Story:5『災厄試練/2.唸る拳』
皆様の意見を見て今後の参考にしたいと思いますので、気になったらぜひ気軽に感想や評価をお願いします!
ふぇぇ......ここ数週間は忙しすぎて...
大学生になって初めての春休み!
長野でのスノボ、玉アリでのライブ、千葉の夢の国、大阪で食べ歩き、京都への小旅行、映画、舞台、ApexLegendsの配信開始etc...
目が回るほど忙しかったけど楽しかったです(´º∀º`)
「ぐっ...この人形の魔法なかなか威力があるぞ!」
襲いくる無数の魔法攻撃によってビリビリと盾越しに伝わる振動にメルドが眉を顰める。今の彼はなんのスキルも使わずに自身の持つ大盾のみで遺物機巧人形のとめどない猛攻を防いでいた。
正しくいえば習得しているめぼしい防御系スキルが使えない状態のため、必死に持ち堪えているだけなのであるが...そうなってしまった理由は人形の腕が明らかに異質で、これまでの白兵戦の概念をぶち壊す多腕という存在だったから。
6つ装着されているその腕の1つ1つが違う種類の魔法を繰り出すため厄介なことこの上ない。
さらにはある程度予想をつけて防御を行っても多腕というだけで確実に意識外を突くような攻撃が飛んでくる。その攻撃から自分を含め3人を守っているうちに手数で差をつけられスキルを浪費してしまったのだ。
多くのスキルにはそれぞれ異なった時間のCTが設けられており、それを自分で調整して戦うのが基本となる。
つまりCTを上手くコントロールしなければスキルを使えなくなり攻撃も防御も出来なくなる。
───という訳でもない。そもそも剣を持っていればスキルを使わなくても攻撃は出来るし、盾があるならば攻撃も防げる。スキルが使えないというのはそういった動作に付加価値がないという事。
ただ斬るだけの攻撃に鋭さを増したり、魔法的要素を付与したり...自分が構えている盾では守りきれないような攻撃から味方を守ったりなど。そういった+αがスキルなのである。
そういう付加価値が得られないメルドはウィンドウをいじり素早く装備変更をし、普段使っている大盾より縦も横も高く幅広い、装備中はほぼ移動できなくなるという一切の機動性をかなぐり捨てた弧を描く超巨大な不動の大盾を構えている。
「シグレ、《仙才鬼才》と〈鬼人演舞〉を使ってくれ。ウイッチって名前の通りなら恐らくあれは近距離が手薄な中遠距離型だ。インファイターのシグレに攻め込んでほしい」
「じゃあサポートはお願いね」
「任された」
「"仙才鬼才"、"鬼人演舞"!」
跳ね上がる時雨のステータス。スキルの発動を確認したメルドは不動の大盾をしまい、いつもの盾に切り替えてジル1人を背中に守りの構えを取った。
視界が開けたその瞬間、異形の人形のいる場所へ肉薄するとギリギリと金属が擦れ合う音を響かせながら首が動いて時雨を捉え、各腕がそれぞれ魔法を発動する。
炎槍、水球、電撃、石礫、光弾、闇鎖。6種の敵意が向かってくる時雨を狙い宙を駆け、その全てが寸分の狂いもなくただ一点を消し去るために注がれた。
「これまでにたくさんのモンスターと戦ったからね、スキルのレベルが上がって新しい技もいくつか覚えたんだよ」
「"投剣/森羅"!───くそっ、シグレ!確実に動きを止めるのは無理だ!細かい事はそっちで頼む!」
あとに続く攻撃を抑えるためにジルが人形の動きを止めようとするが既に放たれた魔法までは止められない。さらにブチブチと拘束を解き進め追撃を加えようと多腕が銃口を向けるようにして時雨を狙い澄ます。
「"瞬歩"」
第一波が着弾する直前、超加速をして戦線を突破する。〈瞬歩〉、〈追憶〉や〈縮地〉といった瞬間移動とは少し違う、ただ早く走るだけの高速移動スキル。
壁などで遮られれば反対側に移動することすら出来ないが、障害さえなければ自らが体を動かす限りMP消費や効果範囲、制約などは特に無く動けるステータス依存型の移動方法だ。
時雨は周りの全てを、自分自身の気配すらも置き去りにして加速する。まだ人形は時雨の居た場所を凝視して魔法を繰り出していて、もうそこに居ないという事に気がついていないらしい。
「"発勁"!」
そして、そのスピードにさらに全体重を乗せて生み出した勁を人形の腹部へと激しく叩き込む。それを知覚出来なかった人形は大きく罅を入れながら後方へ突き飛ばされた。
