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コンビニのキツネヤマさん

明主の計画は、最終段階に入っていた。

共の一の瀬を連れ、ある家の前に立つ。

「地主の家は、ここのようだな。」

「はい。本日2時に面会する予定となっております。」

一の瀬は、髪をくくり上げ、秘書のような格好をしている。

「例の土地に、抵当権やら地上権が付されてないか、調べといたかい?」

「その辺は、大丈夫です。白でございました。」

「そうか。」

明主はスーツのネクタイに手を当てて、ふぅと息をついた。

「緊張してらっしゃいますか?」

「なぜそう思う?」

「明主様のため息が珍しかったので・・・。」

「あぁ、久しぶりに人の姿になったし、スーツを着るのは肩が凝るなと思ってね。」

今度は、一の瀬を見て笑った。

「さぁ、行こうか。我らの未来へー。」


二人は、地主と値段交渉を進め、手探りのまま終わった。

帰り道、近くの寂れた温泉街を通っていた。

「どこで折り合うかだね。」

明主は、ポツポツと並ぶ古い旅館を見ながら言った。

「そうですね。ひっそりとしていい環境なので、話がまとまると私もいいと思うのですが。」

「ふむ。しかし、あの地主の“先祖代々の土地を”というフレーズを今日だけで何回聞いたかな。」

「14回です。」

「ふふ。数えていたのかね。」

侮れないなという顔で笑いながら、明主は一軒の宿屋を指して言った。

「今日は疲れた。客もそんなにいなさそうだし、温泉でも入っていくかな。」

「おや、人の姿も気に入ったのでございますか?」

そうかも、という顔をしながら後ろに声を掛ける。

「若主。お前も入るであろう?」

爽やかな好青年の若主も姿を現す。

「お言葉に甘えて。」

その夜、3人は、ほんわかと湯煙に包まれた。



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