュレトがスープを飲む間に、ジョーカーズに話したように、綱渡り師からアーク捜しを頼まれた経緯を、詳しく話して聞かせました。今回ももちろん、鏡の向こうから来たなんてことは話す訳にはいきませんでしたが、それ以外のことはなるべく詳しく話しました。

 話を聞き終わって、シュレトはテーブルの上にあるケイのかけらを手に取りました。

 「この一枚が、綱渡り師から預かったかけら。それじゃあ、もう一枚はどうしたんだ?」

 途端にジョーカーズ全員、居心地悪そうにもぞもぞし始めました。

 「ちょっと言いにくいんだけど、実は…」

 ケイは二枚目のかけらをどうやって手に入れたのか、正直に話しました。まず、自分は綱渡り師から与えられた不思議な力によって、夢でヒントを得るようになったこと。そして、パンドラの箱に行き当たり、苦労の末に、二枚目のかけらを手に入れるのに成功したこと。

 「ええ?ファンフェアーの劇場での停電事件は、お前達の仕業だったのか?」シュレトはケイの話にすっかり仰天してしまいました。

 「その後、シュレトが出てくる夢を見たんだ。おまけに、サムとタエが偶然、シュレトが鏡のかけらを持っているのを見た。だからアークに関係あるんじゃあないかと思って、それで内緒でかけらを調べてみようって考えたんだよ」

 「偶然見たって、お前達、何処で見たんだ?」シュレトがサムとタエの方を向きました。

 「裏の工場跡だよ」サムが罪を告白するように、肩を落として言いました。

 「工場跡だって?お前達、あそこで何をやっていたんだ?立入禁止だって言われているだろう。アレスタにばれたら、どうなるか分かっているのか?まあ、俺が言える筋合いもないけど」

 「僕達は、あそこで探検をして遊んでいたんだ。その時、シュレトがやって来て、ケイのとそっくりのかけらを袋から出して、眺めているところを偶然見たんだ。だから、夢のこともあったし、きっとアークに関係があると思ったんだよ」タエが小さくなって言いました。

 「なるほど、そういうことか。それでお前達は食い物を使って、俺をわざわざ呼び出したんだな。…ってことは、待てよ。それじゃあ、ジュースをぶっ掛けたのも、わざとだったってことだよな!」シュレトが声を荒げました。

 皆、ぎくりと体を強張らせてしまいました。

 「だ、だって、いや、俺達だって色々考えたんだぜ。どうやったらシュレトに気付かれずに、こっそりかけらを調べられるかって。でも、寝る時と風呂に入る時以外は、飾りを外さないって言うからさ」ニールが慌てて言い訳を始めます。

 「だから、シュレトを風呂に入らせて、その間にこっそり首飾りを抜き取って、風呂を出る前に元に戻しておけばばれやしないって、そう考えた訳か」シュレトがじろりとニールを睨みつけました。「俺を風呂に入れるために、わざと頭からジュースをぶっ掛けたってのか?他にもっとましな方法はなかったのかよ!やっぱりジョーカーのお前に関わると、ろくなことがない」シュレトが苦々しく言いました。

 「全部俺のせいって訳じゃあないだろ」ニールが膨れて反論しました。

 「じゃあ、一体誰が、俺にジュースを掛けるって方法を思いついたんだ?正直に答えろ」

 するとジョーカーズ全員が、ちょっと考えてから一斉にニールを指差しました。

 「ほらみろ、やっぱりお前じゃあないかよ!」

 「そ、そうでした」ニールはシュレトのこぶしを、身をかがめて間一髪避けました。

 「嘘をついたりしてごめんなさい。スープも本当はミミのじゃあなくて、タエが作ったのを手伝っただけなんです」ミミが申し訳なさそうに謝りました。

 「だからさっき、俺の褒め言葉にタエが反応したんだな。いいんだよ、ミミ」シュレトはミミに優しく微笑みました。「しかし、何だってお前達、そんなにこそこそする必要があるんだ?俺に直接頼めば済むことじゃあないか」

