Story:20『表彰式/2』
皆様の意見を見て今後の参考にしたいと思いますので、気になったらぜひ気軽に感想や評価をお願いします!
なんとか年内にもう1本間に合いました...
みなさん、今年1年はどんな事があったでしょうか?
色んな所に旅行に行った人、受験で頑張った人、何かしらの夢が叶った人、コイビトガデキタヒト。
また来年も色々な事があるかと思いますが、皆さんが楽しく過ごしていけることを願っています。
では、本編をどうぞ!
『第5位!"ジョアンナ"!おめでとう!彼女の豊満な胸に酔いしれるがいい……大胸筋だけどね!人的被害がなければキャラが立ってて僕は好きだぞー!コメントよろしい?』
『あらぁ、もちろんおっけぃよ?今回のイベントではいろんな男の子とズッコンバッコンヤリあえて最高だったわ♪これからもよ・ろ・し・く♡』
ドンッ…!という擬音語が聞こえてくる気がする程筋骨隆々のおねェさんがそこには居た。逞しい肉体と今もなお脈動に合わせてピクピクと動く胸筋にはサムとかジェイムズなんて名前をつけていそうだ。もはや線画の時点で描画が他と違うレベル。
今回のイベントではそれはもう楽しめたようで、戦いを思い出しながらクネクネとしているカノジョを見て会場で震えている人達は被害者であり戦友なのだろうか?カノジョの言動からそれを考えるのが少し怖い。
『う〜ん、今後男性諸君はフィールドを歩く時に背後に注意しようね!不審者を見かけたらGMコール待ってるよ!』
『そんなGMコールいかないわよぉ〜』
そんなどこか不穏な空気を感じ取った御子柴が自分のお尻に手を添えて冗談めかして注意喚起をすると、「あらやだ〜」と言いつつジョアンナが否定した。本人がGMコール騒ぎが起きないと言うならばそうならないだろう。それを聞いてほっと御子柴は胸を撫で下ろした。
『それは良か『だってバレないようにヤルものぉ〜!』くない!エル、今すぐBANだ!』
『父上、それは横暴ですよ。現行犯以外でそのような対応は簡単にできません』
バレなければ犯罪じゃないと堂々と言ってのけるジョアンナ。基本的に運営のプレイヤー処分の方式も警察と同じで、事件が起きてからではないと動き出すことが難しく「しそうだから」「やりそうだから」なんて理由で対応する事はほぼありえないため、誤BANを防ぐためにはやはりどうしても後手に回ってしまう部分が大きい。
なので監視体制は相当堅固なものとされている。わざわざそれを掻い潜って犯罪行為や迷惑行為をする輩は本当に面倒だが、ある意味では警戒の穴を知る機会でもあり、一部の運営スタッフはそういった手合いを戦略型ボードゲームのように追い詰めては抜けられて、その度に自陣を固めて…という流れを繰り返していた。
『たしかにっ……!男性諸君、お尻を引き締めておけよ!!ジョアンナく『あ"?』ちゃんありがとうございましたー!』
悔しそうに拳を握りしめて渋々納得した御子柴が再度男性プレイヤー達に注意喚起をし、締めくくる時に少し敬称のミスがあったようだがなんとかその場を納めてジョアンナを元いた場所に転移させた。1つの山場を超えたかのように額の汗を拭い、次の表彰に移る。
『第4位!"リヒト"!おめでとう!おっ、彼は我々運営がモニターしてる中、ゲーム内1%弱しか存在していない釣り人じゃないかっ!その戦い方はまさに釣り人のソレ、相手を釣ったら即血抜きのスピード勝負!是非とも運営としてはコメントがほしい!』
『あ、大丈夫やで。今回はな、魚のモンスターさんにバレないために手に入れた気配遮断系スキルと拘束系スキル、極小判定の確率即死スキルが上手くハマってくれましたわ。今後もよろしゅうたのんまっせぇ〜』
転移してきたプレイヤーは珍しい職業らしくやけに御子柴が興奮している。背中に背負われたロッドは彼の身長の約2倍で10'はあり、ズボンには様々な形の刃物がいくつもレザーシースに入った状態で装備されていた。
もう1つの現実とも言えるこの仮想世界では食事をとることができ、自分で仕入れた食材を使うこともまた可能。そして、仕入れる食材の大部分がモンスターなのだから自分で戦うことが視野に入っていないと話にもならないのだろう。それがこのゲームで釣りをするのに必要な"魚を相手取る時の心持ち"というやつだ。
こんな正式リリースされてすぐのフィールドにある釣り場にいるとは到底思えないが、今後彼はリヴァイアサンとかクラーケンとかを釣ってしまうのかもしれない。神話の水生生物は美味しいのだろうか…?
