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エピソード:飛鳥

今回は閑話という事で、これまでの出来事から飛鳥目線のお話しです(*´ω`*)

次回から第2章が始まりますよ~!(*^^*)


俺は澪が好きだった。初めて会ったあの日から。


澪が初めて会ったのは澪が幼稚園でいじめっ子をこらしめた時である。


俺はその時に一目惚れしたのだと思う。初恋でもあった。


彼女はその端正な顔に似合わず、いじめっ子数人をたった1人でこらしめた強さが他の女子よりひときわ輝いて見えた。


ふと、目が合う。真っ直ぐこちらの目を見ていた。


瞳の中には見たこともないような芯の強さが隠れていたのである。


単純に興味が湧いた。もっと誰よりも近くで見ていたいと思った。


そして、その日から話しかけたのである。


最初はつれない反応を示していた彼女だが、根気強く話しかけていると徐々に心を開いてくれるようになった。


彼女は最初のイメージとは裏腹に年相応のとても可愛らしい部分を持っていた。


嬉しそうに自分の事を話してくれる彼女を傍で見ているだけで幸せな気持ちになったのである。


しかし、いじめっ子をこらしめた噂が流れ始めると彼女は表情を暗くしてしまった。


俺はそれが許せなかった。彼女の笑顔を曇らせる物が嫌いだった。


だから、ずっと傍に居続けて彼女を守ったのである。


彼女は力は強かったが心が弱かった。


知らない子から憧憬や羨望の眼差しで見られるのをとても嫌そうにしていた。


俺は努めてそんな眼差しで彼女を見ないようにしたのである。


そうしないと、不意に彼女を周りの奴らと同じような目で見てしまいそうになるから。


彼女はそれほどのカリスマ性のような「イケメン」と呼ばせるような何かを持っていたのである。


見た目は色白で華奢な体つきをして腰まである長い艶やかな黒髪に長い睫毛で芯の強さが隠れている黒く大きな瞳を持っている可愛らしい顔立ちのする子なのだが、中身はまるで他の女の子よりもずっと強いものを持っている大人っぽい子であった。