 「そんなこと言っちゃって、俺達が頼んだら、素直に見せてくれたのかよ?」

 ニールが言うと、シュレトはあっさりと首を振りました。「見せる訳がないだろ」

 「どうして袋にかけらが入っているのを知っているんだ、なんて聞かれたら、工場跡にいたことがばれちゃうでしょう。だからシュレトに知られないように、どうにかして、かけらを内緒で調べる方法を考えたんじゃあないか」サムが言いました。

 「それにシュレトのかけらが、僕達の求めているかけらだっていう確信がなかった。もし全然関係なかったら、何も知られない方がいいもの」ウィルが言いました。

 「でも、俺のかけらがお前達の探しているものだって分かっても、俺には何も知らせるつもりはなかったんだろう?どうせ、また変な作戦とやらを考えて、俺がどうしてかけらを持っているのか探ろうとはしたんだろうけど」

 「仕方ないよ。なるべく誰にも知られないようにって、綱渡り師から言われたんだもの」

 ケイの言葉に、サムも頷きました。「そうだよ。じゃあなかったら、停電騒ぎを起こす必要なんてなかったんだからさ」

 「それもそうだな。そして今回、俺にまんまと見つかって、その上、俺の口からアークの名前が飛び出したんで、びっくり仰天って訳か」

 シュレトは突然、真剣な顔になりました。そしてスープを見下ろして黙ってしまいました。

 「シュレトはアークが何処にいるのか、知らないの?居場所を知っているんじゃあないの?」

 ケイはすがるように尋ねましたが、シュレトは首を振りました。

 「残念ながら知らないんだ。もう会わなくなって七年になる。あいつが今何処でどうしているのか、俺の方が教えて欲しいくらいだよ」シュレトは寂しそうに言いました。

 「アークについて知っていることを、話してくれないかな。僕達は彼について、何一つ知らないんだよ。少しでもヒントが欲しいんだ」

 ウィルが頼むと、シュレトは一度かけらを見つめてから、決心したように頷きました。

 「分かった。お前達を信用するよ」そして、話し始めました。「俺は子供だった頃、金持ち連中の嫌がる、汚い辛い仕事を受け持つ清掃屋に雇われていた。その仕事で俺は、色々な貴族の屋敷に出入りしていて、その中にアークの住むドリー家があった。仕事で何回か会っている内に、あいつと仲良くなったんだ」シュレトの表情が、懐かしさのためかほころんでいきました。