『……ふむ………戦闘においてあまり期待は出来ないと思っていたが...おっと、すまない続けよう。まさかの情報公開だね!にしてもプレイヤーを活じめってのは割とグロそうだ!しかも対人だとスキルの即死判定確率が下がる中、リアルラックで勝ち上がった彼はすごい!リヒト君、ありがとうございましたー!』
御子柴は彼の話を聞いて『なるほど、その手が!あ、でもあれは対人向けじゃないから…』と目をキラキラさせたり少し考え込むようにして内容を反芻した。意識を戻して今までのプレイヤーと同じように釣り人を送り返し、数秒カンペとイヤーカフスで進行を確認すると照明やスポットライトの色が変わる。
『ここからはトップ3の表彰だ!』
御子柴のその言葉に会場がわっと湧き上がるが、唇に人差し指を当てて『しーーっ』という風にすると雰囲気を読んだプレイヤー達はすぐに静まり返った。
鳴り響くドラムロールと、会場を駆け巡る鮮やかなスポットライトの光。ダダンッ!とひときわ大きく音がなり、バラバラの場所を照らしていたスポットライトが1箇所に集まって1人のプレイヤーを照らし出す。
『第3位!"白・ヘイへ"!おめでとう!彼のリスペクトしている人が手に取るように分かるね!しかも実力はまさに狙撃の王にふさわしい!その名に恥じぬ今イベント弓士最多キルで見た目と合わさり2つ名は白い死神で決定だー!!』
ステージ上に現れたのは純白の人型、俗に言うギリースーツに身を包んだ外見的特徴が乏しいプレイヤーだった。顔も目・鼻・口全てが隠れる真っ白な仮面をしているため表情すら窺うことは不可能であり、どうやって外の世界を見ているのかが不思議でならない。
『ふっ、我の実力が露見してしまった…な!今はまだ弓装備だがいつかはこの世界の鉱石を用いて狙撃銃を作ってみせるぞ!ふはははは!それとコメントは使ってもらってOKだ!あっ、いえいえ、どうもありがとうございます』
キザったらしく香ばしいポージングを決め、大声で笑いながらこれからの夢であり目標を語るまっしろしろすけ。「変わった鉱石見つけたらおらんとこ来るがいいさー!」「経験者の儂が手ずから機構を組み立ててやるぞ、ほっほっほ」と、目をつけられ始めている。
つい数秒まではエネルギッシュな態度だったが最後は観覧席からの「おめでとー!」という賛辞にペコペコと頭を下げているあたり悪い人ではないのだろう。
『彼本来の人の良さも若干露見してしまったようだが、ロールプレイングスタイルは私も大好きだ!ぜひ銃作りに奔走してくれ!シロ君、ありがとうございましたー!』
御子柴は出来るとも言わなければ出来ないとも言わずに応援の言葉を送り、彼をステージ上から転移させた。生産職と思われるいくらかのプレイヤー達は小さなヒントと答えの方向性を理解し瞳に静かな炎が宿している。
『第2位!"黒薔薇姫"!おめでとう!どこか危うい印象に映えるダークレッドの髪が怪しくそれでいて美しい!戦場を駆けるその姿はまさに地獄に咲いた一輪の黒薔薇!強いて言うならヴァルキリーって感じだね!コメントは貰えますかい?』
花が咲いた。
誰もがそう錯覚する程に美しく華奢な女性がステージに立っている。光の当たり具合で紅にも黒にも輝く地に着くほど長いつややかな髪はふわふわと揺れ動き、その1本1本が絹糸のように舞う。
御子柴は喪服とドレスを無理やりくっつけたような不思議な装備を見て生者と死者を定めるヴァルキリーに例えたのだろう。どちらかと言うと死の概念の方が強いように感じられる。
『ヴァルキリーですか...まぁ、問題ありません。此の度は初イベントで2位という結果を手に入れられたこと、大変嬉しく思います。1位になれなかったのは悔やまれますが、今度は負けませんわよ?変態さん。では、皆さんcarpe diem』
『おっと、次回以降のイベントでは勝つと1位の変態に宣戦布告だー!ラストは私も手に汗握る戦いだった、これからもぜひ楽しませてくれ!ノワちゃん、ありがとうございましたー!』
カーテシーを華麗に決めて柔和な笑みを浮かべる彼女は、最終戦で負けた相手に対し次回以降に向けての宣戦布告をする。くるっと1度ターンをしてドレスの裾をふわりと遊ばせると、エフェクトで黒薔薇を散らしながら一瞬で消えた。
