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コンビニのキツネヤマさん

「いらっしゃいませー」

接客は笑顔が命。口角を45度に上げて、にやけじゃなくて爽やかな顔を作る。

「お弁当は温めますか?」

サービスは相手の事を一番に考え、おもてなしの心で行おう。

「ありがとうございました!!」

最後の一礼忘れずに。お客はここまで見ているのだ。多分。

ピンポンピンポンと自動扉が鳴る。

杖を震わせ、ヨボヨボした爺さんはお弁当を持って店を出て行った。


この顔で笑顔を作るのはたいへんだな・・・。

「ちょっと、コヤマ君」

ひげ店長のお呼びだ。

「なんでしょう?店長。」

「もうすぐ2便が着くから、来たら商品出しといてちょーだい。」

「わかりました。」

ピンポンピンポンー

今度は、おばあさんが入ってきた。

「はぁ、この辺りじゃ来るのは大半が年寄り。後は子供ばかりねー。ドライブがてらに立ち寄るお客がいないと成り立たないわ。」

ひげ店長がひげを触りながら言う。

「ここは過疎が進んで今じゃ住んでる家より空き家のほうが多いですからね。前の国道がうちの生命線ですかね。意外と交通量が多いのが救いですね。」

苦笑しながらコヤマは窓の外を見た。

国道の向こう側には田んぼが広がり、はるか先には山が見える。空は真っ青でどこまでも解放的だ。

到着した2便の商品をショウケースや、バックヤードに運んだ後、コヤマは外のゴミ箱を取替えに外へ出た。

「あいつか?」

「うん、あいつだ。」

「本当に見たのか?」

「間違いない!」

コヤマは、声のする方へ顔を向けた。

店の壁からこちらを覗くように、3人の男の子がこちらを見ている。

「こっち見たぞ!」

「か、隠れろ!」

コヤマはくすりと笑った。

「ここで、何をしてるの?」

コヤマが近づくと、子供達は逃げていった。

「変なの・・・」

コヤマは笑って、ゴミの片付けに取り掛かった。



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