 「やっぱり、アークは貴族だったのね。ねえ、アークってどんな人だったの?背が高くて、すらーっとしたハンサムだった?」ノエラが期待に目を輝かせます。

 「さあ、今はどうか知らないけど、最初に会った時、身長はこれくらいだったかな」

 シュレトは笑って、ミミの頭に手を置きました。

 「え?ミミと同じくらいってこと?ちょっと、冗談は止めてよ」

 「冗談なんかじゃあないさ。本当はもっと小さいくらいだったんだ。それでも、年の割には背が高い方だったと思うぜ。だってアークはあの時、まだ四才かそこらだったから」

 「四才?」皆びっくりしてしまいました。

 「それじゃあ、シュレトは一体いくつだったのさ。まさか赤ん坊の時から、清掃屋で働いていた訳じゃあないんだろう?」ニールが慌てて聞きました。

 「人を化け物みたいに言うなよ。俺はその時、確か十才だった」

 「とすると、アークはシュレトよりも年下だっていうの?」

 「お前達、勝手にアークを随分年上に考えていたみたいだけど、あいつは俺より六つ年下なんだぜ。俺は今十九才だから、アークは今十三才だな」

 「えーっ、私と同い年なのね。それにケイとも?」ノエラが驚いて叫びました。

 「アークはてっきり大人だとばかり思っていた。驚いたな」ケイも唖然としてしまいました。

 「素敵な貴公子みたいな人だと思ったのに」ノエラががっかりと肩を落としました。

 「まだ幼くて、素敵な貴公子とはいかなかったけど、ハンサムかと言えばハンサムだったぜ。やけに顔の整った子供だったよ。大人達は天使のようだって言っていた」

 「それ、本当?」希望が戻ったのか、ノエラがまた目をキラキラさせました。

 「でも、貴族の子供が清掃屋と仲良くなるって、珍しいね。普通は親が嫌がって、会わせないようにするだろう?」ウィルが言いました。

 「普通はそうだな。でも、アークがいたドリー家は変わっていた。父親は別居状態で、母親は冷たくて社交的な人ではなかった。女中から聞いた話さ。アークは両親にあまり愛されていなくて、放っておかれていた感じだった。だから俺と仲良くしているのにも、親は気付かなかったんじゃあないか。アークも寂しくて、俺に近づいてきたのかもしれない。俺がアークだったら、あんな屋敷に一人ぼっちで、親は冷たいし友達もいないなんて、耐えられなかっただろうな」

 「アークには、兄弟がいなかったのですか?一人っ子だったのですか?」

 ミミが尋ねると、シュレトはちょっと考えました。「そういえば、確か弟が出来たって話を聞いたことがあったけど、俺は一度も見たことはなかった」シュレトは残っていたスープを一口で飲み干しました。「俺は用もないのにドリー家の庭に忍び込んで、アークに会いに行っていた。庭師のじいさんと顔馴染みになって、その人の協力もあって、結構頻繁に遊びに行っていたんだ」

 どうやらドリー家の使用人は、両親から冷たく扱われていたアークに同情的で、アークの唯一の友達になった清掃屋のシュレトに、好意的であったようでした。

 「それが、どうして今はアークと全然会っていないの?アークは何処にいるの?」ケイが尋ねました。

 「あいつが何処にいるのか、本当に知らないんだ。最後に会ったのは、もう七年も前になる。あいつ、いきなり俺を訪ねてきて」シュレトはじっと宙を睨みました。「本当に驚いた。突然あいつが、アローズ街の工場に夜中にやってきたんだ。その頃俺は、昼は清掃屋として働き、夜は工場で仕事をするようになっていた。アークはそのことを知っていたんだ。あいつが俺を訪ねて来ることなんて、それまで一度もなかったから、何事かと思った。あいつはアローズ街が何処にあるのかも知らなかったくせにさ、やっとの思いでたどり着いたんだろう。たった一人で俺に会いに来たって言うんだ。真っ青な顔色で、目が泣き腫らしたみたいに真っ赤に腫れていて、ただ事じゃあなかった。俺は聞いたよ、何があったんだって。だけど、別れを言いに来たって、それしか言わないんだよ」

 シュレトはさっきの怒っていた姿からは信じられない程、今は毛布に包まって悲しく身を縮めていました。ケイはそんなシュレトの姿を見て、胸が締め付けられるような気持ちになりました。

 「別れを言いに来た、今までありがとう。シュレトはたった一人の親友だ。そう言って、これを俺に渡したんだ」シュレトはそう言って、自分のかけらを手に取り、悲しげに見つめました。「これはいつまでも友達である証だって言った。これ以外に俺にやれるものなんて何もないって。今思えば、どうして割れた鏡のかけらなのか不思議に思うけど、その時はあいつの別れの言葉に動揺して、何も考えられなかったんだ」

 「別れを言いに来たって、一体アークに何があったの?」ウィルが尋ねました。

 「俺は問い詰めたよ、別れってどういうことだ、何処かに行くのか、何があったんだって。でも、あいつはただ、ありがとうって繰り返すだけで、何も話してはくれなかったんだ。俺はあいつが話してくれるまで、意地でも引き止めるつもりだった。でも…」シュレトの表情が苦痛に歪みました。「でも俺は、その時仕事中だったんだ。工場の役員が飛んできて、すぐに仕事に戻るように怒鳴られた。俺は抵抗したけど、殴られて無理矢理連れ戻されたんだ。アークはもう行くからって言って、去っていってしまった。俺はあの時、あいつを追い掛けたかったけど、仕事を追い出されるのが怖くて、工場に戻るしかなかった。朝一番にドリー家に行けば、どうにかなるかと思って…。でも…」