『そして第1位の発表───の、ま・え・に。ここでサプライズの発表がある!』
「なんだなんだ?」「さっきのアプデのやつじゃね?」「いや、あれは表彰が終わってからだろ?」「んじゃなんだよ」「いや知らんわ」「次回のイベント告知とか?」「さすがに気が早すぎるって」
ざわざわと喧騒が大きくなりサプライズという言葉の真意を探し始めるプレイヤー達。ある者はアプデ内容の発表だろうと、ある者は次のイベント告知だろうと。違うならなんなのだろうか?と。
『今回のイベントでは我々運営スタッフ数名によって選出された特別賞受賞者が5名いる!さぁ、ステージに上がって来いよ!"アリアナ"、"海斗"、"μCell"、"snow"、"シグレ"!おめでとう!』
わっと盛り上がって直ぐに再度暗転し、5つの照らし出された光の柱。黄、青、桃、白、朱殷。それぞれの雰囲気やイメージに合わせたような光が彼らが転移してくるのと同時にステージ上へと移る。
『はっきり言って明確な選考基準は無い!我々運営スタッフがイベントをモニタリングし、順位関係なく、素晴らしい戦いを見せてくれた事が選ばれた理由だ!ありがとう、君たちの戦いはとても感動的だった!なんとこっちの受賞者にもアプデ後にプレゼントの配布がある。ちゃんと確認しておいてくれ。また、これと同じように今後のイベントでもサプライズの表彰がある場合もあるから順位が低くても諦めずに頑張ってくれ!』
例の如くなにも知らされていなかったらしい彼ら彼女らは急な表彰に呆気に取られてわちゃわちゃと取り乱し、それを笑いながら落ち着かせた御子柴は芝居がかった動きで健闘をたたえてプレゼントの追加配布を宣言した。
彼は1人ずつそれぞれの前に立つと一言二言拡声器をオフにして会話をし『おめでとう!』と言葉を送って元の場所へと帰していく。
コツ、コツ、コツ、コツ、コツ......
足音が呼び出された順番にならって近づき、その向かう先の最後は時雨。少し高いところからの視線と時雨の視線が重なると彼は悪戯心を滲ませた声で笑いかけた。
「シグレちゃん、君のは少し特別製だ。が、上手くいくかはその時々の君次第だがね」
「え?」
言葉の意味がいまいち分からず半開きになった口から間抜けな声をあげてしまう。頭上に?を浮かべる時雨に「ふふっ」と小さく笑った御子柴は事の説明をし始めた。
「今回のイベントディレクターが君にいたくご執心でね。まだ公式発表されてはいないが、イベント毎にそれを担当したディレクターが個人的なMVPを決めることになってるんだ。その報酬として君のプレゼントの仕様がほんの少し違うものになっている。これを公表するかしないかは君次第だが、禍根をなるべく残したくないのなら私個人は公表することをオススメするよ。それでは『おめでとう!これからもかんばってくれ!』
そう言われた瞬間今の今まで目の前にいた御子柴は消え、一緒に会場へと転移してきた雪が横に立っている。どうやら消えたのは自分でステージから戻されたらしい。
───少し特別製だ。
この言葉の指す意味は分からないし、上手くいくかは場合によって違うらしい。結局のところ運任せに近いものだろうと時雨は特に深く考えず、公表するかどうかについては雪に聞いてからでも問題ないだろうと表彰式の続きを見守ることにした。
『さぁ、ついに栄えある第1位の発表だ』
御子柴を照らす白光以外の全てが暗闇に変わり、数メートル先ですら見えなくなった会場。今までと少し変わった雰囲気に多くのプレイヤー達が息を飲んだのが分かる。
数秒の沈黙の後、バックで流れる誰かの視点を映したモニターの音と御子柴の声が会場に響いた。
『彼は逃れることの出来ない深い業を背負った闇の世界の住人。背中に輝く得物はあらゆる敵を恐怖のドン底に叩きつける!!紳士にして変態、いや!変態だからこそ紳士!!』
モニターに映る視点が目まぐるしく上下左右に動いて視界の端にチラチラと敵らしき影がたまに見えるが一瞬で光の粒となり消えていく。激しくも美しい一連の動きは2位の女性の体を袈裟斬りにした所で終了。
