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我、異世界にて暗躍ス  作者: 聖 ミツル
第1章 少年期
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第7話 来客




 父さんとヘンリー辺境伯が庭の広場で立会い稽古をしているのを俺は、屋敷の窓から見ていた。隣には、何故か、メリーナ姉さんではなく、リアナ嬢がいる。


「さすがお父様です」

「そうですね。一撃、一撃がとても力強いです」

「貴方、ラビスとか言ったわね。身体が弱いって聞きましたけど」

「祝福を受けたら、元気になりました」

「そうなの。それは良かったわね。じゃあ、リアスと歳は一緒なのかしら。リアスも今年祝福を受けたのよ」

「僕と一緒ですね」

「リアス、こっちにおいでよ。ラビス君は、リアスと同じ歳だって」


 椅子に腰掛けてお茶を飲んでいたリアス嬢がリアナ嬢に呼ばれて窓際に来た。その時、メリーナ姉さんの顔が引きつっていたのは、見なかった事にしよう……


「あっ、メリーナもいたのよね。見たければ見れば? 」


 あ〜〜姉さんが苦手な理由が何となくわかった……


「本当だ。お父様もスミス様も凄いです」

「僕は、ラビスと言います。宜しくお願いします」

「は、はい。私は、リアスです。こちらこそ、宜しくお願いします」


「リアスは、少し人見知りなの。仲良くしてあげてね」

「もちろんです。リアナ様」

「リアナでいいわ」

「では、リアナさんで」


『カーーン、カーーン』


 庭から剣の打ち合う音が響く。父さんは、上手く辺境伯の攻撃を捌いているようだ。ヘンリー辺境伯が『豪の剣』なら父さんは『静の剣』だ。そんな感じがする。


「ところで、ラビスは、どんな祝福を受けたの? リアスは、回復魔法の祝福を受けたのよ」


 すると、今まで壁の花だったメリーナ姉さんがドヤ顔で、しゃしゃり出てきた。


「うちのラビスは、凄いんだから。祝福は風魔法だけど、何とアステル様のご加護を受けたのよ」


「まぁ、神様のご加護を受けたの? 」

「はい」

「それは、素晴らしいわね」

「はぁ……」


 姉さん、目立つ事は言わないでほしい……


「本当にラビスはすごいのよ」

「そうね。ご加護を受けられるなんて大したものだわ」


 姉さん、弟自慢も大概にしないと小物っぽく見えるぞ……

 でも、そこが姉さんらしいけど……


「ずっと病弱だったので、神様が可哀想になってご慈悲をかけてくれたのだと思います」


「そうね。神様はお優しいから私もそうだと思います」


 俺は、面倒になってそう取り繕う。

 何故か、リアス嬢の目がキラキラして俺を見つめていた。


 どうした? 俺、何か言ったか?


 すると、突然、


「凄いです。凄いです。アステル様のご加護を頂けるなんて、ラビス様は、とても純真なお心をお持ちなのですね」


 あぁ、この子はきっと、信心深過ぎて、神の事をアイドルみたいに思ってるんだ。

 あんな自称ドS子供神の何処に尊敬する箇所があるんだ?

 理解に苦しむ。


「ラビス様、一緒に偉大なアステル様のお話を致しましょう」

「う、うん。そうだね。それと、ラビスでいいよ。同じ歳だし」

「はい。ラビス様」


 うむ。面倒な子だ……



◇◇



 結局、ヘンリー辺境伯は一行は、3泊して、自分の領地に帰って行った。

その間、俺は、リアス嬢にアステル神がどれほど素晴らしいかという話を絶え間なく聞かされ、メリーナ姉さんは、リアナ嬢と一緒に受験勉強をして過ごしていた。


 みんなが帰った後、俺もメリーナ姉さんもげっそりとして、何も手につかない状況だった。


 でも、良い事もあった。リアス嬢から回復魔法を教えてもらった事だ。実際には、見せてもらっただけだが、何回か試しているうちに俺も使えるようになっていたのだ。これは、素直に嬉しかった。


 そんな最中、何を思ったかメリーナ姉さんは、


「ラビス、街に行くわよ。付いてらっしゃい! 」


 と、吹き出物がチラホラ顔に出ている状態で言った。


「えっーー! ゆっくりさせてよーー」

「ダメよ。こういう時は、買い物をしてスッキリしないといけないの。わかるでしょう? さぁ、行くわよ」


 確かにロクトの街中に出たのは、頭に怪我をした日や祝福を受けた日と数えるほどしかない。いつか、ゆっくり見て回りたいと思ってはいたが、姉さんと行くのは「危険だ」と本能が言っている。