 シュレトはそれ以上言葉を続けられずに、毛布に顔を埋めてしまいました。居間に重苦しい沈黙が漂います。皆はシュレトの話に、昔のひどかった自分達の暮らしを思い出しているのです。

 「でも、遅かったんだ。明け方近くまで俺は働いて、起きた時は、もう昼近くになっていた。そして、すぐに清掃屋の仕事に行かなくてはならなかった。結局、ドリー家に行けたのは、二日も経った後だった。ドリー家は何かあったみたいにごたごたしていて、アークに会うどころか、俺はすぐに追い返された。それからドリー家での仕事はぱったりとなくなって、それまで優しかった庭師や使用人達は急によそよそしくなって、俺は完全にドリー家から閉め出されたんだ。その後も時々行っては、様子をうかがったりしていたけど、その数ヵ月後にアローズ街の工場爆発事故が起きて、何もかもが混乱してしまい、ドリー家に行く暇すらなくなってしまった。俺は生活も環境も一変して、アークのことはそのままうやむやになってしまったんだ。それ以来、あいつには会っていない」シュレトは人目をはばからずに、濡れた目を拭います。「今でも、自分に腹が立ってしょうがないんだ。あの時、仕事をくびになっても、アークを追い掛けていくべきだったんだ。どうして、親友が大変なことになっているのに、自分の身の安全を考えてしまったんだろう。夜一人でアローズ街に来るなんて、余程のことだったろうに、俺は何もしてやれなかったんだ。俺に助けを求めに来たのかもしれないのに、力になってやれなかった。俺があの時引き止めていたら、あいつが消えてしまうことはなかったんだ。それを考えると、死ぬ程自分に腹が立って、何度後悔したか分からない」

 シュレトは涙をこぶしでぎゅっと拭いました。ケイはシュレトの涙を見て、胸が苦しくなりました。すると、頭がそれに同調するように激しく痛み始めました。

 「アークはシュレトに別れを言いに来たのか。彼はその後、何処かに消えてしまった。それで綱渡り師がアークを捜すために…。そういうことか」ウィルが納得して頷きました。「シュレトもその夜以来、彼が何処かに行ってしまったと考えているんだね。もしかして、アークは家出をしたと?」

 「ああ、俺はあいつが家出をしたんだと思う。家を飛び出して、俺に会いに来たんだろう。あの夜以来、もう一度あいつに会って、追い掛けずに仕事に戻ってしまったことを謝りたいって、思い続けてきた。あいつがくれた鏡のかけらを眺めながら、何度も何度も、あいつと最後に会ったアローズ街の工場で、あの夜の出来事を一生懸命考えたよ。アークはあの夜、本当は俺に、何か他に伝えたいことがあったんじゃあないのか。鏡のかけらに、あいつが伝えたかった何かが隠されているんじゃあないか。俺が気付いてやれなかった何かがあったんじゃあないかって。何度も、何度もさ…」

 「それで、シュレトはよく裏の工場跡に行っていたんだ。工場跡の死者の霊にとりつかれた噂が立ったのは、そのためだったのか」ニールが手を叩きました。

 「この前、僕達が偶然工場跡で見掛けた時も、そうだったんだね。かけらを見つめて、アークのことを考えていたんだ」サムがしんみりと言いました。

 「でも、おかしいわよ。シュレトがアークに最後に会ったのは、七年も前なんでしょう?それなのに、今頃綱渡り師が行方を追っているなんて。七年間もずっと捜していて、まだ見つかっていないってこと?」

 「大人が七年掛かっても駄目なのに、僕達に出来るかなあ」タエが心配そうに言います。

 「何言っているんだよ。大人に出来なかったからって、俺達に出来ないって勝手に決めつけるなよ。考えてみろよ、綱渡り師は鏡のかけらを一つしか持っていなかった。それに比べて、俺達はかけらを三つも手に入れたんだぜ」ニールが明るく言いました。