そして、勝利を収めた彼の視点は空へと向けられ、光を失った都市の上に輝く満天の星空とその中でも圧倒的な存在感を放つ月が彼を見下ろしていた。まるで祝福するかのように...。
『第1位!"純愛紳士"!君がYour Own Storyの初イベントでの初優勝者!君が1位だ!!おめでとう!』
「おめでとーー!!」「よっ!変態!」「今度一緒にロリについて談義しましょうねぇ"ぇ"ぇ"ぇ!"!」「「「これだから男は...」」」「賞味期限切れは黙って──」「「「は??」」」「ひょっっ」「殉死したな...」
『…………』
『おーい......どうしたんだい?その、コメントは貰えるだろうか?』
御子柴やその他プレイヤーの盛り上がりに反し、転移してきた彼は世界の全てに絶望したかのような顔で立っていた。瞳には光を宿さず、希望も抱かず、夢すらも持ちえない悲愴な顔つき。
服装がタキシードスーツのせいもあり、シルエット的にリストラされた直後のサラリーマンに見えてしまうほど哀愁が漂っているが、シルクハットの場違い感が痛々しく、大きなピンクの蝶ネクタイは笑えないほど今の状況にミスマッチ、ミステイク、ミステリアス(笑)の三拍子。......笑えてしまった。失笑だ。
正直見ただけで言うなら変な人でしかない。
そして、ついに変人は重い口を開いた。
『......萎えた』
『はい?』
第一声。ぼそりと呟かれたその言葉が上手く聞き取れずに彼の口元へ耳を寄せると、コヒューコヒュー...と掠れた呼吸音だけが聞こえてくる。
なんだ?と首を傾げつつもう一度近づいたその時、彼の魂からの叫びが会場にこだました。それはもう、咆哮と呼べるものだった。
『萎えたと言っているんだぁぁぁ!!』
真っ赤になった顔で大きく口を開き、目を血走らせた紳士は声を大きくして再びその心境を言葉にする。その予想外で想像にもしなかった言葉が放たれたことにより会場も、すぐ側に立っていた御子柴でさえも面食らって数秒立ちつくした。
『そ、それはまたどうしてだい?』
ハッ...と、会場にいる誰よりも先に状況に追いつき真意を測ろうと動き出すが、若干頬が引き攣っているのは自らがプロデューサーとしてこの場に立っているというのに目の前で「萎えた」と言われた事に多少なりとも思うところがあったのだろうか。
そんなことに気がついているのかいないのか判断は難しいが、臆することもなく正面から彼は対峙する。自らの欲望を吐露して。
『だってこのゲームには可愛い幼女がいないじゃないか!戦う相手は蛆虫と年増のオバサンばかり。いつかは幼女と戦って蔑まれながら負ける…それが最高のシナリオだったのに!倒せば倒すほど幼女から遠ざかる!なんでなんだぁぁぁぁ!!』
『いや、一応このゲームCERO.Cの15歳以上対象ゲームだからね?それと会場の殺気がヤバいから2度とさっきの言わないでね?』
言った。言ってしまった。一部の紳士を覗いた大多数のプレイヤーから濃密な殺気が注がれる。だというのに彼は本気で泣いていた。心から泣いていた。幼女を慮って。
純粋すぎるほどの不純な動機という不思議な状況に、誰も彼もが呆れ果てて逆に感心し苦笑する。そこまで1つの事に心血を注げるのもまたその人の強さなのだろう。
だが彼は完全に幼女と会える可能性が無いと判断してしまったらしい。もう、熱意を捧げる意味は無いと言わんばかりに宣言した。
『──初イベント初優勝にして、引退だなぁ〜...』
"引退"。その言葉に1人の男の眉がピクリと動く。大事なユーザーの引退宣言を間近で聞いて「うん、いいよ」と立場的にも言えるはずがなく「逃がしてなるものか必ずや沼に嵌らせてやる...」と、神が動いた。
『…ちょっと待つんだポップ君』
『なんです?』
『はぁ……よし、みんなも聞いてくれ!急ですまないがこのまま大型アプデ内容の情報公開に入る!』
御子柴は紳士の「萎えた」という気持ちを「もっと遊びたい!」という気持ちに明転させるため、表彰式とその後の流れが書かれた台本を足元に落とす。