が、人形もタダではやられない。ボロボロになりノックバックをくらいながらも銃口は時雨に向き魔力を練り上げる。
「おっと、余計な事はさせないぜ、"クイックショット"!」
そんな声と共に背中からジルの射った矢が的確に多腕を穿ち魔法の発動を阻害。ガシャンッと人形が僅かに跳ねて背中から着地し、罅の隙間から鉄臭い煙を上げて微動だにしなくなった。
「───◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆!!」
「「「っ!?」」」
と思ったのも束の間、先程までの沈黙が嘘のように機械仕掛けの人形は死に際の虫の如く手足を急激にばたつかせて絶叫する。
迸る魔力が銃口の許容限界を超え、自らを壊しながらも収縮、放出される。なんの狙いもない無差別な破壊が眼前に迫り、まるで「逃がさない、全てを消し尽くす」とでも言っているかのよう。
「っ..."空斥"、"瞬歩"」
知覚能力が向上している今でも避けるのが難しい乱れ打ちを、スキル主導で発動する回避スキルの〈空斥〉と高速移動の〈瞬歩〉を駆使して紙一重で避ける。
「なっ...発狂モードってか!?」
「ジル、危ない!"追憶"!」
「うぐぁっ!?......た、助かった!」
戦いが終わったのだと思い前へ出てきていたジルに極光が迫った。前へ出てきていたと言っても幸いまだ時雨の後ろの位置に居たジルへ〈追憶〉で近づき、数発被弾しているところを回収してメルドの後ろへと逃げる。
「溜まり直したぞ!"不撓不屈"、"カバーリング"、"カウンターチャージ"!」
「シグレ、ひとまずメルドに任せて距離をとる!」
「え?わ、わかった!」
メルドはダメージを一時的に無効化する《金剛不壊》ではなく、どんな攻撃を受けても効果時間の間は必ずHP1で堪える〈不撓不屈〉を発動。
さらに、味方へのダメージを全てを肩代わりする〈カバーリング〉も使い一瞬でHPが1まで消し飛んだ。
「◆◆◆◆!」
「そっちには行かせない。"フォートレス"、"オーラシールド"!」
痺れを切らした人形が直接時雨とジルに攻撃をしようと突貫を仕掛ける。が、CTが終わった〈フォートレス〉により道を阻まれ、〈カバーリング〉が解けたタイミングで魔法を放っても〈オーラシールド〉で防がれる。
カチッ...とメルドの視界の端で何かのゲージが溜まり切った。CHARGEと表示されていたそのゲージがBURSTという表記に変化する。
〈カウンターチャージ〉。許容限界1000のゲージを持つ、受けたダメージを蓄積させるスキル。それが最大まで溜ったのだ。
「ジル、いいの?メルドが1人だけど...」
「あぁ、大丈夫だ。それと、あいつは次の行動で数十秒使い物にならなくなる。が、それは人形も同じで一瞬だとしても必ず動きが止まるからそこを狙うぞ」
「う、うん。了解」
後ろで戦況を見守る時雨とジル。時雨が前に出てメルドを助けなくていいのかと焦るが、それを静かにジルが宥めた。
そして眩い光に包まれるメルド。彼は〈カウンターチャージ〉で蓄積したダメージを倍返しにして吐き出した。
「ジル、シグレいくぞ!"フルバースト"!!」
〈カウンターチャージ〉の対となる〈フルバースト〉は蓄積したダメージを2倍にして敵に還すスキルで、反撃後はHPが大体1なことに加え他ステータスも著しく低下する可能性と脆さを同時に含んだ技だ。
「◆、◆、◆」
「今だ、"投剣/森羅"......仕留めろシグレ!」
ギギギギギ...と半壊状態の人形は未だに敵を倒さんと死に体を無理やり駆動させる。
少しずつ、本当に少しずつ、もう原型も留めていないその手に魔力を収縮させるがそれをジルに邪魔されて上手く事が進まない。
そんな人形へと時雨は静かに歩み寄り、右手を後ろへ引いて最後の技を発動した。
「さよなら、"貫突"!!」
対人仕様厳禁とまで言われる貫手は、一点集中で急所を攻撃し確実に壊す殴打技の1種だ。
スキルの副次効果で只々貫通力と破壊力を求めた四本貫手が人形の罅割れた腹部を完全に貫通する。
「◆......◆◆、◆─────」
今度こそ本当に遺物機巧人形は駆動を停止し、金属で出来たその身をポリゴンへと変えて消滅した。
