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木漏れ日の茶会にて

「試練」編に入ります( ・∀・)ノ

4人空気がガラッと変わります(*´ω`*)

そして、とうとう海斗の転校してきた理由がわかりますよ~(+ФωФ)

(今回少しいつもより長いです!)


次の日、夏真っ盛り中でも珍しく雨が降っていた。


久しぶりの雨でも気温はほとんど下がらず、気候と季節のせいかジメジメとしているため、あまり良いものでなかった。


朝、いつものように登校すると飛鳥と海斗はお互い言葉を交わさず視線も合わせずに、それぞれ別の男子と話をしていた。


まるで最初から友達でも何でもないかのように。


一方、青葉は何故か話しかけずらい雰囲気を放っていたため話す機会が減り、私との間に少し距離が空いたように感じた。


私は、飛鳥と海斗それぞれに昨日の帰りにどうしたのか聞いたが何も答えようとしなかった為、困ってしまったのである。


昼休みの時間になると、海斗と飛鳥が同時に私に一緒に弁当を食べようと言ってきたが、お互い顔を見合わせると飛鳥は離れていってしまった。


その為、残った海斗と一緒に昼休みを屋上に続く階段で過ごしたのである。


ちなみにクラスに戻る時、クラスメイトの女子の一人から飛鳥と青葉が一緒に昼休みを過ごしていたことを聞いた。














どうして、こうなってしまったんだろう。


昨日まであんなに仲が良かったのに、このままバラバラになってしまうのかな。


そう私の中を疑問と不安がグルグルと暴れ回っていた。


私は新しく入った海斗も交えたこのメンバーが大好きだった。


くだらない言い合いや放課後での楽しいひとときが、私にとって大切な時間だったのである。


だから、早く元に戻りたかった。

前みたいに楽しい日常を過ごしたかった。


その思いは未だ誰の心にも届かず私の心の中でくすぶっている。


そして、放課後もお互い会話も何もないまま下校したのである。


飛鳥や青葉は二人で帰ったらしく、海斗は一人で先に帰ってしまったために残った私は一人で昇降口にいた。


自分の下足ロッカーを開け、靴を取り出す。

その時、携帯が振動し飛鳥から一斉メールが来た。


メールの宛先には私だけでなく青葉や海斗の名前もあった。


その文面はと言うと、


「今から前行ったアイスクリーム店に集合。話がある。俺と青葉は先に行ってるからちゃんと海斗と澪も来いよ。」


シンプルにただそれだけ書いてあった。


私はそのメールが来ただけでもとても嬉しかったのである。


昨日まで仲が良かったのに今日になっていきなり変わってしまった私たちの関係がこの先どうなってしまうか不安で仕方なかったから。


私は急いで学校を出て、「木漏れ日(こもれび)茶会(ティーパーティー)」へと向かうのであった。











雨が降っていたため少し時間がかかったが着くと、中に入り居るか確認すると既に3人とも座っていた。


3人ともそれぞれ真剣な顔をしていた。


特に飛鳥はいつも冷静な目差しと雰囲気を漂わせているのに、何故か無言で何か覚悟を決めたような近づき難い雰囲気が出ている。


青葉はいつもと変わらない感じであったが、いつもより少しだけ冷たい雰囲気が出ていた。


海斗もあまり変わらない感じではあるが、飛鳥と同じような覚悟を決めた顔をしているのである。


私はそのただならぬ雰囲気を肌で感じており、少しだけ恐怖を感じたが、意を決し飛鳥に話しかけた。


「ごめん、お待たせ。雨がしつこくて少し遅くなっちゃった。話って何?」


私は努めていつも接している時と同じような声と態度で言った。


すると、飛鳥は


「あぁ、来たか。わざわざ集まってもらって申し訳ない。今日ここに呼んだのは他でもない海斗の話を聴くためだ。」


そうその場にいる全員に向かって言ったのである。


確かにずっと海斗は私たちに話さずにいた。


だけど、それが原因で私たちが1日で変わってしまうものなのか。


その疑問が私の頭の中をグルグルと回っていた。


「あのさ、その前に聞きたいんだけど。その話と今日の避けてるような態度はどう関係があるの?」


私はどうしても気になって聞いてしまった。

すると、飛鳥はいきなり黙ってしまったのである。


「いいえ、特に関係はないわ。昨日と今日でまだ色々と整理がついてないのよ。」


そう青葉が代弁するかのように言った。


「え?どういう事?昨日飛鳥と海斗の間に何があったの?」


私は納得できずについ続けて聞いてしまった。


「今は関係ないわ。彼ら個人の話だから聞かないであげて。」


そう青葉は言うと、飛鳥に話を進めるように飛鳥の方を見た。

飛鳥は青葉に一瞥すると、再び話し始めたのである。


「澪、ごめん。申し訳ないけどこれ以上は聞かないでくれ。それより、そろそろ本題に入ってもいいか?」


「本当に言えない事なのね、わかった。聞かない事にする。それじゃあ、話してくれる?」


私は少し気になったが飛鳥がそう言うのであまり深く聞かないことにした。

それに、海斗の話も聞きたかったからである。


海斗は私たちが話してる間、一言も話さなかったが飛鳥に促され話し始めたのである。


彼の辛く悲しい、私たちに出会う前の話を。














彼は千葉のある田舎町に住んでいた。


そこで近所に住んでいた友達と毎日遊んでふざけあっていた。


しかし、中学生になる頃に急に千葉の都会の方に引っ越すことになり友達と離れ離れになってしまったのである。