『順序が少々変わってしまうが…喜べポップ君、この発表は君にとって最高の内容だろう』
『……?』
『現状、ゲーム内で魔物型モンスターを従えて従魔とすることが可能なのは知っているな?』
『まぁ、はい』
未だ全体の半分にも満たないが従魔を仲間にし、その有用性や癒しに気がついたプレイヤーは割と多く存在する。が、従魔に出来るのはフィールドにいるモンスターのみとなっていた。街中のNPCを従魔になんて出来るわけがないのだから。
もちろん、それを知らない紳士ではない。妥協点としてドライアドやエアリエルなどを探したくらいだ。精霊ってイメージ的にロリっぽいじゃん?可能性あるんじゃね?と、強さ関係なく見た目重視で。だが残念なことに現状発見できずにいた。
『本題としては、アプデ終了後に全プレイヤーを対象として1つずつ"デミたま"を配布する』
『なんすかそれ』
彼がしっかりと従魔のシステムを認知していることを確かめた御子柴は続いて本題のデミたまなるアイテムに話を転換した。これから追加されるアイテムに反応してしまうのはいちプレイヤーとして当たり前で、彼も僅かに反応を示すがまだ...まだ1歩踏み込んでは来ない。
そんな彼に少し焦りつつも、まだこれはジャブだと布石だと、最後の必殺の一撃へ繋げるための準備段階なんだと乾いた唇を湿らせて言葉を繋ぐ。
このユーザーはウィークポイントが丸裸なのだからここで退く訳にはいかないのだと、守りの姿勢ではなく攻めの姿勢で御子柴は前に出た。
『デミたまとは従魔の生まれてくる卵を意味する。攻撃職ならサポート系、サポート職なら攻撃系、もしくは自分と系列を合わせて戦力増強──というふうに、生まれる従魔の種別を概ね自分好みに選ぶことが出来るアイテムだ』
『だからなんだよ…別に俺はケモナーじゃな───』
『その全てのデミが、選べる獣型or人型の幼体で性別や名前も各プレイヤーで決められる』
『ひゃっほぉぉぉぉぉいい!!!』
「初老まで熟成させたるでぇぇぇぇぇ!!!」
それ即ち、幼女がいないなら幼女がいる世界に変えてしまえばいい。また、幼女以外も選択出来る。これにはショタコンの方々もケモナーの方々も発狂した。年上好きもいるらしい。
一撃必殺即死確定、黄金の右ストレートが完璧に決まった。喜びに打ち震えてガクガクと震える足は小鹿のようで、白目を剥きかけた顔は放送禁止になっても仕方がないほど性癖に忠実な喜色を浮かべている。
『一定までレベルが上がる毎に進化ないし上級職へ変化していき見た目も成長して成体に変わっていくが、特定アイテムで幼体、半幼体、成体のどこで止めるかが1度だけ選べる』
『オーマイガッ!』
つまり幼女は永遠であり不滅であり不老の存在となる。
『御子柴さん…いえ、御子柴様!俺は一生あなたについて行きます!』
『そうかそうか。じゃあ、今後も楽しんでプレイしてくれるかい?』
『あったりまえですよ!!金髪ロリ!黒髪ロリ!桃髪ロリ!どれでもばっちこい!やっふぅぅぅ!』
『まぁ、デミ達にもハラスメントガードプログラムが搭載されているが…』
『ん?神よ何か言いましたか?』
『いや、ナンデモナイゾ』
「お触り禁止とは言わないがもちろん限度はあるんだよね...」御子柴はその言葉をそっと飲み込んだ。彼が18禁系のロリコンなのか愛でるタイプのロリコンなのかは分からないが、今言ってもあれかなと口を結ぶ。
『さて、色々予定が狂ったがこのままさっきAliceちゃんが聞いてきたクランについての話に移るよ』
神の足元に縋り「えへ、えへえへ。これからもこのゲームについて行きやすぜ!おや、今日もイケメンですねぇ!」と盗賊の下っ端みたいなことを言いながら態とらしく媚びる彼を転移させ、少し前に話に出たクランについて話し始めた。
『今までこのゲームにパーティーは存在したが、クランやギルドという枠組みのシステムは存在しなかった。まぁ、自称という形になってしまっていた。それが次からホームハウスを導入し、対抗戦が行え、ランキングも実装されるようになる。さらにイベントにメンバー全員で挑める場合が今後あるが、ソロや今まで通りのパーティーでももちろん参加はできるし、基本的に不利ということもない。時間効率とかは変わってきてしまうだろうが』