俺はその見た目と中身のギャップにやられたのだと思う。


そして、彼女に近づきたいと思い、彼女より強くなりたかった。


この強い彼女を守りたいと思ったのである。


その日から俺の長く険しい毎日が始まった。













小学校に上がると、青葉と出会った。


彼女は澪とまた違って、年齢離れした美しさを持っている女の子であった。


当時はおかっぱでカチューシャをしていたが、それでも口元にあるほくろ等が余計大人っぽく見えたのである。


見た目だけでなく、考え方も大人に近く落ち着いていた。


澪は、そんな不思議な雰囲気を放つ彼女に惹かれたのか、自ら話しかけるようになる。


彼女は終始微笑みながら、澪の話を聞いていた。


俺は2人に悟られぬよう、ふとした時しか見ないようにしていたが、ある日澪がいない時に彼女の方から俺に話しかけてきたのである。


「柏木くんって、たまにこっち見てるよね」


俺は驚いた。

彼女は澪と話している時はこちらを見たことなんてないのに。


「ふふ、何でわかったのかって顔してるね。結構バレバレだよ。まぁ、私くらいしか気づいてないだろうけど」


そう、俺の心を読んでいるかのようにそう言ったのである。

またバレてしまったので、隠す必要は無いと判断し素直に認めて彼女を褒めた。


「驚いた。絶対バレてないと思ってた。中村さんってすごいね」


そう言うと彼女は微笑みながら、


「そこまですごくないわよ。だって、本当にわかりやすすぎなんだもの。間宮さんには秘密にしといてあげるわ。」


と言い、気遣いまで使われてしまったのである。


「そうしてくれるとありがたいかな。じゃあ、秘密を共有した仲間ってことでこれからもよろしく。俺のことは飛鳥でいいから。」


苦笑しながら彼女に提案すると、


「わかったわ。良いわよ、これからもよろしくね。飛鳥。

私のことも中村さんじゃなくて、青葉で良いわ。」


と笑みを絶やさずに言い、俺は頷き、彼女と握手を交わした。


この時から俺と青葉の秘密の関係が始まったのである。


そして、その後澪も交えて今の3人の関係が出来上がっていく。


そう言えば、小学校を卒業するまでに澪と青葉はそれぞれ学校中の男子に告白されていた。


数は若干青葉の方が多かったが、何より澪に告白してくる奴らに嫌悪感と同時にほんの少し羨ましかった。


俺もすぐにでも澪に気持ちを伝えたかったが、既に1番身近な存在であり友達になってしまったので、今の関係を崩すのが怖かったのである。


結局、何も出来ずに中学校に上がることになる。













中学校に上がるとすぐ、事件が起きた。


澪が周りの女子や一部の男子から嫌がらせを受けるようになった。


その男子の中には幼稚園の頃から一緒だった嫌な奴も含まれており、いつ殴ってやろうか機会を伺っていたのである。


俺は、そんな女子どもと男どもが心底嫌いだった。


澪に悪口を言っている女子はただの澪に対する嫉妬にしか思えなかったし、そんな女子が俺に媚びを売っている姿は気持ち悪く感じた。


そんな女子を無視すると、澪に八つ当たりが来る。


俺が澪の事を好きなのを知っているからこその嫌がらせだった。


俺は澪が傷ついているのを見ているのが耐えられなかった。


また、澪だけじゃなく青葉にまで嫌がらせを行っていたのである。


青葉は中学に上がると笑わなくなった。


理由はハッキリしないが、周りの人間がどんどん薄汚い人間に見えてきたからと本人が言ったので、たぶんそれが1番の理由だろう。


青葉も澪が傷ついているのは見たくなかったはずだ。


俺たちはどんなに澪が嫌がらせを受けても傍を離れなかった。


傍を離れたら澪の嫌がらせが無くなるだろうとは思ったが、それでもどうしても離れられなかったのである。


青葉は何も言わなかったが、同じような気持ちであることは知っていた。


ずっと一緒にいたからこそ、傍を離れてはいけない。

そう思っていた。


しかし、突然澪は学校に来なくなった。


俺たちに何も言わずに1ヶ月もの間、部屋に引き込もっていたのである。


澪の身を案じていたが、俺たちは学校を休むわけにはいかなかった。


澪の分まで、嫌がらせに負けずに戦うつもりだったからである。


俺も青葉もお互い協力して何とかやっていけた、青葉も辛いはずなのに泣き言を一切言わず、どんな事があっても努めて変わらないままでいた


そして、澪が来なくなってから1週間ほど経つとさすがに学校も対策を講じ、俺たちに嫌がらせをしていた奴ら全員に指導した。


指導が終わると、長かった嫌がらせが全て無くなったのである。

俺たちは我慢の末にやっと解放された気分だった。


その事を澪に伝えたかったが、澪は依然として部屋から出てこないようであった。


そうなっている以上、俺たちは何も出来ない。


ただ黙って澪が自分から出てくる事を待った。


すると、ちょうど1ヶ月後に部屋から出て俺たちに会いたいと言ったのである。


久しぶりに会うと、澪は少しやつれていたがその瞳から芯の強さを取り戻しており、俺はひと安心した。


お互いの会わなかった期間の情報を交換すると、澪は俺たちに感謝したが、感謝されるような事は何もやっていないと言った。


