表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大富豪  作者: 沖田和雄
1/3

勝負

これはとある求人サイトの広告である。

(ある場所に集まってトランプゲームをするだけで報酬10万円。最大4名まで、参加応募者多数の場合は抽選によって決めさせていただきます。尚、当選した場合は応募していただいたパソコンに場所と日時を送らせていただきます。)

そして??月??日とある廃墟。

運良く集められた4人。

集められたのは


霧島香苗きりしまかなえ32歳。OL。

吉野俊よしのしゅん40歳。大学の教授。

徳島弥生とくしまやよい21歳。大学生。

丸山大祐まるやまだいすけ29歳。サラリーマン。


4人全員テーブルの周りのいすに腰かけるよう指示されていた。既に集合時間は過ぎていた。集められた人同士で互いの顔を眺める。知り合いでもなんでもないのだが……。

そんな中、

『ぶちっ』

急にテレビがついた。仮面を被った人が椅子に座っている映像が流れている。見るからに怪しいと全員思っただろう。すると、その仮面の人物はなんの前触れもなく話し出した。

「今から皆さんには大富豪をしていただきます。ルールにつきましてはテーブルに置かれている冊子を参考にしてください。それでは試合の開始は30分後ですのでその時には全員テーブルに座っていてください。座っていなかった場合、命の保証はできません」


最後の1言で場の雰囲気が一変した。

霧島は目を丸くして言う。

「命の保証はないって……」

「ま、待ってくれ。俺には妻子が……」

丸山の声が震えている。

「そんなもの、誰だって死にたくないだろうよ」

むしろ、吉野は何故か落ち着いている雰囲気だった。年のせいだろうか?

「何でこんなことに……」

そう言いながら徳島は涙ぐんでいた。

「き、きっと、う、嘘よ。い、い、命の保証がないってこ、このご時世に……」

40歳の吉野とは対称的に32歳の霧島は気が動転している。

「そうだ、そうだ。こんなのはったりだ。本当に殺すわけがない!」

丸山がかなりイラついているのは声だけで分かった。

「でも、殺されない保証はないが……」

吉野の言葉に全員何も言えなかった。

「…………………………」

それぞれ、ルールの冊子を読んだりしていた。静けさの中に若い女性のすすり泣く声が際立って聞こえていた。


しかし、時間は勝手に過ぎていく。30分経てば嫌がおうにもテレビがついた。

「それでは皆様には大富豪をしていただきます。ちなみに皆様には報酬10万円の他に各順位に特別ボーナスをご用意致しております。各順位の特別ボーナスはごらんの通りです。

1位、+10億円

2位、+1億円

3位、−1億円

4位、−10億円」

「おい、“−”ってどうゆう意味だよ!」

丸山が最初に歯向かう。

「そんなの聞いてないわよぅ!」

いつのまにか徳島は泣き止んでいた。が、まだ涙目だ。

「も、もうやってられない!帰るわ」

霧島はそのまま椅子から立ち上がり、出口に向かって歩き出した。

仮面の男は何の感情も見せずたんたんと話す。

「お帰りになられると命の保証はできませんよ」

「そんなはったりには騙されません」

言葉通り歩みを止めない。

「分かりました。では例のものを」

仮面の人がそう言うと部屋の4隅に立っていた男達が霧島に近づく。

『カチャ……バーン』

けたたましい爆音に霧島は尻餅をついた。

「け、け、拳銃……」

「命の保証はできませんので」

「わ、分かったわよ。座ればいいんでしょ、座れば」

さすがに霧島も身の危険を感じ席に戻る。

「それでは、運命の大富豪始めさせていただきます」

その言葉に執事のような格好をした人がトランプを配り出した。


…………


(やった、2が3枚だ)

丸山の顔が心なしかにやけた。

(ラッキー、ジョーカーが来た)

霧島はひたすら手札のとある1点を見つめていた。

(全体的に弱いけど、1が4枚あるから革命ができる)

徳島は希望に満ちた目をしていた。

(………………………………)

吉野は周りの人の顔をバレないよう観察していた。


「では抽選の結果霧島様から始めさせていただきます」

ついに人生を決める短い戦いの火蓋が切られた。


戦いは終始吉野のペースだった。2枚組が多かったのが大きかった。


だが…………

「ヨッシャー、1位、10億だ!」

1位に来たのは丸山だった。2の3枚組を上手く使い大逆転を果たした。


「危なかった」

2位は吉野。序盤で流れを掴んだ分、後半は流れに任せての2位だった。


「そんな……借金1億なんて………」

3位は霧島。焦りすぎて無駄に強いカードを使ってしまったのが3位の原因だ。



「…………………………」

と言うことで最下位は徳島だった。流れが来ずパスが続いていたのに焦ったのか、自分から始められるように1を3枚組で出してしまい、革命を使えなくなってしまい、挙げ句のはてにその1の3枚組も丸山の2の3枚組に負け、勝負あった。


「結果、

1位、丸山様

2位、吉野様

3位、霧島様

4位、徳島様

に決定致しました。報酬と特別ボーナスにつきましては部屋の4隅に立っている男に貰ってください。同じく受け取らずに帰ろうとした場合、命の保証はできませんので。それでは私はこれで」


『ぶちっ』

テレビが消えた。






沖田和雄小説第3作目の1章、皆様お楽しみ頂けましたでしょうか?今回初の連載小説になります。この形にしたのはこっちのほうが読みやすそうだったからです。前回は2ヶ月と空きましたが今回は前回投稿してから4日ぐらいしか経ってないですね(笑)。まだ前作を読んでない人は読んでみてください。

それと感想、評価等頂けたらとても嬉しいです。では、次は第2章でお会いしましょう。さようならーーーーーー

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