もっと多くの仲間と広大なフィールドを旅し、一致団結してイベントを乗り越える。難しいことではあるが、ソロとは違った楽しみ方や達成感を得られる1つのプレイの仕方。目標をクリアしたあとはホームハウスでパーティーでもすれば完璧だろう。
「俺がトップクランのクラマスになってやるぜー!」「男子禁制の女子限定クランでも作ろうかしら?」「カップル撲滅クラン作ります。いえ、PKではありません。PVPですよ、えぇ」「ワイ、コミュ障。誰か拾ってたも」「神は言っています。幼女を愛でるためのクランを作れと...」
『その他に、上級職の追加。ステータスをランク式の表記へ切り替えられる機能追加。新モンスターと新スキル、新アイテムの追加。各スキルと各アイテムの性能を微調整。ギルドシステム追加。NPCだけでなくモンスターのAIにも学習能力を追加。新たなフィールド追加。ゲーム内ストーリーに則ったワールドクエストの追加。NPCの雇い入れ機能追加などなど…これ以外にも多くの追加と修正があるがそれは公式サイトで更新されたら確認してほしい。こういう風に、なるべくみんなの要望に応えたり、プレイする際に分かりやすいように今後も多くの追加と修正がありそれが我々の仕事だ。だから、不満や要望がある人は遠慮なく運営の公式アドレスからメールで送ってくれ。全てに応えられる訳ではないが、対応できるように努力しよう。以上で主要内容の発表を終わりにする。詳しい事や他の細かな内容は明日辺りに更新される公式サイトを参照してくれ』
多くの追加事項とそれ以外にもある修正。その中で今明かされた内容を聞きプレイヤー達の喧騒は一層強まった。特に上級職、新たなフィールド、ワールドクエスト......この3つの時の反応が段違い。
より高みを目指して職を極め、見たことも無い世界を誰よりも早く駆け抜け、この世界を揺るがす程のクエストをクリアする。ゲーマーならワクワクして当然だ。
『あ、そうだ。大型アプデの日時について忘れていたよ。日時は1週間後、来週金曜日の深夜0時からお昼の12時まで行う。その間はプレイはもちろんログインも出来なくなってしまうので把握しておいてほしい。たいへん長い時間待たせてしまうことになり申し訳ないが、多くのプレイヤーが休日であろう土日には通常通りにプレイ出来るようになるはずだ』
木曜日から金曜日へ日付が変わると同時に始まり、お昼の12時までのちょうど12時間。休みの人が多くなる土日の前にアプデを挟んできたのは「休日にゲームが遊べない」なんてことにしないための対策らしい。
全てのプレイヤーが土日休みではないだろうが、少なくともほとんどの学生は部活があったとしても休みであろうし、一般社会人も割と休みが多い。それに合わせてくれたのはシンプルに嬉しいらしく「休日は新フィールド最速踏破だ!」と興奮している人がたくさんいる。
『それでは改めて。みんな……お疲れ様!!』
「「「「「お疲れ様ーー!!」」」」」
「「「「「オツカレサマーー♂♂」」」」」
『なんか違くないかね!?』
─────きっと、明日もゲーム日和だ。
新年1発目はキャラ紹介の話を組み込む予定です。
ここまでのお話で何人もキャラが出てきましたが皆さんはどの子が気に入って頂けたでしょうか?
もし宜しければ感想ページの所から「〇〇が好きです!」なんて一言送って貰えると作者としては大歓喜です( ˇωˇ )
来年も、よろしくお願い致します。
──────────────────────
【story:20ボツ】
「おめでとーー!!」「よっ!変態!」「今度一緒にロリについて談義しましょうねぇ"ぇ"ぇ"ぇ!"!」「「「これだから男は...」」」「日本男児はみんなロリコンなんだよ!」「今の時代年増の女なんかに価値はないん───」「アウトです」「ロリコンが死んだ!!」「「「このロクでなし!!」」」「悲しいですね」
*元ネタ
「カーニバル・ファンタズム」「風雲イリヤ城」
ふぅぅぅ↓んイリヤ城
c95の中田さんには驚かされましたね(笑)




