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★バレンタイン企画★パラレルDEはじめまして。

皆様、いつもありがとうございます。

再びコラボです。けっこう長いです。


「およ? ここどこだ?」


 寝室にある長椅子で本を読んでいた花は、突然聞こえた男性の声に驚いて振り向いた。

そして暖炉の中から現れた男性を見て更に驚く。

 本来なら暖炉から男性が現れた事に驚くべきなのだろうが、花には一度経験がある為か、その事ではなくその男性の姿に驚いたのだった。

黒髪・黒眼のその男性は、少し灰によって煤けてしまったダウンジャケットに、ジーンズとパーカー、その上なぜか日本刀らしき物を腰に佩いているのだ。


「あの……」


 なんとか声は発したものの、それ以上言葉が続かない。そんな花と目が合った男性は、顔を顰めて頭を抱えた。


「うっわ、間違えちゃった!! こっそり忍び込んでルー君の寝顔激写して生写真売ろうと思ったのに! 女の子の部屋に侵入だなんて僕まるで変態じゃんっ!!」


 屈みこんで叫ぶ男性の言葉に花は耳を疑った。


「……日本語?」


 今まで、この世界に届けられてから何気なく耳にし、話していた言葉が異世界語である事を花は改めて意識した。

驚きのあまり呟いた花の言葉に、男性は顔を上げて不思議そうにした。


「あれー…… ひょっとして僕、世界自体間違えた? おぉぉ…… 久し振りだったからなあ。ユシュタールでマグノリアじゃないのか? 最後まで迷ったムッシュダーヨでマグノリベンだった? また迷子だ僕! どうしようどうしよう、どうもしないけど!」


 一人まくし立てる男性を呆気に取られて見ていた花は、再び男性と目が合ってしまった。


――― ……ど、どうしよう?何を言えばいいのか……とりあえず、間違ってない事を教えた方がいいのかな?


 この突然の侵入者に花は不思議と危険は感じなかったのだが、どう反応すればいいのかがわからない。

困ってしまった花に男性は立ち上がると、気の抜けるような笑顔を見せた。


「えー、取り乱しました…… コホン。改めまして、僕は翔。明らかに不審者だけど気にしないで? んでさ、ここってどこ?」


 自己紹介?と共にペコリとするその仕草が日本人らしくて、花は思わず笑顔を返した。


「はじめまして、小泉花といいます……あ、今は違う?……とにかく、花です。翔さんは間違っていないようです。ここはユシュタールのマグノリアと言う国ですから」


「な~んだ、間違えてなかったんだ。さっすが僕だねっ!!……って、あれ!? 花ちゃんって日本人…… だよね!? じゃ、トリッパーなの!?」


「トリッパー?」


「異世界をトリップする人の事だよ~。僕はパシ……いやいや、趣味と実益を兼ねてあちこちの世界をトリップしてるトリッパーなんだけど、花ちゃんは?」


 耳慣れない言葉によって知った翔の特技?に驚きつつ花は答えた。


「……いえ、私はたまたまこの世界に……」


「そっかー。『落ちた』のかぁ…… あ、じゃあさ、元の世界に帰りたい? 僕、頑張れば帰してあげられない事もないけど?」


「いえ、それは大丈夫です。ご心配下さってありがとうございます」


 ニッコリ微笑んでお礼を言う花に、翔もニッコリ笑い返す。


「うん、それならいいんだ。にしても…… さては花ちゃん、この世界に好きな人ができたなぁ?」


「え!?」


 顔を真っ赤にした花を見て、翔は楽しそうに声を上げる。


「だいせいかーい!!」


「い、いえ……あの!翔さん、それにしても、どうして暖炉から現れたんですか?今日はたまたま暖かいので、火は入ってなかったですけど……」


「うわ、マジで!?あっぶねー!まるでなんかのコントみたいじゃんっ!素でギャグ出来るなんて…… でもちょっとオイシイ。ってかさー、時期的に僕ってあわてんぼうのサンタっぽいね?いよっ!メリークリスマス!あれ?なんか掛け声おかしい?」