何があっても傍に離れないと決めていたから離れなかった、ただそれだけである。


俺たちは、より強く固い絆で結ばれた。


そして嫌がらせも何もない日々を過ごし、高校受験に近づいたある日、澪に行きたい高校を聞くとある学校の名前を出した。


それが今の杏ノ木学園である。


俺は別の高校を考えていたが、澪と同じ高校に行きたい気持ちの方が強かった。


青葉も別の高校を目指していると聞いていたが、俺と同じく澪と同じ高校にするようだった。


俺たちは高校受験のために勉強会などをして万全の状態で望み、無事3人とも合格出来たのである。


数日後、俺たちは中学を卒業した。


同じ中学の奴らは別の高校に行くようで安心した。


杏ノ木学園に行くのは俺たちくらいしかいないようで、同じ中学出身が誰もいない新しい環境で高校を過ごすと思うと、少しワクワクしたものである。












高校に入学すると、全く新しい環境になかなか慣れなかったが、俺たち3人は集まって一緒に行動した。


澪の言う通り商店街の人々は心優しく、ここに来て良かったと何度も思った。


澪も中学の時と違い、笑顔が増えたと思う。


それが何よりも嬉しかった。


青葉も少しずつ感情を表に出すようになり、俺が知らない意外な面を持っている事を知ったのである。


そして穏やかな日常を送りこのままずっと続くと思ってた。


高校2年の初夏、この日転校してきた橘 海斗が現れるまでは。


俺は彼を見た時から嫌な予感がしていた。


その予感が的中し、彼が転校してきてから澪の様子が変わった。


最初は彼を苦手にしていたが、彼が俺らに近づいてきた事で徐々に心を開くようになったのである。


まるで俺と同じような方法で澪に近づいていくのだ。


そして、ある日俺は気づいてしまった。


海斗が澪の事を好きなんじゃないか、と。


転校してきてすぐのこと、授業中俺は不意に澪からルーズリーフを貰ったり教科書を見せてもらう所を見ていた。


その時の海斗の表情を見ていて、気づいてしまったのである。


海斗が澪へ恋に落ちる瞬間を。俺は見たくなかったのに見てしまった。


そして、その事があった後の澪の反応。


本人は気づいてなかったが、澪は海斗に恋をしたと思われる表情をしていた。


俺は、2人の恋に落ちる瞬間を見たためどん底へ落ちた気分になった。


ずっと好きだった澪が転校してきたばかりの海斗に恋をした事がどうしても認めたくなかったのである。


でも、俺は自分の黒い気持ちを押し殺して変わらずに接していた。


澪に嫌われたくなかった、気持ちを知られたくなかったのである。


しかし、青葉には簡単にバレてしまった。


青葉は本当に怖いくらいすぐ分かってしまうから降参するしかない。


俺は自分の気持ちを全て青葉に言った。


青葉は最後まで黙って聞いてくれた。


青葉がいてくれたおかげで、話を聞いてくれたおかげで少しだけ心が救われたのである。


すると、青葉はある提案をしてきた。


「そんなに辛いなら自分の気持ちを伝えてしまうか、それともそのまま身を引くしかないわ。

澪たちと少し距離を置かない?リスクはあるけど、飛鳥の大切さに気づいて恋に落ちる可能性だってあるんだし」


そう言うと、俺はその提案に乗った。

リスクがあっても、その提案に賭けてみたかったのである。












初めて行った木漏れ日の茶会の帰り道。


俺は海斗と話がしたくて2人で帰った。


話の内容は当然、澪の事である。


「あのさ、海斗って澪の事が好きだよな?」


俺は、海斗に聞いてみた。海斗は特に驚く様子もなく


「そうだよ、俺は澪の事が好きだ。例え飛鳥がライバルでも俺は負けない」


そう、宣戦布告されたのである。俺は気持ちに気づかれてる事に驚いたが、


「そうかよ、俺も負けないからな。」


と言うと、続いて言った海斗の言葉は俺の我慢していた心の鍵を壊した。


「俺が負けるはずがねぇ、自分の気持ちを伝えようとしない奴に、必死に隠して友達面してるお前に負けるはずがねぇ」


そう言った。俺は今まで溜めていた全てを海斗にぶつけた。


「な、んなんだよお前!!お前に何がわかる!

俺がどんな気持ちでずっと傍にいたと思ってるんだ!!

何度も伝えようとした!だけど、その度に他の男が澪に近づいては傷つけていくんだ。正直羨ましい気持ちはあったよ。

でも、俺は澪を傷つけてまで告白したくなかったんだ!!

いきなり現れて何も知らないお前に俺の今までを否定される筋合いはない!!!」


怒りに任せて捲し立てると、海斗は静かに話始める。


「確かに、俺はお前の気持ちなんて知らねぇ。

俺はお前の今までを否定する気もない。

逆によくずっと隠し続けて傍に居れたよ。

正直、飛鳥の立ち位置が1番羨ましいと何度も思った。」


ここまで言い、続けた言葉が完全に俺の心を砕いた。


「だがな、幼馴染みが何だって?片想いの期間が長い方が偉いのか?

そんなの関係ないんじゃないか?

俺と澪が仲良くしてるのが嫌なら、俺に澪を取られたくないなら、どんな手を使ってでも手に入れろよ!

