コンビニのキツネヤマさん
“おい!!大丈夫か!?”
「大丈夫って?何が?」
コヤマは首を傾げる。なんとも無いようだ。
“ふぅー。なんだよー、驚かせるなよ、陰陽師の真似事なだけか”
「真似事じゃないですよ。」
“えっ”
「えっ?今のコヤマさん?」
コヤマは首を振った。
「じゃぁ今、しゃべったのは??」
少年の視線は下を向く。目線の先はセバスだ。
“オレだよ、オレ、オレオレ”
「!?僕、犬としゃべってるんですか?」
どうやら、犬と会話ができる術だったらしい。
「コヤマさんに憑いてた狐は払えたんでしょうか?」
“あー。その事についてなんだがな。こいつの虚ろな瞳はちょっと事情が違うんだ。狐っていうのも、まぁ、なんだ、オレを見たんだと思うぜ。だからあいつらの勘違いだ”
「君、名前はなんていうの?」
「清晴です。」
「清晴は、誰かを好きになったことある?」
「はっ!?出会って間もなくで恋バナですか!?相手が男じゃ話す気になれませんよー。」
清晴は照れながら、ノーと手を振っている。
“そっち系の虚ろだから、ほっといてやって。ちなみにオレの名はテツだから”
「それは、早合点して暴走してすみませんでした。」
ぺこりと清晴は頭を下げた。
「しかし、僕のご先祖様もこうやって犬と話をしてたのかなぁ・・・。」
“なんだ、感慨深げじゃねぇか”
セバスはどこか嬉しそうだ。
「僕は、この術が使えても何の役にもたたないんですけどね。」
“ーー・・・ばっさりだな”
セバスは複雑な顔をした。
「僕の家はアパートなんでペット不可なんですよ。」
“ふぅん。それじゃ仕方ねぇなぁ”
「でも、またお二人に会いに来ますよ。それまで術が続いているか分らないけど。続いてたらまた話をしましょう。」
“あぁ。”
「また。次にあった時は、今度は恋バナをー・・・・」
「しませんよ!!ほんっとに照れくさいこと平気で言っちゃうなんて。そんなのはひっそりと心の中で大事に育てるモンです!!それじゃ!!」
「ー・・・-」
コヤマは何かが掴めそうな、そうでないようなもどかしい気持ちだった。