 恥ずかしくなって慌てて逸らした話に応える翔がおかしくて、花は声を出して笑った。

とても若いイケメンサンタだ。

それから翔は、「そうだ、いいものあげるよ」と言うと、ゴソゴソとジャケットの左右のポケットを探った。


「ジャジャ~ン!!郷土料理でーす!!」


 弾んだ声で翔は花に手を差し出した。

その手のひらに乗っているのは、かわいくラッピングされた小さな包み。


「これは?」


「バレンタインチョコでーす!!」


「え!?それはダメです、頂けません」


「なんで?あ、この世界にもチョコってあった?」


「いえ、ありませんけど……バレンタインのチョコレートなんて頂いたら申し訳ないです」


「…… ああ!! 大丈夫、大丈夫!! これ、姉ちゃんから貰ったもんだから。しかも、まだあるし。姉ちゃんの手作りなんだけどさ…… あ、姉ちゃんと僕って双子なんだよ。んで、姉ちゃんはめちゃくちゃ料理が上手いの!! んで、人に食べさせるのも好きだから、花ちゃんが貰ってくれたら喜ぶよ? 絶対!!」


 花が遠慮する理由に思い当たったらしい翔は、安心させるように説明をしてくれるのだが、花はその中に何度も出てきた『姉ちゃん』という言葉に、翔さんはお姉さんが大好きなんだな、と思いクスリと笑った。

と同時に、翔の手のひらでチョコレートが花を誘惑する。


「あの……本当に頂いてもいいんですか?」


「もちろん!!」


「……じゃあ、遠慮なく。ありがとうございます。本当はすっごく欲しかったんです」


 包みを受け取って嬉しそうに微笑む花に、翔も満足して笑うと「よしっ!!」と気合を入れるように、自身の頬を叩いた。


「んじゃ、僕帰るわっ!」


 そう言って手を振る翔に花は慌てて声をかける。


「あの!!……翔さんは結局、マグノリアに何をされに来られたんですか?」


「…………あ」


 当初の目的をすっかり忘れていたらしい翔に、花は再び笑った。

しかし翔はその事さえも全く気にしてないようで、「そうだった、そうだった」と呟いている。


「ねー、花ちゃん。この辺にさ、ルー君とレナードっていう愉快な仲間達…… ああ違った、萌えと愉快だ。じゃなくて、残念な年齢のかっちょいーお兄さん達いない?」


「……ルー君とレナード?」


――― レナードって……レナードの事かな?って事は、ルー君ってルーク?ルーク……ルー君……ルー……


「……カレー」


 考えるうちになぜかカレーが食べたくなった花は思わず呟いてしまった。


「カレー?」


「はい。なんだか、急に通ってた大学の学食のカレーライスが食べたくなって……」


「わかるわかる!! カレーは『急に食べたくなるランキング』上位だもんね!あとラーメンと! 現代っ子のソウルフードだ!」


「そうなんですよね!!私、この世界に不満はないんですけど、でもたまに、無性に学食のカレーライスとか、ラーメンも食べたくなってしまう時があって……あとはやっぱり白いご飯ですよね?もう私、何度チネろうかと……」


「えー!! 花ちゃんってチネラー!? あ、まだチネった事はないのか。僕もやってみようかと思った事何度もあるよ? でも二粒が限界で『もういいっ』って食べちゃうんだ……。

だけどやっぱり僕は姉ちゃんの料理が一番だねっ! 姉ちゃんのカレーは絶品だよ? 香辛料から作る本格カレーの時もあるし、市販のルーの時もある。なんでも『ヘタに作るより日本のルーは美味しいから』だって!

 あー花ちゃんにも食べさせてあげたいなぁ…… でも、そうだな…… んじゃさ、今度来る時に姉ちゃんのは無理だけどレトルトのカレー持って来るよ! あと、米も!!」


「本当ですか!?嬉しいです。ありがとうございます!!」


「うん!んじゃ、僕帰るね!!」


「え!?あ、すみません!!……話を逸らしておいて何ですが、レナードとル―君は?」


「…………あ」


 再び当初の目的を忘れてしまっていたらしい翔に、今度は二人で笑った。


「あの……ルー君って、ルークって言うんじゃないですか?」


 ひとしきり笑って落ち着いた花の問いに、翔は嬉々として答える。


「そうそう!…… 多分? ルー君としか思い出せないんだけど。うーん、見た目はズバリ『乙ゲーの難攻不落キャラのような銀髪の美形』!」


「……それなら、やっぱり翔さんは間違っていないです」


 なぜか顔を赤くする花を見て、翔はピンときたようだ。


「あ…… ひょっとして花ちゃんの好きな人ってルー君!? うっわー! ……って、ひょっとしてルー君ってば、花ちゃんと一緒の部屋で寝てたり!?」


 もはや、ゆでダコ状態の花に、翔は再び頭を抱えた。


「あっぶね! もうちょっとでイケナイ現場に遭遇する所だった! そんなとこ見られたらルー君のルー君がルー君になっちゃうあわわわわ。 お邪魔虫ったら消し炭にされるとこだった! ひょえ~」


