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用語解説25国々 ラキュス湖南 大陸部

 チヌカルクル・ノチウ大陸西部ラキュス湖地方の南部に位置する。

 魔法文明国と両輪の国、科学文明国が混在。

 印暦二一九一年現在、インターネットの設備がないのは、ネモラリス共和国とスクートゥム王国のみ。

 カニェーツ山脈は、東はポリキクニス王国から、西はアーテル共和国に及ぶ長大な山脈。西端のアーテル共和国領南部の辺りはヅープ山脈と称する。

 二千メートル級の山々は、多種多様な鉱物を産出するが、魔物や魔獣も多い。ラキュス湖南地方の国々は、カニェーツ山脈以南に領有権を主張しない。


【図1】ラキュス湖南地方 大陸部諸国 印暦二一九二年頃

 挿絵(By みてみん)


■アミトスチグマ王国

 多神教フラクシヌス教国。言語は湖南語と湖東語。

 かつては生粋の魔法文明の王国だったが、印暦二一九一年現在、魔法使いの割合の高い両輪の国。

 元々は、湖岸に漁労民、平野部に遊牧する牧畜民、平野部の森林付近に狩猟採集民が暮らし、農耕民が居なかった。


 ラキュス湖の水位観測は気象庁が担当する。

 通信事業者保有の湖底ケーブル保守船が待機する。


 国土の大半が大森林に覆われる。

 約六百年前に森の主が退治されるまでは、季節毎に「夏の都」と「冬の都」ふたつの首都で移住した。

 現在は、主に夏の都に定住するが、古い習慣を守って冬季休暇に冬の都へ行く家庭が多い。森の主は退治されたが、(かなめ)の木などがあり、大森林の調査・開発は進まない。


 約五百年前、湖南地方中部の大規模な自然災害と戦乱で、難民が多数発生した。

 流入した難民は農耕民で、平野部に定住。牧畜民と軋轢はあったが、食糧生産が飛躍的に向上したことで、現在は隣人として共存する。


 印暦二一九一年に勃発した魔哮砲戦争によって、多数のネモラリス難民が発生。積極的に受け容れを表明し、大森林を難民キャンプ用地として提供する。

 ネモラリス人が、このまま大森林の開拓民として定住するか未知数。


 部分的に民主制を取り入れ、国王を頂点とした議会があり、国民も政治や行政に参画(さんかく)できる。

 陸の民と湖の民、力ある民と力なき民、長命人種と常命人種が混在する。

 選挙の際は、投票時点の人口比で十一区分に分割し、少数派の票を調整する。


 ▼アミトスチグマ王国の得票配分

 挿絵(By みてみん)


【図2】アミトスチグマ王国領の難民キャンプ 概略 印暦2193年頃

 挿絵(By みてみん)


■ポゴニア王国

 多神教フラクシヌス教国。言語は湖南語。陸の民が多い。

 科学文明をそれなりに発達させ、やや魔法文明寄りの両輪の国。

 男性は全員髭を伸ばし、髭が濃い方がモテる独自の文化がある。

 女性も、何かの代表として公式の場に出る際や冠婚葬祭、正月などの盛装で付け髭を用いる。

 付け髭はおしゃれアイテムとして女性に人気だが、男性が使用すると髭が薄いと揶揄されがち。


 旧セリア・コイロス王国。大規模な地震と混乱に乗じたインブリカータ王国の侵攻で滅亡。

 新たにポゴニア王国が興ったが、約百五十年前に民主派が独立し、ステニア共和国を樹立した。

 南部の王党派は、陸路の交通の要衝とサファイアを産する鉱床を押え、小国ながら裕福。ラキュス湖に面する領土を失ったことが痛恨の極み。


【図3】ラキュス湖南地方 印暦1700年代初頭の地図

 挿絵(By みてみん)


■ステニア共和国

 多神教フラクシヌス教国。言語は湖南語。

 科学文明を積極的に発達させるが、やや魔法文明寄りの両輪の国。

 約百五十年前、ポゴニア王国から民主派が独立。共和国を樹立した。国民は、力ある陸の民、力なき陸の民、湖の民がそれぞれ同じくらいで、勢力が拮抗。

 髭は毎朝剃る派。

 ラキュス湖の水位観測は水産省が担当する。


 湖底ケーブルの保守に必要な機器やケーブルを繋ぐ中継器の工場を保有する。

 湖底ケーブルの揚陸地点がある。遙か南の外洋を走る海底ケーブルに接続する主要回線で、湖南地方が世界と繋がる接点のひとつ。険しい山脈を迂回し、ポゴニア王国、ポリキクニス王国など複数の国を経由して、内陸部をリンフ山脈の東に位置するカルサール湾へ抜ける。


