始まりの死
頑張って書いていきますので、よろしくお願いします
俺こと狩野勇気は今いつもと同じように電車に乗って大学に向かっている。
大学に通いだしてはや一年とちょっと。二年生にもなると大学生活にも慣れて来てどの授業は手を抜いても大丈夫とか、どの授業はしっかり出ないと単位が危ないとかがわかって来た頃合いだ。
はぁ、今日の授業は絶対に出ないとやばいやつなんだよな。授業出てないとテスト全然わかんねーし。しかしなぁ、あの授業面白くないんだよな。
こんな感じでうだうだと今日のスケジュールについて考えていると、次の駅名の車内アナウンスが入る。
どうやらもう最寄り駅のようだ。よし、降りる準備しないとな。
電車が止まったので席を立ち、ホームに降りる。
一限から始まる授業はあんまりないので、大学前の駅のホームだというのにあたりは閑散としていた。
やっぱり一限の授業なんてとるんじゃなかった…。なんでこんな早い時間から大学に来なきゃいけないんだよ。
心の中で愚痴をこぼしながら改札に上がる階段に向かっていると、向かい合っている隣のホームに少し奇妙な光景が見えた。
小学校中学年くらいの男の子がフラフラとホームの端ギリギリを歩いているのだ。
おいおい、保護者は何をやっているんだ。しっかり見張っていないと駄目じゃないか。
しかし、周りを見ても保護者らしき大人の姿は見えない。おいおい、ホームに落ちたらどうすんだよ。
その時、足を滑らせて男の子が落ちた。
オイオイオイ!マジに落ちやがった!どうすんだよ!
あんな子供じゃホームになんて戻れねーだろ!
しかも、子供は全然動こうともしねーし。
耳からは向かいのホームの到着電車のアナウンスが聞こえる。
どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。
頭がフル回転になっているのが自分でわかる。しかし、最適な答えはいっこうに出てこない。出てくる案はどれも時間がなさすぎる。
一つだけあるとすれば…。
くそっ、やるしかねーのかよ!
背負っているリュックを投げ捨てて、ホームに飛び出す。
そのまま、男の子のところに向かって走る。
「おい、ぼうず。大丈夫か!」
「…。」
反応がない。というか、なんか意識がない感じが…。目の焦点もあっていない気がするし。
ってそんなことは今はいい。早いとこ助けないと。
しゃがんで男の子をお姫様抱っこの要領で持ち上げようと試みる。
うわ、重ッ!。
なんだこれ、こいつ、自分で体を支えてないのか。完全にこっちに丸投げって感じだ。
俺はそんな力持ちじゃねーんだよ。
「うぉぉぉぉぉ!!!!」
雄叫びとともに体の全ての力を使って男の子をホームの上に持ち上げる。
よし、次は俺がホームの上に登れば。
ボォォォォォォォォォォォォォォン
電車の警笛の音が間近に聞こえる。
あぁ、俺の人生。ここで終わりか。
「チッチッチー!ところがどっこいそうじゃないんだな!」
頭の中にやかましい女の声が聞こえたが気のせいだろう。
俺は終わりを受け入れ、瞳を閉じた。