「―― それなら今すぐ消してやる」


「……へ?」


 突然聞こえた声に翔は素っ頓狂な声を出し、花は後ろから強くルークに抱きしめられた事に驚く。


「ルーク!!」

「ルー君!!」


 どうやらルークを驚かそうと気配を消してコッソリ現れた翔だったが、話が弾んで油断したらしい。

ルークはその気配を感じ、侵入者を排除しようと急ぎ現れたのだが、翔を見て何かを思い出したように呟く。


「お前……」


 が、それに構わず翔は喜び?の声を上げた。


「うっわ! ルー君久し振りー! 相変わらず美形だねっ。お友達の翔だよー。…… お、覚えてる!? 覚えてるよねっ!? ……あ、無反応? やば、ひょっとしてだいぶ時間あいたもんで年齢による記憶障害起きてる!? だめだよ、ちゃんと脳トレしないとさっ! まあいいか。ねー、突っ込み担当レナードいないの?」


「……」


 無言だが、ルークの静かな怒りを感じた花は慌てて口を挟んだ。


「あ、あの……ここでは何ですから、居間にでも?」


「あ! そだね……。花ちゃんとルー君の愛の巣で語り合うのは僕の命が縮まるし? んじゃ居間いこー!」


「……」


「ルーク?行きましょう?」


 まるで勝手知ったるかの様に居間への扉に向かう翔の後を追って、仕方なくといった様子のルークと花は居間へと向かった。

そして花が居間に入った途端、「怪しいけど怪しくありませーん!」と言って両手を上げる翔と、剣を構えた護衛のカイル、驚きに青ざめているセレナ達が目に入った。


「あ……」


 いきなり花の寝室から見知らぬ男が出て来たのだから、カイル達の反応は当然なのだが、その事を失念していた花は何と説明すればいいのかわからず言葉に詰まってしまった。

そんな花の後ろから、盛大な溜息が聞こえる。


「カイル、こいつのことは気にするな。色々と規格外だから今回の事は忘れろ。それと、レナードを呼んでくれ」


「え~、ナニソレー。ルー君って僕に対して扱い雑じゃね? わっ、キレーなお姉さん達みっけ! 初めましてー。僕、翔です。よろしく?」


 翔はルークの言葉に文句を言ったかと思ったら、すぐにセレナ達へ挨拶して勧められもしないのにさっさと応接ソファへと座った。

そんな翔に、花は笑いを堪えてセレナ達にお茶を頼むと、無表情だが明らかに怒っているルークと共にソファへと腰を下ろした。


「そういえば翔さん、今は日本語じゃないですね?さっきまでは日本語で話していたのに」


「それを言うなら花ちゃんもだけどね? まーいいじゃん、うまいことなってるんだから。キニシナーイ」


「それもそうですね」


「何の話だ?」


 二人の会話を聞いて訝しそうにするルークに、花は答えようとしたが……


「あの――」

「ん?ルー君なになに? 嫉妬ヤキモチじぇらすぃ~? あははやだな~、心配した? あのさ、僕と花ちゃんは同じ世界の同じ国に住んでたんだよ。びっくりだよねー!偶っ然!」


「……と言う事です」


「……」


 勢いよく簡潔に?説明する翔に圧倒される花だったが、やはりルークは怒っている。そんなルークに、翔は更に言い募る。


「うを、ますますジェラってる…… 怖っ! ねね、花ちゃん、男の嫉妬はお好き?萌え? でもさ、それ表に出すとちょっとかっちょ悪いよね?」


「はあ……」


「……」


 花にはもはや、何をどう言えばいいのかわからない。

だが翔は、静かに怒るルークを楽しそうに見ると、何かイタズラを思いついた子供のように顔を輝かせた。


「そういえばさ、花ちゃんってバレンタインチョコ、誰かにあげたことある?」


「え!?……まあ、あることにはありますが……」


 父親と兄弟に義理チョコを一応毎年贈っていた。

父親には書斎の机の上にいつも置いておいたのだが、恐らく食べてくれた事はないだろう。兄弟達に関して言えば、家政婦さん(づて)にお願いしていたので受け取ってくれているのかもわからない。

