巷で話題の人 の事件?
皆様こんにちは。長野実紅です。
探偵と云う職業はどうも不安定な職業のようでして、中々商売繁盛!って訳にもいかないものです。今日も昨日と同じように依頼人が来ないのかと思うと何故俺は探偵助手をしてるのだろうかと思ってしまいます。
「りんご君……お客様。」
「え!?」
「驚きを声に出さないの。」
「違っ…あ、違わない?え、だってドアベル…」
…紫之さんにじっと見られて言葉を失ってしまう…。でも、ドアベルが鳴らなかったんだ…何で…。
「……ドアベルなんて鳴らしながら入るわけ無いでしょう?この僕が!そんな事するわけ無い。」
「そうね。最近話題になってるらしいものね。」
「え、紫之さんお知り合いですか?」
「いいえ。でも…りんご君も知ってる筈よ?今朝方話題にしてたもの。」
「今朝方…」
今朝方俺が話題にしたものと言えば、与瓶銀行雀河山支店強盗事件に、下谷浦市長改選、曇展交差点事故…飲酒運転が突っ込んだんだっけ?あと…下谷浦美術館に届いたって言う予告状。この中で依頼人に当てはまりそうな話題…
「あー…まさか予告状?」
「正解よ。」
「僕は予告状って名じゃないんだけど…槻木綾って言うんだ。」
「偽名でしょう?」
「当然。」
当然って胸張って言うことでは無いはずだ。
まぁいいや。
「えっと…槻木綾さん?」
「ん?」
「一体なんの用で…」
「そうだった。僕は紫之さんに依頼しに来たんだよ。」
「紫之さんに?」
まあ此処に来る人は、たまにやって来る妹を除いて殆どの人の目的が紫之さんに依頼しに来るのであって、俺に依頼しに来る人なんて滅多に来ないから当たり前っちゃ当たり前なんだよね。
「さっきの様子だと下谷浦美術館に僕…キューブから届いたっていう予告状のニュース知ってるんでしょ?」
「はい。なんでも下谷浦美術館の確か2階。階段を上がって右に曲がってしばらく進んで左突き当りにある筈のレグアルの肖像を頂くとか…」
「君詳しいね…。まあそうなんだけどさ、そのお粗末な予告状僕は出した覚え無いんだよ。」
お粗末って…レグアルの肖像は教科書にも載るほどの有名な作品なのに何故かこんな辺境の美術館にあるって有名なのに。
俺が下谷浦美術館について詳しいのは通ってると言っても過言では無いくらいの頻度で行ってるからなんだけど。
「仮にもレグアルの肖像に対する予告状にお粗末はないんじゃないですか?」
「偽物を盗むっていう予告状程お粗末な物は無いだろう!!この僕が!レグアルの肖像がとっくに偽物になってるって気付いていて予告状を出すはずが無いじゃないか。」
「に…偽?え?」
嘘だろ………いつの間に…最近行ってなかったからもしかして
「偽物。下谷浦美術館で君を見かけなくなった五日後。今まで見かけなかった奴等が通いだした。その三日後。偽物にすり替わってた。」
「そんな…え?俺を見かけなくなった?」
「君、紫之さんはりんご君って呼んでるけど美術館の入り口のおばちゃんにみあかちゃんって呼ばれてる子だろ?おばちゃん達寂しがってたぞ。…で、紫之さんに依頼。僕の名を語って予告状を出した犯人とレグアルの肖像をすり替えた犯人を探してほしい。依頼料は幾らでも出す。」
覚えられてたのか…
ていうかこの人切り替え旨いな。紫之さんこの依頼受けるのかな…
「…依頼料は後払いでいいわ。満足した分だけ払ってちょうだい。」
「ああ。」
この物語に出てきた場所、人物は実在しません。