用語解説06.組合
◆霊性の翼団
印歴紀元前200年頃、魔道士の国際機関【霊性の翼団】が、ラキュス湖北地方のプラティフィラ帝国で発足した。
国の枠に囚われない互助組織で、魔術の記録、研究、開発、魔道士の育成を担う。
それまで、魔術の継承は、職能組合による徒弟制や家伝だった。
各地の術を収集、記録し、その情報を基に魔術の系統を「学派」に分けたことで、より深く専門的な研究が可能となった。
設立当時は、魔法文明の全盛期で、術で遠隔地との交流も盛んだった。
全ての国で加入が義務付けられ、各地に設置された研究所で、高度な魔道教育が施された。
【三界の魔物】による惨禍に立ち向かう為、門戸は広く開かれており、他学派の術も、禁呪以外は誰でも学ぶことができる。
建築の【巣懸ける懸巣】や医療の【飛翔する梟】など、専門性の高い術を修め、使いこなすには、知性と根気と努力と霊的・身体的な適性が求められる。
霊性の翼団の魔道士は、協力しやすいよう、どの学派の術を修めたか、一目で識別できるように、学派毎に決まった徽を身に着ける。
特に高い知識と魔力を持つ者や、新たな術を開発するなどして魔術の発展に貢献した者は「導師」と呼ばれる。
杖を持ち、徽に宝石を付け、一般の魔道士と区別する。
現在、霊性の翼団は、プラティフィラ帝国の流れを汲むルブラ王国に本部を置く。
学派や身分の詐称は、大半の国で極刑の対象。
医療の魔法は【飛翔する梟】【青き片翼】【白き片翼】など、複数の学派に分かれている。
欠損部位の復元専門の学派や、出産専門の学派など、医術は必要に応じて研究が進んだ分、細分化されていた。
術者に身体的な条件が課される術が多い。
生命に関する術は、大部分が未婚でなければ使えない。
術理解析を行う【舞い降りる白鳥】の学者達は、もっともらしい仮説を立てているが、真相は不明だ。
治療の術は、死すべき生命をこの世に繋ぎ留める。重ねて、新たな生命を創る行為を行えば、世界の霊的な均衡を崩してしまう。男性に子を孕ませる術があるせいか、類似行為によっても資格を失う。
それ故、男女問わず、純潔でなければ術を発動できないのだろう、と言うのが、大方の見解だ。
どんなに魔力が強くとも、一度「資格」を失えば、治療の術は殆ど使えなくなってしまう。
結婚を機に、薬を使って治療する薬師に転向する者が多い。
女性は子を産んだ後、お産に関する術が使えるようになる為、男性医師程には、周囲から結婚を咎められることは少ない。
男女問わず、【飛翔する梟】など医師の結婚は、余り祝福されず、時には医術の資格を失わせない為に、恋人や婚約者が殺害されることさえあった。
古い時代には、身寄りのない子は術で成長を止められ、生涯、子供のまま、医師として過ごす場合が多かった。
現在は人道上、成長を止めることは、大半の国で禁じられている。
◆蒼い薔薇の森
印歴紀元後1800年頃に成立した魔術士連盟。魔法文明圏に限らず、科学文明国も含め、世界各国に支部がある。
この連盟に「導師」に相当する階級は存在しない。また、そこまでの能力者も居ない。
魔力を持たない研究者か、魔力があっても弱い者の互助組織としての側面が強い。
【魔術士検定】を実施している。
検定に合格すれば、魔力の有無を問わず加盟できるので、構成員の人数は多い。情報ネットワークが充実している。
アルトン・ガザ大陸のディアファナンテに本部がある。
魔法文明国は、鎖国政策を採る国が多いが、アルトン・ガザ大陸の魔法文明国ディアファナンテは、国際交流に力を入れている。
近くに科学の大国バンクシアがあり、周辺国は両輪の国と科学の国。その地域の純粋な魔法の国は、ディアファナンテ一国のみ。
アルトン・ガザ大陸が三界の魔物に蹂躙された当時、ディアファナンテは強力な防護の術によって一国だけ被害を免れた。
三界の魔物の大半が消滅し、最後の一体がムルティフローラの地に封印された後、アルトン・ガザ大陸では魔力を持つ人間が激減した。
大陸で唯一残った魔法文明国として、魔術の継承の為に、初心者向けの魔術士連盟「蒼い薔薇の森」を設立した。
現在はネットでも、魔術について色々と調べられるようになった。便利な反面、事故や犯罪にも繋がっている。
◆魔術士検定
初歩的な魔術を使う技能や、魔法の知識レベルを認定する初心者向けの検定試験。
魔法文明国では、幼い子供レベルの知識。
主に魔法と科学を折衷している両輪の国と、科学文明国向けの検定。
日之本帝国で魔検を受けても、就職などで有利になることはない。知る人ぞ知る趣味系のマイナー検定扱い。
◆国際魔術機関
国連の専門機関。国連に加盟している魔法文明圏の国々で構成される。
加入率は対象国の三割程度で、「霊性の翼団」や「蒼い薔薇の森」よりも低い。そもそも、強力な魔法文明国(ラキュス湖北地方の七王国など)は国連に加盟しておらず、この機関にも加入しない。
主に魔術の研究と振興、魔術を用いた国際犯罪の取締りや魔道災害の予防や対策、魔術を軍事力として利用する国々の監視などを行う。
国連発足後にできた新しい機関で知名度が低く、権限が弱いので勧告などを行っても強制力がない。
魔法生物の監視や、条約違反への制裁は「霊性の翼団」の方が厳しく、権限も強い。研究、振興、犯罪の取締り、災害対策なども、強力な術者が多い「霊性の翼団」の方が進んでいる。
加入国数は、制限がない分「蒼い薔薇の森」の方が多い。
申し訳程度に設置された中途半端な組織で、職員の士気は高くない。
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2019/08/04 国際魔術機関の項目を追加。