それでも、あげたことになるかな?と思いつつ花は答えたのだが、それを聞いた翔は非常に嬉しそうな顔をした。


「へ~、ほ~、そ~なんだぁぁ! ルー君ってば聞いてよ! バレンタインのチョコってのはね、出身地では一大イベント……祭り?なのさ。『女の子が好きな男にチョコをあげて愛を伝える』ってね! ほっほー、花ちゃん……ねぇ~」


「え?あ、はい。そうですね」


 深く考えずに答えた花は、ルークの気配……というか、王宮に満ちる魔力の圧力が増した事に気付かない。


「……レナード、いい加減に入って来い!!」


 怒りを含んだようなルークの声に驚いた花だったが、その言葉に応えるようにゆっくりと青鹿の扉が開いた。

そして現れたのは、非常に嫌そうな顔をしたレナードと、非常に楽しそうに微笑むディアン。


「あれ?いつからいらっしゃったんですか?」


「陛下の嫉妬心について話されている少し前からです」


 爽やか暗黒笑顔のディアンの答えによると、カイルがレナードを呼びに行ってすぐと言う事だ。


「んっ? なに!? レナードが二人? …… いや違うな、実体化した天使と悪魔だ! きっと僕の左右に現れて悪魔が誘惑して天使がそれを邪魔するに違いない! いやいや、それともレナードがものっすごい高速で動いていて残像が見えてるだけなのかも!?どちらにしても楽しいな、うんうん」


「どっちも違うわ!!……お前は久しぶりに会って挨拶も無しに言う事がそれか?こっちは俺の双子の兄のディアンだ」


 天使と悪魔、言い得て妙だと花は感心していたが、二人の絶妙な掛け合い?は続く。


「なんだレナードのおにーさんか。僕は翔! 趣味は迷子!ああ違う駄目だよ自分で言っちゃ……。ディアンおにーさんってステキな暗黒オーラが見えてうっとりしちゃうな~。そういうの大っ好き! …… なんでレナードはハラハラしてるのか分かんないんだけど……? あ、そうか、うんうん。ね? ディアン色々よろしく!」


 元気良く両手でディアンの手を握ってぶんぶんと振る翔に、レナードは蒼白になった。


「カケル!!――」


 慌てて止めに掛かろうとしたレナードだったが、ディアンの顔を見て足を止めた。

ディアンの顔には、前回の翔の訪問をメーシプから聞いた時に見せた氷の微笑みが浮かんでいたのだ。しかし、翔はディアンの微笑みに嬉しそうに笑い返す。

 なぜだか、何か二人が通じ合ったような気がしたレナードは一歩後じさった。そんなレナードに翔は脱力するほど気の抜けた笑顔を向ける。

 

 「レナード! いやー、暫く見ないうちに大きくなったね!……多分? 僕に会いたくて恋しくて堪らなかった? 寂しがり屋さんだなあ、こいつぅ! まだ独身? 一人寂しく冷たいベッドで枕濡らして寝てるんだろ? ふふん、今日は僕が寂しくないように添い寝で子守唄を歌ってあげよーう!」


「いるか!! お前、アレを『歌』だなんて、よくも――」

「レナード」


 二人の掛け合いを面白そうに見ている花と、黙ったままドス黒く笑うディアン。

しかしルークは、楽しそう?なレナードの言葉を静かに遮った。


「どうでもいいから、早くこれを持って出て行け」


「うっわ、何! 僕『これ』扱い!? 酷いわっ! ルー君、僕の事もてあそんで捨てるのねっ! 僕はもっとルー君で遊びたかった…… あ、違う。ルー君と遊びたかったのにぃ! ねえ花ちゃん酷いと思わない!?」


「え?そうですね?」


「……」


 益々ルークの纏う気が圧力を増したのを見て、翔はいっそう楽しそうに笑った。


「おおっと! これ以上ここにいちゃ恐怖の大王が降臨するぅ! ヤバイヨヤバイヨ。これにてドロン致しますっ! ささっ、レナード行くよっ!どっかに!どこだよっ!?まあいいや、じゃー花ちゃんまったねー! 約束のアレお楽しみにー!」