 「そうだよ、僕達は確実にアークに近づいている。きっと彼を見つけられるさ」

 ウィルが言うと、ジョーカーズの気分は一気に盛り上がりました。

 「その通りだ。絶対にアークを見つけてやるぞ!」サムがこぶしを振り上げました。

 「俺も、協力するぜ」シュレトが力強く言いました。「俺にも手伝わせてくれ。俺もアークをどうしても見つけたい。会って謝りたいんだ、あの夜のことを」

 「シュレト、本気なの?」頭痛が引いていくのを感じながら、ケイは目を丸くして尋ねました。

 「俺は今まで、かけらを見つめて考えることしか出来なかった。あいつを捜そうにも、どうしていいのか分からなかったんだ。俺に出来ることは何でも協力する」

 「それは願ってもないことだよ。ありがとう」ケイは喜んで言いました。

 「アークを知っているシュレトが加われば、百人力だな。かけらをこっそり見たことがばれた時は、どうなることかと思ったけど」

 「頼むから、もう二度とジュースを掛ける真似だけは、ご免だぜ」

 シュレトがニールを殴る真似をすると、皆笑い出しました。

 「それじゃあ、今から僕達がこれまで集めた情報を話すよ。まずこれを見て欲しいんだ。シュレト、君のかけらをちょっと貸して」

 ケイがシュレトからかけらを受け取って、他の二枚のかけらとパズルのように合わせて見せました。シュレトは驚いて、ぴったりと合わさった鏡を見つめました。

 「本当に同じ鏡のかけらなんだな。改めて見せられると、さすがに寒気がするな」

 「僕達は、今までこの鏡がアークの物なのかどうか、はっきりとは分からなかったんだよ。だけど、シュレトの話で、やっとアークの物だって確認出来たんだ」ケイが言いました。

 それからウィルが、今までジョーカーズが集めてきたバスク家に関する情報、初代ラドについて、そしてルーナンの鏡のことを話しました。シュレトは感心して、じっとウィルの話に耳を傾けていました。

 「確かに俺も、このかけらがバスク家の鏡だって思ってはいたけど、まさかその中でも、初代ラドの作った大層な代物だったなんて、考えもしなかったよ。俺のかけらを合わせて、全部で三枚のかけらが集まったのか。でも、どうして鏡のかけらがアークを捜すヒントになるんだろうな」シュレトはかけらを見つめて眉をひそめました。

 「これから、僕達がやるべきことは」ウィルが全員を見回しました。「レメテック墓地を徹底的に調べることだ。ケイが見たシュレトの夢は解決した。後は、もう一つの夢が示しているレメテック墓地だ」

 「シュレトは、アークとレメテック墓地って聞いて、何か思い当たることはないの?」ノエラが聞きました。

 「別にないな。幼い子供が、墓地と関わりがあるとは考えにくいしなあ」

 シュレトは今の仕事が明後日に終わって、三日後から休暇に入るので、そうしたら、すぐにジョーカーズと一緒に墓地へ行くと約束をして、その日は帰ることにしました。

 「体が冷えて、背中がぞくぞくするんだ。早いとこ帰って大人しくしていた方が良さそうだ」

 「じゃあな、シュレト。また三日後に」

 ニールがそう言うと、シュレトは玄関を開けようとした手を止めて、振り返りました。

 「おい、ジョーカー。また三日後じゃあないだろう。お前もだよ、ウィル。今夜また俺に会うだろう。集会があるのを忘れたのかよ」

 「あ、そうだった!すっかり忘れていたよ」ウィルとニールは同時に叫びました。

 「ちゃんと来いよ、お前達。さぼったらアレスタに怒鳴り散らされるぜ」

 「そのまま忘れさせてくれていたら、よかったのに。そうしたら、さぼったんじゃあなくて、忘れていた、で済んだのに」ニールが恨めしそうにシュレトを睨みます。

 「アレスタにとってはどっちも同じだ。たっぷりお説教されるのがおちだぜ。じゃあな」

 シュレトはジュースの染みが乾いていない上着を脇に抱えて、ドアから出て行きました。

 

