Past Story:1『死して尚、復讐の劫火は消えず』
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これは、本編に出てくるキャラの過去のお話です。史実や伝承などを取り入れゲーム内のストーリーとして改変したものですので、ご了承ください。
あるニンゲン、阿弖流爲はかつて寒空の大地を守護する軍の指導者だった。その地を征服しようと侵出する敵から幾度となく守っていたのである。
そして、ある時その土地へ再び人間が率いる遠征軍が侵出し、侵略側が勝利を収める事で阿弖流爲達は一掃されてしまった。
そんな中、阿弖流為とその母である母礼が500余人の民を率いて敵軍の長に降伏を嘆願するも棄却され、阿弖流爲と母礼の処刑が告げられる。
「なぜ...なぜだ!?」
「獣の如き心を持つ貴様が復讐をせんとも限らん」
「ありえないっ!」
変わり果てた母礼の亡骸を抱え、驚愕と怒りにニンゲンは身を震わせる。
「では、はっきりと言おう。貴様に鬼の血が通っているというだけで患いが残るのだ。疾く死ぬがよい。のう?大嶽丸よ」
「そ、そんなことをすれば500余人の我が民が導者を失い反乱を起こす事が容易に想像できるだろう!」
ニンゲン曰く導く者を失えば人は進む道を見失ってしまう。
「否、そうはならない。なぜならば貴様ら親子の死によって民が救われるからである」
「......は?」
呆然とした顔でニンゲンは偉そうに座す1人の男を見上げる。
「民曰く、『彼の地は鬼に支配されていたのだ』とのこと」
「............ふざけるな」
これは怒りか?
「民曰く、『鬼は差し出す。よって、助けて頂きたい』とのこと」
「ふざけるなっ!!」
いや、怒りなどとっくに通り越した。
「憐れなり...守護した民に売られようとはな。民は貴様らを糧として生を得て、これからの生の芽吹きに咲い、幸福な人生を迎えるのだ」
「殺してやる......皆殺しだ!!お前らを殺す!!殺す殺す殺すころすころすころすころすころすころすころすコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス!!全てを、尽くを殺し尽くして喰らう!!無様な肉塊に変えて引き摺り回して捻って噛み砕いて嚥下して───」
もはや、殺意だ。
明確な死を意味づける殺意である。
「いと憐れなり。田村麻呂、やれ」
正義の一太刀が振るわれ狂ったニンゲンの首を刎ね飛ばす。
「必ず殺す!必ず喰い散らかす!!」
首が宙を舞い、世を呪う憎悪が溢れ出す。
「幽世も現世も超えて貴様ら人間をコロシテヤルッッ!!!!!」
果てしない闇が空を焦がす。
「すまない......俺だけはお前の事をずっと───」
然して民は救われた。
万人が求める正義によって救われた。
然れどもその鬼にとっては悪だった。
きっと、正義と悪に大きな違いは無い。
なんでこの話を入れたかって言うと、まぁ「書きたくなったから...」としか言い様がないんですけども.....
本編自体には関係ないですが意外と重要なお話なのでぜひ読んで頂いて、どういう内容なのか考えて貰えたら嬉しいです。