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死人に口なし

トラバサミが100ポイント。

ローリングロックが100。

眷属が200だが三倍消費で600。


初期の1000に今手に入れた1020を足して2020。


現在のポイントは1220。

死体素材さえあれば。もう一体くらいは用意したいが、今はポイントよりも素材不足が深刻な状況だ。ポイントを多めに消費して格上の眷属を作り出すのは間違ってない。


握りしめた宝玉を通して、ドロリとした得体の知れない何かが体から抜けていく。


目がかすむ。体の中の熱が全て抜け落ちてしまいそうだ。おかしい、罠作った時も結構疲労感があったが、こんなに辛くなかった、今回は心臓が絞られるように痛む。なんだこれ。


【宝玉による拡張で眷属作成は強化されます。それに伴い、消費は300魂力(ポイント)に増加します】


「まて、ふざけんな、勝手に」

【宝玉による能力拡張と同時に使用が宣言されました。お知らせが間にあわず残念です】


 無茶苦茶だ……っそんな……横暴……っ

 300の3倍消費で900。罠の200を合わせると1100魂力(ポイント)。自分の持っていた分の魂が減ったからこんなにキツイのかな。いや、自分の魂消費量であえば罠の方が。


 フラフラと力無く地面に座り込む。そしてその隣の穴の中から、さっきまで死体だったものが這い上がってきた。ヒョロイ大学生の姿は影も形もなく、引き締まった身体に薄く脂肪を纏いどっしりとしたやや丸っこくもみえる体躯。細めの力士のような体格に丁髷を結った頭。

その姿はゾンビなど想像も付かない、立派なサムライだった。


「ほわい」

「拙者、十郎太と申す。今後とも宜しく」


 死人とはなんなのか。



 とりあえず、床に座り込んで立て無い俺を、十郎太は抱えて椅子に座らせてくれた。

 武器にもなるし座れるし、椅子って便利。


「とりあえず十郎太さん」

「あるじ殿、宝玉とやらの力で事情は一通りわかっております。貴方は拙者に今一度の戦場をくださった。それに貴方が死ねば宝玉の力は消えて拙者は再び動かぬ骸になる。だから貴方をあるじとして立て、守りましょう」


 俺の言葉を遮って、十郎太が説明をしてくれるが、その目は「主」を見る目ではない。


「けれど貴方は拙者を知らぬ。だから拙者に丁寧な言葉を使う必要は無い。ただ凡百のの駒の一つとして命令だけして下されば良い。そして立てた功績を見て拙者を知り、重用したいと願って頂きたい」


 この人、重い。


「わ、わかった。まずは他の宝玉所有者の偵察と、防衛戦力を揃える為の素材を集めようと思う。近くに街とか集落があるかわかるか」

「場所までは。ですが、罠や財宝など、人が攻めてくる前提があるのですから、人里から遠いとも思えませぬ」

「わかった。ここを出て街を探してみようと思う。護衛をしてくれ」


 とりあえず防衛戦力を呼べたことで心に余裕がてきた俺は素材採取のアイデアを思いつく。墓だ。

 街には墓場があるだろう。火葬されていなければそこで素材は盗り放題のはずだ。


「承知。さっそく他の宝玉所有者の首を獲りに参りましょう」


 出・陣っ! という文字を大きく背中に背負いながら十郎太はニヤリと不敵に笑う。


「いや、素材集めに行くだけだから。ほら、十郎太さ……十郎太の力を信用していないわけではないけど、眷属が一人って少ないだろ。もっと増やす為にもさ」

「あるじ殿を守りながら迷宮内で敵を狩り、敵将を打ち倒す。確かに手数が足りませぬ。兵を増やす為には死体が必要。納得致しました、死体を集めに参りましょう」


 わかってくれたらしい。十郎太を連れて石舞台の広場を出て外へ出る門をくぐる。

 門の外は目も眩むような眩しさ。空は雲ひとつない青空で、柔らかな風が吹き、見た事の無い小さな白い花が沢山咲いている。

 12人の宝玉所有者にとってのスタート地点であったこの場所は小高い丘の中腹にある場所のようだ。入口の周囲をストーンヘンジのような石柱に囲まれている事から、秘密の場所と言うわけでもないようだ。俺が出かけている間に侵入されても嫌なので、入ってすぐの場所に落とし穴を作って置く。穴の底は当然、棘にしておく。

 丘をそのまま下って行くと、森に囲まれた牧歌的な村がある。羊とかも沢山いる。徒歩、10分くらいか。


「いかん、近過ぎる」


 人里近くのというより、ここがあの村の裏山と言った立地だった。

 少し小さい集落だが、墓くらいあるだろ。鳥葬とか火葬されてない事を期待するとしよう。しかし見通しが良過ぎて暗くなるのを待たないと不審者感が凄いな。


「よし、十郎太。あの村を見張りながら少し待っててくれ。俺はあっちの森でなんかいろいろ探してくるよ。十郎太も食べ物食べるんだよな?」

「飲まず食わずでも三日ほどなら戦い続けましょうが、それ以上なら兵糧が要りまする」

「……必要って事でいいんだよな」


 キノコ…は辞めておこう、果物とか何かあればいいのだけど。あと大事なのは水だなぁ。

 森に向かって歩き始めた俺の背中に十郎太が声を掛けてくる。


「殿、御出陣、お気を付け召されよ」


 羊とかあんなウロウロしてるんだから狼とか危険生物がいるって事もないだろうし。危なかったら逃げるさ。まぁ俺が死んだら動けなくなるらしいから心配するのはわかるけど。


 そんな緊張感の無い事を考えながらだったので、その後の十郎太の言葉は聞こえていなかった。


「ただ一人で『樹木迷宮』に挑む心意気、たしかにこの十郎太の胸に刻みました。かならずや次の戦いの為の死体素材、積み上げて御覧に入れましょう」

なんで死人読んだのにサムライ来るのかについては、近いうちにわかります。というかタイトルそのままですが。


展開が変!というのは仕方ありませんが、

文章が変でしたらご指摘ください。すぐ直します。

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