■ガレアンドラ王国

 多神教フラクシヌス教国。言語は湖南語。湖の民が多い。

 旧インブリカータ王国。約五百年前の戦争で滅び、新たにガレアンドラ王国を樹立。

 科学文明をそこそこ発達させたやや魔法文明寄りの両輪の国。

 金属の鉱床が複数あり、昔から防具の製造が盛んな職人気質の地域。

 ラキュス湖の水位観測は国土省が担当する。


 通信事業者保有の湖底ケーブル保守船が待機する。

 ストラージャ湾への湖底ケーブル敷設時には、作業船を保有する企業が、ガレアンドラ王国の産業省を通じて、スクートゥム王国に護衛を依頼した。


■ポリキクニス王国

 多神教フラクシヌス教国。言語は湖南語。力ある陸の民が多い。

 小さな淡水湖が点在し、白鳥が多数飛来する。

 旧ボスリオキルス王国。約五百年前の戦争で滅び、新たにポリキクニス王国を樹立。

 その後、西部領が民主化を掲げ、マコデス共和国として独立した。


 かつては生粋の魔法文明の王国だったが、印暦2191年現在、魔法文明国寄りの両輪の国。

 国土の南端にあるカニェーツ山脈は、様々な鉱物を産出し、昔から鉱工業が盛ん。

 科学文明もそこそこ発達させ、湖底ケーブルの保守に必要な機器やケーブルを繋ぐ中継器の工場を保有する。


■マコデス共和国

 多神教フラクシヌス教国。言語は湖南語。力なき陸の民が多い。

 魔法文明と科学文明を同程度に発達させる。

 北東部の山地にはエメラルドと金、銀の鉱床があり、古くから鉱工業が栄える。


 旧ボスリオキルス王国。約五百年前の戦争で滅び、新たにポリキクニス王国を樹立。王国西部は比較的、力なき陸の民が多く、湖南地方では逸早く民主化と分離独立を果たした。


 金糸、銀糸の刺繍を用いた魔法の衣服制作や、宝石を用いた魔法の装飾品制作の工房が多い。ポリキクニス王国からの独立後は、小国ながら、湖南地方のファッション業界の中心地となった。


 ラキュス湖の水位観測は水軍が担当する。

 通信事業者保有の湖底ケーブル保守船が待機する。


 多国籍企業リベルタース国際貿易株式会社の本社がある。

 社是は“貧困からの自由を目指す”。


 挿絵(By みてみん)


■ラニスタ共和国

 一神教キルクルス教が国教の科学文明国。言語は湖南語。

 力なき陸の民八割、力ある陸の民二割。湖の民は極少数。

 国教はキルクルス教だが、フラクシヌス教の神殿は廃止されず、残存する。

 印暦二一九四年、民主化二百周年を迎える。

 北部の湖岸に主要都市ジンクムがある。


 南部のカニェーツ山脈には、亜鉛とニッケルの鉱床がある。

 僅かに居住する力ある陸の民や湖の民を警備員として雇い、軍も投入して細々と採掘を続ける。数年前、遠隔操作できる小型採掘機を導入し、作業員の捕食被害が大幅に減少した。


 半世紀の内乱では、アーテル地方のキルクルス教徒に武器を供与し、独立を支援。自国は特段の被害を受けることなく、武器の売買で多額の利益を得た上、目論見通り、隣にキルクルス教国を樹立した。


 キルクルス教原理主義組織「星の(しるべ)」の本部がある。

 キルクルス教徒が増えても、魔法使いへの迫害は、長らく発生しなかった。力ある民が居なければ、実体のない魔物から身を守れない為だ。

 隣のラキュス・ラクリマリス共和国で半世紀の内乱が勃発し、アーテル党から追放された過激派「星の標」が逃れて来るまで、平和な共存が続いた。


 少数ながら魔法使いも居住するが、星の(しるべ)流入後はテロの標的になりがち。

 魔法使いのラニスタ人は、主に漁業や貨物船の操船、魔物や魔獣の駆除、力なき民でも使える呪符や、【魔除け】の敷石など、安全関連の資材製造などに携わる。


【図4】アーテル共和国の領域

 挿絵(By みてみん)


