第17話 ハンドソープ希釈犯に告ぐ
弊社には、お手洗いに液体のハンドソープがあったんです。
備え付けの、洗面台下から汲み上げて供給される方式のものは壊れました。だってかなり下の方からヨイショと薬液を吸い上げねばならず、吸い上げるにはまあまあの圧力でボタンを押し下げねばならず、みんなで躍起になって、力任せに何度も押下している間に壊れてしまった。
修理はされなくて。どうせしてもまた壊しちゃう。
そのため一般家庭にもある据え置きの、ポンプ式の液体ハンドソープが置かれてありました。
ところが、これを何者かが薄めていたのです。水を足すことで希釈していた。
下から汲み上げていた時代の、粘度を下げるための措置の名残。それか、最初に泡を立たせるのを面倒に感じてか。
確かに早い。手にハンドソープを出してからすすぎ終わるまでの時間が短い。
でも泡が一向に立たない場合がある。どんなに大量に出しても泡立たない。
調べると、希釈してから日をおくと、雑菌などが中で増殖してしまう、らしいです。防腐剤や殺菌成分が薄まってしまうのだから、その効力も弱くなっていて然るべき。
わたしたちは除菌しようとして、一生懸命に他の雑菌を両手に塗りたくっていたわけです。
誰が希釈しているのかはわからない。掃除の業者さんか、小回りのきく社員か。
何度か張り紙をしようと思い、でも思いとどまって。
おそらくは親切心なのであろうと。でもありがた迷惑。しかし指摘するのはしのびない。
ああでもないこうでもないとひとりウダウダしていたら。勝手に抜本解決されちゃいました。
液体ハンドソープから、泡ハンドソープにある日突然変わったのです。
最初から泡で出てくる。ポンプも実に軽い。馴染ませてからすすぐまでの時間も短い。水で薄めないから雑菌の繁殖の心配もない。
いいことずくめ。
今回は自然と解決してしまいましたけども。こういうのってたぶんいくらでも出てくる。
その度に思うのです、指摘すべきか、口をつぐむべきか。




