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コンビニのキツネヤマさん

 一夜明けた第4管の里は、この騒動の対応に追われていた。

山が毛皮を着たかのような光景が、一瞬にして元の静かな山に変わったのだ。

この不可解なニュースは、一夜にして世界を駆け抜け、同時に世界中の人間の注目を浴びることになった。

「・・・」

朝から不機嫌な明主は、ソファーに寝そべって目を瞑っていた。

「当分は、収まりそうもないですね。」

一の瀬が窓の外から報道陣や、カメラマン、一般人の群れを見ていた。

何が起こるかわからないので、無断で入山を禁じます。と山の主としての御触れを出したが、それを破っている者は後を絶たない。

これでは、ひっそりと人の影響を受けずに暮らしていくことなど到底不可能だ。

計画は中止するしかない。

くそっ、ここまで来て、計画倒れか。

密かに計画を実行したのは、他の管の長達に、この計画を持ちかけた時、いい顔をしなかったからだ。

特にトップ3は露骨に嫌な顔をした。

ったく。またこれで、管長会議がやりにくくなる。

明主は、しばらく不貞寝を決め込んだ。


朝日を浴びながら、庵から出てきた若主は大きな伸びをした。

明主から、飛ばした事の詫びの伝令がないところをみると、混乱しているのだろう。

気づいてさえいないかもしれない。

焦って術に乱れが生じるとは、明主らしくないといえば明主らしくない。

それに、人間界の騒動はきっと火に油を注いだようになっているに違いない。

若主は、ふっと笑った。

まぁ、明主様ならなんとかするでしょう。

お手並み拝見といきますか。

「若主さまぁ、おはようございます」

そう言って、まだ小さな子狐の綺羅がぺこりと頭を下げた。

「おはよう、綺羅。今日も朝から掃除をしてくれているのかね。」

綺羅は、柄の長い箒を起用に使いながら、庭を掃除していく。

「はい、お掃除は気持ちがいいです。」

ニコニコ笑う綺羅の頭をよしよしと撫でながら、若主はシンの事を思った。

シンはどうしているのだろう?

第4管は混乱中で、術の更新どころではないのではないだろうか?

私の予感が当っているなら、多分、シンは人の姿になれずにいる・・・



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