「お父様、お母様、街に行って来るわ」

「わかった。エリスを連れて行きなさい」

「はい。お父様」


 交渉は成立したようだ。

 父さんも何だかやつれていた。


 俺は、仕方なく外套着を着ていると、姉さんとエリスに引っ張られながら、街に連れていかされた。


 ロクトの街は、温暖だと言っても冬は訪ずれる。雪こそは降らないが、北の山から吹き下ろす風が冷たい。それでも、街は、露店が並び人通りもある。


「ラビス、何してるの? 置いてくわよ」

「う、うん」


 頭に怪我をした時とは、違い体力もそこそこついてる。辛かったら魔力で身体強化すれば問題ない。


 俺が遅れてる理由は、ギフト『衛星』の航行衛星が解放されたからだ。レベルの上昇と、ギフトを使った頻度で解放されたようだ。


 今の俺のレベルは、5。夜、何度も抜け出してそこまで上がった。


 そういうわけで、俺はメリーナ姉さんの後を追いながら『航行衛星』を試していた。


 この衛星は、位置を把握する能力があり、それに伴って地図データも解放された。そして、GPS機能も追加されている。


 また、任意の建物や人物をチェックする事ができ、現在何処にいるか把握できる。


 俺は、うちの家族や使用人、それと、今日帰って行ったヘンリー辺境伯とその姉妹にチェックを入れといた。会った人を記載しておけば、いつか役に立つのではないか、という思いからだ。


 すると、いきなり口に何かが放り込まれた。驚いて、ギフトを解くと


「ラビス、美味しいでしょう? 」


 とメリーナ姉さんが露店で買った串肉焼きを俺の口に差し込んでいる。


「モグ、モグ」

「ラビス、感想は? 」

「モグ、モグ」

「それじゃあ、わからないでしょう? 」


 俺は、串焼きを差し込んでる姉さんの手を取って、口に中で咀嚼を終えて


「姉さん! 急に口に入れるのはやめてよ。美味しかったけど」

「うん、うん、そうでしょう? 」


 何故か1人で納得して、次の店に案内された。


「このお店は、甘味もあるのよ」


 そう言われて店の中に入った。看板には食堂『唐変木』と書かれていた。

 店の中は、喫茶店のようなつくりをしている。


「いらっしゃいませ」


 何処かで見たことのある女の子がお水を運んできた。

 その女の子の顔をジロジロ見てると


「ラビス。女の子の顔をヘラヘラして見るものじゃありませんよ」


 と、少し棘のある貴族風な物言いでメリーナ姉さんに注意された。


「ヘラヘラしてないよ。そうじゃなくて、どこかで会った事あるな、と思って」

「ラビス様、それは、女性をお誘いする常套句(じょうとうく)ですよ」


 と、今度はエリスに言われてしまった。


 注文を待っている女の子は、何だかオロオロしている。


「あっ、そうだ。祝福の時、隣にいた女の子だ」


 そう言うと、女の子はとっくに気付いていたらしく、少し涙目になっている。


「ラ、ラビス様、こんにちわです」

「ラビスでいいよ。同じ日に産まれたんだし」

「領主様のご、ご子息に、私なんかが呼び捨てなどで、できません」

「そんな事ないよ。君の名前は確か〜〜」

「カリーナです」

「宜しくね。カリーナ」

「はい。こちらこそラビス様」


 店の子と話していると、メリーナ姉さんが


「何、2人の世界を作ってるの。ラビスって、手が早かったのね」

「ね、姉さん、違うよ。同じ誕生日だった子に会えて嬉しかったんだよ」

「ふ〜〜ん。どうだかね〜〜」


「御二方、そろそろ注文しませんと」


 エリスにそう言われて、カリーナの方を見ると、顔を真っ赤にしてモジモジしていた。


 俺、何かマズい事、言ったか?


「そうね。私は、パンケーキを頂戴」

「そうですね。私も同じものを」

「じゃあ、僕も」


「はい。パンケーキ、3つですね。少々お待ち下さい」


 女の子は、逃げるように厨房に入って行った。

 俺は、このカリーナの事もギフト『航行衛星』の項目にチェックを入れておいた。


 地道な作業が後の成果に繋がる、という前世の記憶からの行為だった。


 運ばれてきたパンケーキは、俺がいた世界のより、硬かったが、それでも、メイプルシロップのようなものがかかっており、食べた瞬間、口の中に甘味が広がる。甘いものは苦手だった俺だが、このラビスの身体は、素直にその甘さを堪能する事が出来る。


「ラビス、美味しいでしょう」

「うん。姉さん、美味しい」

「そうですね。この甘味は、疲れた心と身体を癒してくれる、そんな感じです」


 エリスもいろいろ抱えているようだ……


 美味しそうに食べている俺達を見て、カリーナは何だか嬉しそうだった。


 その後、俺は、姉さんに連れられて、雑貨屋さんや洋服屋さんなどいろいろと連れまわされた。


 屋敷に帰った頃には、もう、日が沈みかけていた。


 疲れた……


 因みに今の俺のステータスは、


ーーーーーーーーーーー


ラビス=ランドル(人族マナ生命体)5歳


Lv 5


HP 120/120

MP  ーー/ーー


*祝福ギフト


全魔法適正(10)

 風魔法

 火魔法

 水魔法

 雷魔法

 土魔法

 回復魔法

全魔法耐性(10)

物理耐性(10)

異常状態無効(10)

精神耐性(10)


*神級ギフト


衛星(2)

 観測衛星

 航行衛星

 気象衛星

 偵察衛星

 軍事衛星

鑑定(5)

隠蔽(2)

言語理解(1)

スキル自動習得(2)



*スキル


身体強化(3)

魔力操作(3)

忍び足(2)

聞き耳(1)

気配察知(1)

=========

アステル神の使徒


ーーーーーーーーーーーーーー








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