さよならマック
ぼくが小説を書き始めてから、まる一年が経った。
もしかするとぼくが書いているものは小説ではないのかもしれない。と言うのも、ぼく自身が小説とは何なのかはっきりとした答えを出せていないからだ。
小説とはなんでもありなのか?
ぼくが今まで読んできた小説を思い返すと、どうやらなんでもありのようだ。だが、それだけじゃない気がする。何かある。小説を小説たらしめている何かがある。そんな気がしてならない。
ぼくの書いているものは、ぼくが小説だと思って書いているものは、一体なんなんだ?
そんなことを考えていたら、パソコンが逝った。
思えば長い付き合いだった。十年? いや、もっとかもしれない。
こいつを買った時の状況はよく覚えている。あぶく銭が入ったのだ。百万以上の金が口座に転がりこんできたのだ。
ぼくはその当時、借金を抱えていて、そいつを一括で返すチャンスだった。が、そうせずに散財した。調子に乗って金を使った。
結局、二ヶ月かそこらであぶく銭は弾けて消えた。その結果の一部がパソコンだった。他の使い道は覚えていない。いい思いをしたという記憶もない。ただ貧乏の記憶があるだけだ。こと金に関して言えば、ぼくは正真正銘の馬鹿だ。
小説を書きたいと思う。だが運悪くぼくは人生何度目かの貧乏期に入っていた。とにかく金がない。一度こうなると抜け出すのはなかなか難しい。気長に待つしかないのだ。金はなくとも楽しみはいくらでもある。だが、パソコンがないと小説が書けない。
いや、書けるだろう。そう妻に言われた。確かにその通りなのだが、書けないと思ってしまうのだから仕方がない。言い方を変えようか。ぼくはパソコンで小説を書きたい。手書きは嫌だ。携帯も嫌だ。スピードが出ないと意味がない。キーボードを激しく叩いて、一心不乱に叩いて、出来たものを即座に発表したい。それで大体満足だ。発表した瞬間は結構気持ちいいのだ。
出来の良し悪しはそれからだ。こればっかりは自分が決めるものだと、ぼくは信じている。いまのところ、ぼくの書くものは下手くそだ。美しくない。でもそのうち美しくなると思う。いつか虫のような小説を書きたい。
小説が書けないので、こういうものを携帯で書いた。パソコンを買うまでこういうものを書いていこうと思う。
タイトルを考えよう。タイトルなんてどうでもいいけど、無ければ発表できないし、「無題」とかにするのはちとダサい。あらすじっていうのもあるのだ。いつも困るのがあらすじだ。無いものは無いのだ。どうしろと言うのだ。