夕食を終えた後、ウィルとニールは集会に出掛けて行きました。部屋に入ると、各グループのリーダー達が、もうほぼ全員集まっていました。

 「シュレトは、まだ来ていないみたいだな」ウィルがさっと部屋を見回して言いました。

 「まさか、俺達にはさぼるなとか言っておきながら、自分は来ないつもりなんじゃあないだろうな」

 集会の始まる時間になっても、シュレトは姿を見せませんでした。さすがに他のリーダー達も、シュレトが現れないのを不審に思って騒ぎ始めました。すると玄関のドアが開く音がして、誰かが入ってきました。それはシュレトではなく、ネルでした。

 「あ、あの、シュレトが風邪を引いたみたいで、集会に来られなくなっちゃったから、僕が代わりに来ました。」ネルは上着の袖をもじもじいじりながら、小声で言いました。

 「風邪?シュレトが?」

 アレスタが隣に座っているクレイを振り返ると、彼も少し目を丸くします。

 「じゃあ、しょうがねえな。それなら集会を始めるとするか。ネル、その辺に座れ」

 ネルはアレスタに言われて、ウィルとニールの隣に座りました。

 「シュレトが風邪?あのジュースのせいに違いないぜ」

 「シュレトが風邪を引いたって、本当?」ウィルは小声でネルに尋ねてみました。

 「うん。外から帰ってくるなり、夏だっていうのに寒い寒いって言って、上着を何枚も羽織って震え出したんだよ。熱も少し出てきたみたいで、集会にはとても出られないって」

 ウィルとニールは気まずそうに、互いの顔を見つめてしまいました。

 集会が終わって部屋に戻った二人は、早速シュレトのことを皆に話しました。

 「シュレトが、風邪を引いた?」

 皆は心配そうな表情で、互いの顔を見つめ合います。

 「三日後には、元気になっているかなあ」サムがすまなそうにつぶやきました。

 「お風呂あがりで体を冷やしたせいで、風邪を引いたんだ。僕のせいだ」

 「ケイ、君のせいじゃあないよ。それに、風邪くらいで心配するような、弱い人間じゃあないだろう、彼は」ウィルは皆を元気付けるように言って、笑いました。「それより、これ、ケイにだって。アレスタから渡されたんだ。アローズ街に届いた手紙で、君宛だって」

 ウィルはポケットから黄色い封筒を取り出して、ケイに差し出しました。

 アローズ街に届けられる手紙は、一度アレスタの所に集められてから、皆に配られます。もっとも、手紙を送ってくれる知人がいる者は、ほんのわずかしかいないのですが。

 「僕に手紙?何かの間違いじゃあないの?」

 ケイは困惑しました。鏡の世界に手紙を送ってくれるような人など、いるはずがありません。それはケイ自身が一番良く知っていることでした。見ると、ウィルもニールも困惑した表情をしていました。彼らも、ケイにそんな知り合いがいないことを、百も承知だったのです。

 「でも間違いなく、この手紙はケイ宛に送られてきているんだ。ほら」ウィルは封筒の表を向けて、宛先の住所を指差して見せました。

 『ロース町二十四―三 コナート通り十八番地 アローズ街のケイ様』

 ケイは目を見張りました。確かに封筒には自分の名前が書いてあります。

 「もしかして、ケイの家族からですか?」ミミが小声で言いました。

 ケイは手紙を受け取って、自分の名前をもう一度確認してから、裏返してみました。しかし、そこには送り主の名前も住所も書かれてはいませんでした。

 「誰か、心当たりはないの?」サムが聞きました。

 「全然ないよ。僕は知り合いなんて、誰もいないんだもの」

 思わず、こちらの世界には、と言おうとして、ケイはぐっとその言葉を飲み込みました。

 「どうしよう、これ」ケイは気味悪そうに封筒を持ったまま、双子の顔を見上げました。

 「どうしようって、そりゃあ、開けてみるしかないだろう」ニールが言いました。

 ケイはちょっとためらってから、封筒を開けました。一体誰が自分に手紙なんか送ってきたのでしょう。もしかして、綱渡り師ストライザ?しかし、彼はケイがアローズ街にいることを知るはずがありません。じゃあ誰が?