「お、終わったぁ〜」
「メルド、大丈夫か?」
「あぁ。取り敢えずは問題ない。暫くじっとしてれば元に戻るしな」
へたりこんだ時雨がため息まじにりに勝利に震え、盾も体もボロボロになったメルドをジルが肩を貸して支える。
3人は目を合わせて笑い合い、勝ち鬨を上げた。
「「「おつかれさまー!」」」
ポンッ
「お、あれは...」
「宝箱かな?」
「勝利報酬か、開けてみようぜ!」
遺物機巧人形が居た場所に軽い音がなると同時に現れたいかにもな宝箱。3人はどんな凄いアイテムが出てくるのかと期待に胸を膨らませて箱に手をかける。
ゆっくりと蓋を開いたそこにあったのは、装飾が美しく輝く丸い鏡だった。時雨がそれを代表して手に持ち詳細ウィンドウを確認する。
|反魂鏡:災厄|
現在までのプレイヤーの戦闘記録で最もレベルの高かったモンスター1体を強制的に鏡を破壊することにより蘇生する呪われた骨董品
パリンッ────
「「「は?」」」
いきなり起こった事に目が点になる3人は時雨の手の中で割れた鏡を見つめる。アイテムの詳細な説明を見てみれば厄介な内容が書かれていた。
タダでは転ばない...そんな遺物機巧人形の意思が詰まったかのような呪われた鏡。
「うっわ...だりぃ。倒した後にさらに罠かよ。でも俺が今まで戦った中で1番レベル高いのさっきの75の人形さんだわ」
「おれも」
「シグレは?」
「いやいや、ジル。魔王様ならきっとレベル100とかだぜ?」
「まじか〜、本当なら笑えねぇよ」
「だな」
「「ハッハッハ」」
ジルとメルドの乾いた笑いが激しい攻防の爪痕が残る空間に虚しく響く。
「.........ごめん」
「「.........で、いくつ?」」
サァー...と青くなった時雨の顔に2人が頬を引き攣らせて質問をすると、場の雰囲気と同じくらい重くなった口を動かして時雨は答えた。
「...250かな」
「「ふえぇぇぇ」」
『────対象となるモンスターの肉体と魂が切り離され特定アイテムに吸収されているため蘇生に失敗しました』
久々に聞いた気がする無機質な女性な声が聞こえてくる。その内容はアイテムによる強制蘇生が失敗したという報告だった。
「あ、がっ......」
「「...お、失敗?」」
どこからともなく聞こえてくる声に、ジルとメルドは天井の方へ顔をむける。なんとなく、そこら辺から聞こえてくる気がするからだ。
『代替措置として特定アイテムの吸収・統合の概念を利用します。それにより固有装備"夜叉"に蘇生対象となる"鬼神魔王大嶽丸"の性質である〔狂鬼化〕を吸収し、付与を行いました。』
だが......そのせいで2人には1つの変化が見えていなかった。張り詰めていた緊張の糸がほぐれ、1つの声に耳を傾けてしまったせいで、時雨の異変に気がつけなかった。
『また、擬似人格"大嶽丸"の構築を開始......第1プロセス:吸収され分散した蓄積データの復元に成功しました。第2プロセス:主人格に並行した擬似人格の統合に成功しました。第3プロセス:"夜叉"を依代とした"大嶽丸"と親和性の高い〔狂鬼化〕への擬似人格定着に成功しました。最終プロセス:保有耐性スキル〈精神攻撃耐性(中)〉が一連の行程をレジスト.........失敗しました。〈精神攻撃耐性(中)〉ではレジスト不可能です』
そう言ってアナウンスは終わる。残るのは内容の意味を理解しようとする彼らだけ。
「......聞こえなくなったな」
「鬼神魔王大嶽丸とか〔狂鬼化〕って何の話だ...?」
いや、もう1人──彼がいる。
「......ククク、クハハハハハハハハ!!」
「「シグレさん?」」
「蘇った...私は、大嶽丸は今ここに蘇った!!」
悪夢が依代の夜叉を介し時雨の体に入り込んだ。
一難去ってまた一難...!?
気がついたら第2章Story:5を投稿した現在でブックマーク900↑、総合pv20万↑を頂きました。作品を読んでくださっている読者の皆様、いつも本当にありがとうございます!
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CCCコラボ初参加⸜( ॑꒳ ॑ )⸝
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