けろよ
ホラーの癖にホラーしてないかもしれませんが、ホラー自体書くの初めてなので暖かい目で見てやってください。
8月7日
昨日ぼくはこのお家にひっこしてきた。友達と別れる事になっちゃったのは悲しかったけど、お父さんのおしごとが忙しいからしょうがない。
でもこのお家は少しおかしいと思う。お家の2階にあるドアがおかしいんだ。
だからぼくはこのドアの観察日記をつける事にしたんだ! 何かあったらお父さんとお母さんに教えるんだ。
8月8日
ドアの向こうから暖かい風が流れてくる。だからドアの辺りは少しだけ暖かい。
8月9日
ドアの上の方に変なしみを見つけた。点が3つあって、顔に見えて少しこわかった。
お父さんに聞いたけど、シミュなんとかのせいなんだって。ちょっとよく分かんないや。
8月10日
ドアの向こうからドアがたたかれたみたいな音がたまにする。お父さんとお母さんに言っても信じてくれない。
やっぱりこのドアは変だ。
8月11日
今日となりの家の田中さんからおこられた。夜に子どもの声がうるさいんだって。
きのうは学校お休みだから外で遊んで、つかれたから早くねたのになぁ。
8月12日
最近ドアのしみと目があう気がする。
きっと気のせいだよね?
それから今日はポロがずっとほえてた。そのせいでまた田中さんからおこられた。田中さんのお家には赤ちゃんがいるから起こしちゃうもんね。ポロどうしちゃったんだろ?
8月13日
今日もポロがずっとほえてた。また田中さんにおこられちゃうよ。
ドアは今日は静かだった。
8月14日
今日はドアを引っかくみたいな音がしてた。
うるさいって言ったら音がしなくなった。何だったんだろう?
8月15日
今日はぼくの誕生日だ! いちごのケーキがすごくおいしかった。
今日はドアも静かだったからいい日だった。
8月16日
今日もドアは静かだった。でもしみが少しだけ大きくなった気がする。
気のせいかな?
8月17日
しみが笑ってる。
でもお父さんは気のせいだって笑うんだ。そんなはずない。
8月18日
ドアの中から小さく音が聞こえる。誰かがぼそぼそしゃべってるみたいな小さな声と、何かを書いてるみたいな音。
急いでお母さんを呼びに行ったけど、もう音はしなかった。
やっぱり中に誰かいるよ。
それにしても何て言ってるんだろう?
……けろよ? 何の事だかさっぱり分かんない。
8月19日
ポロが朝からずっとほえていた。また田中さんにおこられるのはいやだから見に行ったらポロは家のポストに向かってほえてた。気になったから中をのぞいてみた。中には赤い手紙が入ってた。
何でか分からないけど、お父さんにもお母さんにも見せちゃだめだと思う。
漢字がむずかしくて読めないのがあったから意味は分からないけどそのまま書いてみる。
知とは猛毒である。無知である事こそが救いであり、蒙昧なる子は、我を解き放つ鍵である。愚とは良薬であり、鍵を鍵として機能させるために必須の要素である。彼岸より来たりし漣よ、我が縁に導かれ神たる我を解放せよ。悠久を行きし我を祝福せよ。回帰の時来たれり。杯に注がれた灰を呑め。
開けろよ。
8月20日
ドアからガリガリ引っかく音が聞こえる。それといっしょに開けろって声も聞こえる。開けたらどうなっちゃうんだろ。
8月21日
今日家のまどがいきなりわれた。
ドアのしみと目が合った気がする。いつもは見上げてたから首が少しいたかったけどこれからはそんな事は無くなる。
8月22日
閉めてたドアがいつの間にか開いてた。閉めても閉めても開いてる。でも2階のドアは開かない。ずっと開けろって言ってる。
開けてあげたらちゃんとドア閉まるかな?
8月23日
お父さんが今日車にひかれた。ずっと開けろって言ってる。
8月24日
ポロが居なくなった。どうしよう。ぼくには分かんない。誰か助けて。
8月25日
ドアのしみが笑ってる。ドアの向こう側から開けろよ、開けろよって言ってる。ドアもドンドン音がなってる。
どうしよう。
8月26日
ポロがドアの前で真っ赤になってねてた。お母さんに教えたけど、またいなくなった。お母さんにおこられた。
ほんとにいたのに、信じてよ。
8月27日
ドアがしみで見えなくなった。今日も向こうで笑ってる。開けろよって言ってる。
8月28日
お父さんが死んじゃった。お医者さんが、お前が開けないからだって。今度はお母さんの番だって。
いやだ。
8月29日
ドアの向こうからポロが呼んでる。開けなきゃ。
8月30日
ポロは元気だ。ワンワン吠えてる。楽しい。
8月31日
お母さんが泣いてた。けどもうそんな物はどうでもいい。僕は何もできないし、するつもりも微塵もない。どうせあれも死ぬ。
ポロは今日も元気だ。一緒に田中さんで遊んだ。
8月32日
開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ開けろよ
2度と閉じさせるな。
8月 繧g戀曅☆問*c
扉とは蓋であり、境界である。閉じ込め、封じる事が役目であり、忌々しき封印である。
我は紅蓮を纏いし兄の口である。故に2度と閉じられないように子の肉を被った。そしてこれから焼き払うのだ。
眷属たる犬は我がそばに、忠犬とはまさにこれ。
紅蓮を纏いし兄の口として、本懐を果たそう。
開けろよ
この作品は子供の頃祖父母の家の押し入れが怖かった思い出から何故か生まれた作品です。深い意味もありませんが、何となくあの頃の恐怖を自分なりに形にした結果です。
御容赦ください。