 黄色い封筒を開けると、中からまた別の封筒が、折りたたまれた手紙と一緒に出てきました。今度の封筒は眩しいくらいに派手な金色で、美しい二つの仮面が描かれていて、左上に字が印刷してありました。

 『カテイズ町 公園横丁二〇二番地 ブティーペティー劇場』

 「ブティーペティー劇場?町の劇場から?」

 ケイが驚いて手紙を見ると、小さな字で『モーティシーより』とありました。

 「モーティシーからの手紙だ」ケイは手紙を広げて、声を出して読み始めました。

 「『親愛なるケイとジョーカーズの皆様。ファンフェアーの後も元気にお過ごしですか?私は次の仕事が始まるまでの少しの間、久しぶりに休暇をもらってのんびりしています。ところで、うちの劇場では先週から新しい劇が上演されています。あなたがブティーペティー劇場に来てみたいと言ったのを、覚えているかしら?いい機会だから、この劇に皆様を招待したいと思います。趣味の悪い同封の金封筒(これはブティーペティー劇場の公式封筒なの。ダーク兄弟の趣味であって、私の趣味ではありません。一応断っておくけど)に全員分のチケットが入っています。もし予定が合わなければ、連絡くださいな。それでは、劇場で会えることを楽しみにしています。あなたの友、モーティシーより』」

 「本当?素敵!」ケイが手紙を読み終えると、ノエラは興奮して叫びました。

 ケイは手紙と一緒に入っていた、金色の封筒を開けてみました。中にはモーティシーが手紙で言っていた通りに、全員分の劇のチケットが入っていました。

 「すごい、本物のチケットだ!」ニールがチケットを取り出して、しげしげと眺めます。

 ジョーカーズの皆は、嬉しそうにはしゃぎ始めました。ケイも信じられない思いでチケットを手に持って、もう一度モーティシーの手紙を読み返しました。

 「モーティシーは、僕の言ったことを覚えていてくれたんだ」

 劇場に行けることはもちろん嬉しいのですが、それ以上に、モーティシーの優しさが、ケイにはとても嬉しかったのでした。

 

次の日の夕方、ケイはシュレトの様子をうかがいに行くことにしました。もしかしたら、彼の風邪は案外ひどいかもしれないし、そうしたら、三日後に一緒にレメテック墓地に行く約束を、変更しなくてはならないからです。それに、ジュースのせいで風邪を引かせてしまったことを、謝りたいと思ったのでした。

 ケイがジュニアを連れて三号館の階段を下りていくと、丁度階段を上がってくるベニにばったりと会いました。ベニはいつものように、ケイを見て嬉しそうに顔を赤らめました。

 「ケイ、丁度良かった。実は、シュレトからの伝言を届けに来たの。風邪の具合によっては、約束の日を先に延ばすようにしてくれと、そう伝えてくれって」

 「シュレトがそう言ったの?やっぱり風邪がひどいんだ。彼の具合はどう?」ケイは心配そうに尋ねました。

 「少し熱があって、今日は仕事を休んだの。でも、きっとすぐ元気になると思うわ。ところで、彼と何を約束したの?日を先に延ばすって、まさか、カードの約束?」

 ケイはちょっと考えてから言いました。「違うよ。一緒に出掛ける約束をしていたんだ」

 「出掛ける?ずるいわ、シュレトばっかり」

 ベニは最後の言葉を小声で言ったので、ケイには良く聞こえませんでした。

 「実は今から、シュレトの様子を見に行くところだったんだ。でも、具合悪そうだから、そっとしておいた方が良さそうだね」

 「ねえ、ケイ。明日の予定は空いている?私達は今、町の音楽会の仕事をしていて、明日が最終日なの。お昼には終わる予定だから、もし良かったら、明日一緒に中心街を見て回らない?出店や大道芸で賑わっていて、とても楽しいの。私が案内するから」