都会の方は初めて見る物ばかりでコンビニに行くのも20分くらいかけた田舎とは違い、数分でコンビニに行けた。


風景が静かで穏やかな田園風景が広がっていた町から喧騒と排気ガスと高層ビル群が立ち並ぶ町に変わり、彼は都会の空気が汚くて嫌だった。


友達も心優しく真面目な子たちから、うるさくチャラチャラしてる奴らになり、周りには常識を知らないくせにやけに流行に乗る人間が増えたのである。


彼は都会での生活が耐えられなかった。小さい頃から物静かで

あまり自己主張や会話をするのが苦手だった彼にとって、都会は辛く苦しかった。


彼は毎日のように前の生活に戻りたいと思った。

あの懐かしい心の拠り所である田舎町に帰りたかったのである。


しかし、そう思っていたのにはもう1つ理由がある。


高校生になって進学すると、その進学した学校で嫌がらせが始まった。


当然、学校で静かだった彼は標的にされ毎日何もしていないのに噂を流された。


身に覚えのない噂まで流され、クラスメイトだけでなく知らない奴らにまでヒソヒソと陰口を言われるようになる。


彼は、都会という慣れない場所で特に関わってもいない奴らに散々嫌な事をされたのだ。


ある日、彼は状況を打破しようと自分を変えることにする。

それは心があまりにも堪えられずに逃げる為に取った行動だと、彼は後に思ったようだ。


彼は取り合えず髪型をストレートからクラスの奴らを真似て流行りの髪型に変え、言葉も彼らを真似た。


優しいようなバカにしたような悪戯好きそうな言動を心がけた。


すると、クラスの女子から黄色い声と前と違った目で見るようになり、男子は昔から友達だったかのように接してきた。


あまりの態度の変わりように心底軽蔑したのである。


それからと言うもの、学校中の知らない女子からたまに告白されるようになり、男子はよく放課後遊びに誘われた。


彼はまた前みたいにバカにされたくなかったから、仕方なく遊びに行ったり適当な女子と付き合ったりしてみた。


だけど、元々慣れない事の為に徐々に耐えられなくなり対応が雑になってきてしまったのである。


そのため距離を置き始めると、彼女から冷たくなった等の面倒くさい事を言われるようになり別れを告げられ、つるんでた男子からはつれなくなったと離れていったのである。


離れた奴らは身勝手な理由であった。自分中心な奴らばっかりで相手の気持ちを考えずに、使えなくなると用済みとばかりに平気で人を捨てる嫌いな人間だった。


そして、彼女と別れてからまた女子から嫌な評判を流され、男子からは使えない奴と言われた。


彼は我慢の限界を向かえ、誰も自分を知らない新しいところに行こうと決意したのである。


そうして来たのがこの学校であった。

最初の野次馬たちは、前の学校の奴らと似たような奴らばかりだと思っていた。


だけど、私たちに出会ってからは昔の田舎町みたいな感覚で自然体でいられるため今はここに来れて良かったと思っている。


私たちに会えて良かった。本当にありがとう。

そう彼は言った。














私たちはその話を黙って聞いていた。


私は、私たちが感じた最初の雰囲気を思い出して納得したのである。


そして、話を聞き終えると彼の電車の時間が迫っているらしく解散となった。


みな、終始無言であった。そして、帰り際に飛鳥はポツリと小さく


「話してくれてありがとな。」


とだけ言ったのである。


私たちは全員その思いで一杯だったから頷きあう事しか出来なかった。


海斗は言えて晴れ晴れとしたような顔で少しだけ恥ずかしそうに私たちを見て、そして駅方面へと歩いて行ったのである。


それを見届けると飛鳥と青葉は二人で一緒に帰っていった。


残された私はいつものようにバス停で自分のバスを待っていた。


その間も海斗の話を頭の中で反芻していたのである。


家に帰って何かをしていても、思い出してしまいつい考えてしまうのであった。


私は少しだけ海斗に思いを馳せていた。


嫌がらせされていた時の海斗はどんなに我慢していた事だろう。


すごく辛かっただろうな、と思っていたがそれはただの憐れんでいることでしかないため何も考えない事にした。


彼は共感が欲しくて言ったのではない。

聞かれた事を、黙っていた過去を覚悟を決めて話したのだからそんな共感や憐れみなんていらないのだろう。


だから私は話を聞いている間、何も言わなかった。

私は知っていたから、憐れまれる気持ちが考えもせずに共感される気持ちが。


そう考えている内に、いつもの就寝時間が近づき考える事を止め、ベットに入り込んでしばらくすると寝てしまった。


寝る時も私はずっと、明日の事が気掛かりだった。

そして、願っていたのである。


明日こそは、いつものみんなに戻れますように。と。


そして、朝日が登る。


彼らにとって、また新しい1日が始まろうとしていた。











続く

前回に引き続き、第2回登場人物紹介です!

今回は転校生「橘 海斗」さんです(*´ω`*)


海「初めまして。橘 海斗です。

千葉から来ました、電車で通ってます。

誕生日は10月22日、B型です。

最近は、人(澪と飛鳥)に悪戯するのが好きです。

つまらない奴ですが、これからもよろしく。」


と、言うわけで第2回のゲストさんでした~!

海斗の魅力をもっと知ってもらいたいので、作中でも機会があればお教えしたいものです(*^^*)

そんなこんなで、次回もどうぞよろしくお願いします!(*´∀`)

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