Story:15『災厄試練/12.閃光の神と時の異星神』
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【インディゴ Lv.Error】
「"蘇る花々の記憶"」
咲き乱れるアヤメ。1つ1つの蕾が花開きその中心には時計の時針のようなものがついていた。時を読むことをやめた針は神の力を借りて動き出す。
「"彼岸に潜む記憶"」
カチッ.........カチ、カチ、カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ
数えるのも億劫になってしまうほどのアヤメ達が一斉に時を取り戻した。恐ろしい速さで回る時針は全てが左回り。
進むのではなく遡る時間が、棺桶の中から没した魂を強制的に呼び出し実体を与える。その代わり、アヤメは茎の下からジワジワと枯れ始めていた。
「行け、恩讐の寵児らよ。古往今来の怨みを晴らす機会、我直々に与えよう。彼の破壊神が憎いであろう?その倅が、目の前にいる」
「「「「「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」」」」」
【アヌビス Lv.Error】
セトへの怨嗟が形を持ち、それが忌々しい縁を理由にアヌビスを襲う。
「勝手に僕の管轄する霊魂に手を出すのはやめてほしいんだけど。彼らにはまだ贖罪が済んでないんだ...しかも、この数はなかなか骨が折れる」
溜息をつくアヌビスの頭の後ろに黄金の光輪が現れ、眩い光を放った。
「でも、僕はね、太陽神からその権能の一部を借りられるんだよ。魂さえ穢れずに残っていれば......"今は亡き英雄願望"!」
その光輪からドロドロと不定形な形をした死霊達が一帯に溢れ出す。それらはアヌビスに縋るように纏わりつき、哭いている。
彼は死霊達を優しく撫でると傍に浮く小さな船に乗せ、それを媒介に1人の英雄を召喚した。
「起こしてごめんね...少し、僕に力を貸してくれ。"異邦の英雄譚:対死"」
現れたのは双角の魔人。
「.........詳細不明」
「せっかくゆっくり寝ていたのに本当に申し訳ない...こちらの願いはあの死霊達を倒すのに貴方の力を借りたいんだ。もちろん僕だって戦うし、そこにいる子供達も手を貸してくれる。報酬は...そうだね、3日の顕現でどうだろう?」
「.........了承、戦闘開始、可?」
「ありがとう、存分に力を奮ってくれ」
「委細承知」
「わ、私達も!?」
「まぁ、そりゃそうなるか...よし、やってやるぜ!」
「即席のアヌビス陣営、もちろん俺達も手を貸そう。まずはオシリスを救わないとイベントが進まないからな、その障害は倒す!」
今ここに神仏へ至った者達と、その子供達の戦いが幕を上げた。
それは圧倒的なまでの、もはや蹂躙と呼べるソレ。
「"リ=ライト"」
「「「「「オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"!?」」」」」
魔人の右手から迸る閃光が怨霊を次々と焼き尽くし、塵すら残さず光となって消えていく。
ジュッジュッジュッ...と音を立てて消滅していく怨霊達、それでもまだまだ数が残っている上に、現在進行形で増え続けていた。
1体1体を確実に、迅速に。侵攻は抑えられても押し切ることも叶わない。膠着。
姿を見せたその時から今の今まで無表情だった魔人の顔もだんだん影を見せ、若干のイラつきが見られる。ふと、そんな彼が何かに気がついた。
「......単体火力、強。然、効率最低......発案、単体火力低下、代価全体殲滅力向上。面制圧移行。"リ=ライト・レイ"」
魔人の右手にあった閃光が頭上高くに浮かび上がり弾けた。直後、降り注ぐ光の豪雨が一瞬にして一帯の敵を消し飛ばす。
「...重畳。我、妙案、歓喜」
「これ、私達、いらなくない?」
「それな」
「たしかに」
「僕もだよ...はは、僕がメインの存在なのに...」
「あまり、調子に乗らないことだ。"時計仕掛けの停滞"」
「......遅延?何故?私攻撃光、其即、光速。時間的概念、抑々超高速。故、逆説的超低速」
「何故かなど簡単な事。貴様を、邪魔者を殺すためだ。"観測的結果"」
小さな蝶がアヤメにとまり、限りなく止まっている時間の中でゆっくりと...ゆっくりと飛び立った。微かに花が戦いで1枚の花びらが舞う。
「っ!?」
弾け飛ぶ肉塊。それは瞬時に光となって形を失ったが、魔人の体は削がれた部分から紅色の光が溢れ出ている。
「ふっ、他愛ない」
「現状把握、理解不能。身体被害把握、左半身喪失...相当痛手」
「何が起きたかも理解できないか。余興として、教えてやろう。我の使った魔術は2つ..."時計仕掛けの停滞は一定範囲の速度遅延、"観測的結果"は観測できるあらゆる事象を増大させる魔術だ。そして、光とはそれ自体の移動が高速だが、その速さ故に観測箇所の違いで貴様の付近を流れる時間は我から見て低速になる。つまり、貴様の居る場所と我のいる場所ではそもそもの時間の流れが違うのだ。それでは此方からいくら攻撃をしようと当たるはずもない上に、貴様の攻撃は当て放題になってしまう」
が...と、インディゴは続ける。
「なら、こちらも同じ時を歩めばいい。それだけの話であろう?加えて、我の使う魔術、"観測的結果"は少し特殊でな。元の事象が小さければ小さいほど、遅ければ遅いほど最終的な結果が絶大なものとなる。それ即ち、時を司る我が貴様に勝つ要因あれど、時の中を生きる貴様が我に勝つ道理無し。あまり我を見縊るでないぞ、雑兵風情が」
これで終わりだ。と最後に呟き、魔人の傍に2つの時計が現れた。
「"双世時計"」
右回りの時計と左回りの時計。
一瞬で膨大な時を進み、瞬きの合間に目も眩むほど時を遡る。彼の体は時を進め、同時に時を遡る。
有り得るはずがない超常の矛盾。
「嗚呼、無理」
生と死の矛盾を乗り越えた英雄の魂であっても、時間の矛盾には逆らえなかった。
溶ける体。霧散する魂。薄れていく意識。
残るのは英雄としての記録のみ。
「思考.........名案、形態変化決行。"メタモライト"」
彼を突き動かすのは英雄願望1つ。
「"我蝿之王也"」
閃光が、暗黒へと変化する。
卍特殊相対性理論卍
あれ...おかしいな...メインキャラが空気だ...
次の回にはきっとたぶんメインキャラが大活躍おそらく
ん?今気がついたんですけど...そもそも章タイトルのお話が欠片も始まっていないのでは???