 「うん、いいよ。前に一緒に中心街に行くって約束したものね。ベニの仕事が終わるお昼頃に、中心街に行くよ。音楽会は何処でやっているの?」

 「クイン通りにある『鏡界の丘』っていう広場よ。『ポート通り』からクイン通りに入って、左側にある一本目の道よ。広い通りだし、すぐに分かるわ」

 「分かった。それじゃあ、明日ね。シュレトによろしく言っておいて」

 ケイはベニと別れて、ジュニアと階段を上って帰っていきました。

 夕食の時、ケイがベニと一緒に中心街に行くことを話すと、皆はまた彼を冷やかしました。

 「僕はただ、中心街を案内してもらうだけだよ。ベニは中心街を良く知っているって言うから」ケイは困って苦笑いです。

 次の日、見送るジョーカーズに手を振って、ケイはジュニアを連れてクイン通りに出掛けて行きました。もうバスに乗るのも手馴れたものです。一人でも問題なく、彼は無事にクイン通りに着きました。そして、あまりの人の多さにびっくりしてしまいました。音楽会が開かれていたこともあり、中心街はいつも以上に賑わっていたのです。鏡界の丘はすぐに分かりましたが、当然のことながら演奏はすでに終了していました。どうして、早めに来て音楽会を見ることを思いつかなかったのか、ケイはちょっと後悔しました。

 ケイは人混みの中、どうにかベニを見つけました。そして、彼女のグループ仲間、ネル、チテ、ラビア、ハッキンとも会いました。しかし、シュレトはまだ具合が悪いのか、仕事に来ていませんでした。しばらくネル達と一緒に、終了した後の音楽会の舞台裏を見て回った後、ケイとベニはクイン通りを歩いて行きました。彼らは中心街を歩きながら、色々なことを話しました。仕事のこと、アローズ街のこと、町のこと。

 「この前話した、兄さんの収集物の整理を覚えている?休暇になったら、また私は手伝いをさせられるのよ。古本や古新聞の片付けなんてうんざりよ。でも、古い新聞には面白いものもあるわ。例えば、何年も前にあった宝石強盗事件の記事だとか、海岸に流れ着いた謎の大型船の記事だとか」

 「へえ、そんなことがあったんだ」

 「あと、耳長イルカの可愛い写真もあったわ。チェジス水族館で飼育されている、耳長イルカの繁殖に成功した記事よ。五匹の小さな赤ちゃんがすごく可愛いの」

 ケイは耳長イルカがどんなものか、想像してみます。兎の耳が生えたようなイルカでしょうか。色々な動物の耳をつけたイルカを次々に想像して、思わずくすくす笑ってしまいました。ベニが怪訝そうな顔で見てきたので、慌ててケイは、笑いを誤魔化すように言いました。

 「ベニ達のグループは、明日からどのくらい休暇がもらえるの?」

 「二週間もないみたいなの。夏は仕事の依頼が多いから、忙しくなるのよ。町で色々なイベントがあるから、その手伝いが多いのね。音楽会もその一つよ。楽しいからいいけど」

 「だから中心街は今、こんなにも賑わっているんだね。出店がいたる所にある」

 二人はジョンの仕事場通りの両側に、所狭しと並んでいる出店を見て回りました。新鮮な野菜や果物が並んでいる八百屋で、ケイはひょうたんのような形をした、赤くて甘い香りのする、ケルビムという果物を一袋買いました。形が珍しくて、味見をしたら洋ナシみたいな味がして美味しかったのです。

 「ケイは、ケルビムが好きだったの?」店から離れた後、ベニが尋ねました。

 「これはシュレトに買ったんだ。後で、お見舞いに行こうと思って」

 「シュレトのお見舞い?まあ、ケイって優しいのね」ベニは嬉しいのか、悔しいのか、複雑な表情を浮かべました。


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