■アーテル共和国

 旧ラキュス・ラクリマリス共和国から分離・独立したキルクルス教国。

 政体は民主主義、完全な科学文明国。力ある陸の民と湖の民はランテルナ島の自治区に隔離する。

 南部は魔物が多く、人が住めない。

 カニェーツ山脈西端のアーテル領南部は、ヅープ山脈と称する。

 旧ラキュス・ラクリマリス共和国時代までは、力ある民や湖の民が鉱山資源を採掘したが、公式に魔法使いを雇えない現在は廃鉱となった。

 キルクルス教を国教とする科学文明国の為、魔物から身を守れる魔道機船がなく、港湾設備もない。

 空路と陸路で他地域と繋がる。


 【首都ルフス】

 かつてアーテル地方最大の都市だった。独立後、アーテル共和国の首都になった。

 キルクルス教は学問を奨励する為、大学などの教育機関が充実。

 キルクルス教の教義を研究・教育するルフス神学校がある。


 【イグニカーンス市】

 旧ラキュス・ラクリマリス王国時代には、南ヴィエートフィ大橋でランテルナ島を経由し、ネーニア島とアーテル地方を結ぶ交通の要衝だった。

 集中的に予算を投入され、半世紀の内乱による荒廃から早い時期に復興を果たす。

 ランテルナ島と南ヴィエートフィ大橋で結ばれており、それなりに行き来がある。

 キルクルス教原理主義団体「星の標」の支部があり、活動が市民の日常風景となる。

 東部にアーテル空軍のイグニカーンス基地がある。


 【スークス市】

 スクートゥム王国との国境付近ストラージャ地方の平野部で、気候が安定し、電波干渉が少ない地点に位置する。

 スークス通信衛星アンテナ基地の保守管理の為に作られた都市。

 電話及びインターネット回線の要衝地で、通信関連の企業が集積する。

 このアンテナ基地は、アーテル共和国唯一にして最大。静止衛星との間でデータを送受信。この基地から、アーテル各地へ交換局や中継局を経由して送受信される。

 アーテル領内では、静止衛星からの電波を受信するのに最も適した座標だが、都市部から遠く離れ、人間より野生動物や魔物の方が多い土地で生活が不便な上、常に捕食の危険が付きまとう。

 

 【アクイロー基地】

 空軍基地。

 バンクシア共和国や、バルバツム連邦から破格で購入した中古の無人機を多数配備した。

 ネモラリス軍の反撃によってその大部分を失ってからも、訓練基地として活用する。


 【フリグス基地】【ベラーンス基地】【テールム基地】

 周辺の農村や小都市を魔獣の襲撃から護る陸軍の治安部隊が中心。

 魔獣にも有効な銀の弾丸や砲弾、剣などを装備する対魔獣特殊作戦群を擁する。

 装備品が高価な為、魔獣と戦える兵員は少ない。


■スクートゥム王国

 アーテル共和国の西隣の国。言語は湖南語。防人が建国した古い王国。

 陸の民と湖の民は約半数ずつ。フラクシヌス教を国教とする魔法文明国。

 電気、ガス、水道、電話、インターネットなどの力なき民が必要とするインフラは一切ない。

 スヴェート河には結界が張られ、スクートゥム王国は二千年以上もの長きに亘り、魔物の陸地からの侵入を防ぐ。この結界を維持するお蔭で、強い魔物が湖南地方に侵入できない。


 隣国だが、アーテル共和国とは国交がない。

 ネモラリス共和国やラクリマリス王国など、両輪の国や魔法文明国とは国交がある。

 陸路での東進は、強い魔物や魔獣が多い為、ストラージャ湾経由で湖上を行く方が安全。

 フナリス群島の聖地へ巡礼する魔道機船の定期便があり、聖地経由でフラクシヌス教徒の多い他国とは交流が盛ん。


 スヴェート河を境にラキュス湖西地方と接する。

 湖西地方は、魔物の勢力が強く人間が住めない土地。かつてあった人間の国々は古代に全て滅びた。

 遺跡探索者や彼らを相手にする商売人が、小さな集落を作ることもあるが、すぐに消えてなくなる。

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