「え?おい!?」


 言いたい事だけ言った翔は、驚くレナードを引き摺って青鹿の間から出て行った。その後を暗黒笑顔のままのディアンが続く。それを見送った花はレナードの為に祈らずにはいられなかった。

 そして残ったのは、微妙な空気の静寂。


「「……」」


――― 何て言うんだろう……一難去ってまた一難?全然違う。嵐の前の静けさ?あ、意味逆だ。嵐が過ぎ去ったような……台風一過?うん、そうだ!!うん……まるで台風のようでした……


「……約束のアレとは何だ?」


 不機嫌を隠さないルークの問いに、黙り込んで考えていた花は我に返った。


「え?ああ……翔さんが、今度いらっしゃる時に故郷の懐かしいものを持って来て下さるそうなんです。翔さんって、面白くて素敵な方ですね」


 微笑む花を見て、これ以上ない程にルークの気が圧力を増した。王宮のどこかで悲鳴が上がっている。

しかし、花はそれに気付かない。


「ルークに翔さんのようなお友達がいるなんて知りませんでした」


 更に続いた花の言葉に、ルークは非常に嫌そうな顔をした。


「……友達などではない。あれはレナードの……」


「レナードの?」


「……担当だ」


「担当って……なんですか、その飼育担当のような言い方は………」


 思わず突っ込みを入れた花だったが、ある事に思い当たりハッとした。


「もしかして、異世界人には担当が付く決まりなんですか!?ルークは私の担当だったんですね!?……それで私の面倒を見るはめに……」


「え?いや……」


 相変わらず突拍子もない考えに辿り着いた花に驚いたルークは、思わず返事に詰まってしまった。

実際、花の事を最初は珍獣のように思っていたのだ。

そんなルークの動揺をよそに、花の思考は暴走していた。


――― やっぱり!!どうりでおかしいと思ったんだ!!そっかぁ、そうだったかぁ……あれ?と言う事は……


「ルーク、ごめんなさい」


「……何がだ?」


「翔さんはご自分でお家に帰れるようですので、レナードの負担は少ないですけど、私は居座っちゃいました。貧乏くじを引かせてしまいましたね」


「……」


 滞在時間が短くても、恐ろしい程の気力・体力を奪っていく翔は間違いなく貧乏くじだ。

前回の闖入―― 訪問で残していった翔の置き土産の後始末には苦労した………レナードが。

結局、ジャスティンの力を借りなければならなかったのだ。

 押し付けたのは自分である事をすっかり忘れて、ルークはレナードに同情した。

そしてルークは小さく息を吐き出すと、申し訳なさそうにする花を抱き寄せて膝の上に乗せた。


「ルーク!?」


 驚き真っ赤になった花の顔を両手で包み、ルークはキスをした。

軽く、深く、何度も。

やっと唇を離したルークは、恥ずかしそうに俯く花を抱きしめて囁いた。


「当たりくじの間違いだろ?俺はハナが居座ってくれて、これ以上ないほど嬉しい」


 ルークの温かい息がうなじにあたってくすぐったい。

だが、次にルークが口を開いた時には、その声に少し不安が滲んでいた。


「俺はハナにずっとここにいて欲しい。俺の傍に。だがハナはカケルに会って……故郷に帰りたくなったか?」


「―― いいえ………確かに、懐かしくは思いました……でも、帰りたいとは思いません。私はずっとここに、ルークの傍にいたいです。私の担当がルークで本当に嬉しいです」


「……」


 花はルークに腕をまわしてギュッと抱きついた。


「私は、カレーよりルークが好きなんです」


「ハナ……」


「ラーメンよりも」


「……」


 ルークにはカレーもラーメンも全くわからない。

だが、花を強く抱きしめながらも、喜ぶべき花の言葉をなぜかルークは素直に喜べなかったのだった。




ルークにここまで言えるのは彼しかいない!!って翔っちですが、彼は『鶏庭子』様の『世界を翔ける』の登場人物です。そして、あちらでもコラボってますwwしかも本編で!!さすが翔っち!!

この後のレナードの運命は・・・もうお分かり頂けますよね?ww活字にするのが気の毒でww

とにかく、レナードに幸あれ。

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