付き合ってもいないくせに、あーだこーだお前に言われる筋合いはねぇから。

俺に嫉妬してる暇があるなら、さっさと気持ち伝えて俺より先に手に入れてから言え。

俺は絶対ちゃんと伝える。自分の気持ちを態度にしないお前が

ライバルである俺に当たるのも、

後で死ぬほど後悔してもそんなもん俺は知らねぇ。

なぁ、飛鳥。お前本当はどうしたいんだ?」


俺は、言われてすぐ何も言えなかった。正論だった。


しばらく黙っていたが、ポツリと呟く。


「俺だって、ちゃんと気持ちを伝えたいよ負けたくないよ」と。


夕日に溶けるようにその小さな声は消えてしまったが、確かに海斗の耳には届いていた。


「そうかよ。じゃあ、これでやっとライバルだな。改めてよろしく、恋敵。」


そう言い残し、海斗は駅のホームへ消えていった。


俺は海斗が消えていったホームを眺めていたが、心を入れ換えホームに背を向けた。


覚悟を決めて、後悔しない為に。













次の日から俺と青葉は、澪と海斗から距離を置くようになる。


俺は青葉と行動を共にするようにした。


青葉は表情をあまり変えないようにしていたが、少し寂しそうなのはバレバレである。


いつもは俺が青葉にバレて余裕の表情をされるのだが、今回は違った。


寂しそうな表情に少しだけ悲しそうな瞳をしている。


初めて見る顔だった。そんな顔を1度もしたことが無かったのに。


海斗がやって来たおかげなのか青葉も少し変わったようである。


青葉に話しかけると気を遣い、悲しげに微笑む。


それを見るのも辛かったが、青葉の協力が無ければ出来なかった。


しかし、その甲斐もむなしく俺の恋は終わりを告げる。


海斗が澪に告白したようだった。嬉しそうな表情を浮かべる澪を見るのが辛かった。


でも、何故か海斗なら安心して任せられるとも思ってしまったのである。


自分もいつの間にか海斗に影響されているようだった。


俺たちを変えた彼ならば、きっと澪をもっと変えてくれるだろう。


そう思わずにはいられなかったのである。














そして、運命の放課後。


澪が自分の過去を海斗に話している所を俺と青葉は影で見つめていた。


時々辛そうな表情をする澪に少し不安を抱いたが、海斗は真っ直ぐ澪を見つめていた。


まるで澪と同じ芯を持った覚悟を感じる瞳である。


そして、海斗は話を聞き終えると澪にもう1度変わらぬ思いを告げる。


澪も嬉しそうな顔で彼の告白を受けた。


澪に本当に幸せそうな表情をさせる海斗に嫉妬したが、それでも澪の幸せを心から祝福した。


最強で最高の恋敵であった海斗に敵わないと思っていた自分だったが、澪の話を聞いていてそんな事はなかったのかもしれない。


澪にとって、海斗も俺も大事な存在であること。


それだけでもう充分報われる思いだった。


ふと、隣の青葉を見る。


彼女は心から幸せそうな微笑みで親友を見ていた。


俺の視線に気づき、一言小さく呟く。


「飛鳥にとっては残念だったけど、澪が幸せになってくれて良かったわ。次は私の番ね」


と悪戯っぽく微笑み、意味深な言葉を言いながら俺を見た。


「そうだな、澪にとって大事な存在であることが分かっただけでも俺はもう報われたよ。ちょっと待て、俺聞いてないぞ好きな人いたのか!?」


少し寂しげに言ったが青葉の最後の言葉に驚き、慌てて声量を抑える。


青葉はすっかり前の、初めて会った頃のような表情をしていた。


とても魅力的な笑顔で見たものを恋に落とすような顔で。


「ええ!もちろんいるわよ!次からちゃんと私を見てね?」と。


そう爆弾発言をした青葉に何か言おうとしたが、抱き合っていた澪と海斗に居ることがバレてしまったため何も言えなかった。


結局、何も言えなくなってしまったため諦めて3人に元へ向かうのであった。


新しい恋が動き出すのはもう少し先の話になりそうである。













続く

飛鳥が澪にとって大切な人であることは変わらないんですよねぇ、作者としては飛鳥の決して叶わない気持ちというのは悲しいものです…(´ノω;`)

青葉と幸せになってもらいたい!(´;ω;`)

いつか、青葉目線の話も書きたいなぁと思っております(*´ω`*)

それでは、次回もどうぞよろしくお願いします!!( ・∀・)ノ

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