そのいち
世界には五つの大陸と七つの海がある。
そしてその中でも中央大陸は一番の大きさと緑豊かな大陸だった。
その中央大陸でも最大の国土と権力を誇る大国、
ーリオン王国。
その豊かな富と権力をこれでもかと見せつける贅を尽くした白亜の王宮。
とりわけ大きな王との謁見の間では、今日も今日とてリオン国王の怒号がとぶ。
「エエイッ!-ポマスはまだか!?ポマス!」
ここ数年ですっかり様変わりした元は穏やかで比類なき賢王と讃えられた国王は、
一体どこやら。禿げ頭に汗をびっしり書きながらあたふたと脂肪を揺らして大臣がかけつける。
「王様、どうなさいましたか?」
国王がこんな風になる原因を思いやり、
内心あきれ果てつつもポマスはへこへこと頭を下げ問う。
「あいつをいますぐここに連れてまいれ」
むすっと無茶をいう。
「あいつとは?」
「あやつじゃ」
「あやつ?」
「ええい!あいつじゃ!」
地団太を踏み出しそうな国王にポマスはため息をつきたくなる。
わかってる。あいつもあやつも。
「アークレッドのクソガキ!をいますぐここに連れてまいれーっ!」
今日一番の大声に近衛騎士たちが肩を震わす。
・・・王の一括を恐れているのではない。
たぶん笑いをこらえているのだろう。
その顔をしっかり睨んでやりながら、ポマスは賢明にも禿げ頭の中身をフル回転する。
「いますぐ?」
「そうじゃ、今すぐじゃ。今すぐでなければならぬ!」
「ここに?」
「うむ」
得意げに言うがクソガキーあの少年はリオンの国民ではない。
早馬でも十日はかかる辺境を超えた隣の国、アークレッドにいる。
それがわかっの国王の言葉なのだろうが。
「・・・あれ?いま呼ばれたのって僕?」
ひょっこりと入り口から黒髪の少年が顔をだした。
その日焼けした頬に大きな黒い瞳以上に目玉がとびでそうなほど目をひん剥いて声にならない声で国王が叫び声をあげた。
「-$%?`|&#Zっぬ!?」
禿げ頭ではあるが大国リオンの国王の片腕。優秀なポマスの頭は理解した」
国王曰く、
「なぜここにお前がいる?アークレッドのクソガキ!っだそうだ」
女官長が持ってきてくれたお茶を一口口にしほっと息をつく。
相変わらず女官長のお茶はうまい。
ーさすがわが嫁。
できる。
実は職場結婚な大臣。
妻のお茶にでれっとしてる間に国王が息絶えそうだ。
―酸欠で。
思っていたら、案の定ぶっ倒れた。
「うわっ?王様.!?」
驚いた少年の声を聞きながら、ポマス-大国リオンの大臣は思った
ーざまあみろ
と。
今日も今日とて賑やかな1日が幕を開けた。