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プロローグ

はじめましての方も二度目ましての方もこんにちわ。

見切り発車で書き始めた小説が何となく形になってきたので、作者の首を絞める形でえいやぁと投稿しました。

矛盾点が多発する恐れはありますが、生まれたての赤ん坊を見るように優しい目でスルーしてください。

何処からか、音が聞こえる。

それはどこか神聖な響きを帯びていて。

酷く場違いなその音に、苦笑を浮かべようとしたが、うまく動かない。


あぁ、全身が動かない。

このまま死ねるんだろうか。



あぁ、やっと終わる…

だってたった今・・・今…



なんだっけ・・・・



つい先ほどの出来事を思い返そうと意識を集中させる。



逆再生のように映像が流れていく。






全身から冷たい衝撃が消えて、身体が浮かぶように持ち上がる。





地に足が着くと、身を起こしながら熱い何かを口に飲み込んで、喉を焼く不快な何かが身体の内側を癒していく。




おめでたい程に鮮やかな赤い華が、白いシャツから生えた美しい銀に吸い込まれ、火傷しそうな程熱かった胸が冷えていく。



後ろから叩きつけられる奴らの汚い音が次第に大きくなって、呆然とした目の前の男が近付くと身体から衝撃を消した。


不自然に密着した身体が離れ、煌めく銀のナイフを持つ男の顔が鬼のような形相に変わる。

大きく口を開いた男が、背中を走った小さな衝撃を消した。






同時に、映像も消えた。
















「ぁ・・」

「!め--め---!」


何だ・・?

音が聞こえる。


妙に印象的な夢から覚め、薄く目を開けると、ぼやけた視界に、年老いた女性の顔が映り込んだ。

涙ぐんで、顔をくしゃくしゃにして笑って…いや、喜んでいる。

知らない顏だ。

なんでそんなに嬉しそうなんだ…?

というか、外国の方では…?


「ぁぉ~…」

「まぁ!?む----はい--いわ!」


色々と身に覚えがないため尋ねようとして口を開くが、どうも呻き声しか出ない。

自分の声が妙に高く感じたが、心細さが出ていたのかも知れない。

俺の声に気付いて何か話しかけているみたいだが、脳が働いていないのか、言語が違うのか、言葉が全く聞き取れない。


【-ん--】


また別の声、今度は年老いた男性の声が聞こえたのでそちらに目を向けてみるが、どうにも視界がぼやけてわからない。

それならばと、音に集中しようと目を閉じてみるが、全身が心地よい熱で満たされて居る事に気付いて眠気が刺激された。

これではいけないと、やはり目を開こうとしたが、瞼が重い。

混乱しながらも何とか情報を得ようと格闘していると、優し気で穏やかな声が聞こえた。


「お--み--い、い--い---。-い-めを」


先程の女性のものだろう落ち着いた声音に、一気に全身から力が抜け目も閉じてしまった。

額と頬に柔らかい何かが当たる。

不思議と心地よく感じたその感触に抗いがたさを感じ、そのまま身を委ねて眠りに就いた。













「ぁー・・・!ぁ~~・・・!」


空腹で目が覚める。

それから泣き声に似た音。

妙に身体に響く音が、実際の音よりも大きく聞こえる。


「----!お--は-い-い-み-い-!」

「?」


・・・何だ?


途切れ途切れの声がした方へ視線を動かす。

目覚めたときに聞こえた穏やかな女性の声が聞こえた。

そちらに視線を向けると、白っぽい姿が見えた。

看護師というよりは、何となく聖職者のような神秘的な雰囲気がして、ますます訳が分からなくなる。

混乱する俺を他所に、その女性が近づき両手を伸ばして俺の脇に手を―――


・・・は?


「はい、-はん-。---ん----ん------」


大きな手で簡単に持ち上げられ、抱き抱えられた。

理解出来ずに固まる俺の口元に、重湯のようなどろりとしたお粥らしきものが運ばれてくる。

空腹故の本能か、半ば無意識に口を開けると、匙ごと口の中へ入ってくる。

若干甘さを感じるそれを、口が勝手にむぐむぐと動き飲み込んだ。


絶賛混乱中の俺をあやすように何事かを話かける女性の声をBGMに、何度かそれを繰り返しているうちに、あっという間に腹が膨れた。

次の匙を拒絶するように手が動き、自然と顔を背け口も閉じる。

脳が指示を出すよりも先に動いたことに更に混乱する。何か尋ねようと口を開くと、看護師さんらしき女性が俺を抱え直して、背中をぽんぽんと叩かれた。

げっぷが出た。

何となくショックを感じていると、背中を撫でられ、優しい声でまた何事かを話かけられた。


再び眠気が襲ってくる。


何故赤ん坊になっているのか理解できないままに、また抗いがたい眠気に襲われる。

何とか抗おうと身動ぐが、そっとベッドへ寝かされると布団を被せられる。その上から緩やかに胸から腹を撫でられるともう無理だった。


「お--み--い・・・」


穏やかな声を最後まで聞くことなく、再び俺は眠りについた。
















お目汚しありがとうございました!

投稿不定期ですがとりあえずきりが良いとこまで行けるよう頑張ります。

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