7話•リカエルとの日常
小さな秘密基地の屋根には、わずかに隙間があり、そこから朝の光が差し込んでいた。あやかはその光に目を細めながら、ゆっくりと目を覚ます。
隣で、秘密基地暮らしの子がまだ眠っている。
「ここ……どこだっけ?」
寝起きの頭はぼんやりしていて、昨日の出来事がすぐに思い出せない。
でも、不安ではなく、むしろ静かで心地よい。そんな感覚を抱いていた。
秘密基地の空気はひんやりしていて、普段とは違う匂いがした。
しばらく天井を見つめる。
昨日までの自分とは、どこかが少し違うような気がした。世界が変わったことを、まだ心がうまく理解していないのを感じる。
でも、ミナリがいると不思議と安心できる。
‘小鳥のさえずりが聞こえる」
盲目だった頃、世界は音でできていて、小鳥の声もただの音として触れるだけだった。
さえずりが聞こえる方へ視線を向ける。
揺れる葉のあいだで、小さな影が跳ねる。その羽根がきらりと光を反射し、口ばしが開くたびに声が生まれていた。
胸がじわっと熱くなる。
ただ聞こえていた音が、初めて“姿”を持った。
耳だけで感じていた世界が、一瞬で色と形と動きに満たされる。
さえずりが、心の中に沈んでいく。
羽ばたきが、朝の空気を震わせる。
あやかは息を飲んだ。
まるで音が目の前で咲いているようで初めての朝は衝撃的なものであった。
その時、秘密基地の外から――空を振り抜く鋭い音と、妙に威勢のいい声が響いてきた。
「はっ! そらっ……! おら!おら!はっ!はっ!オラオラオラオラオラオラオラ、オラァ!!」
聞き慣れた声。ではなかったが、一生懸命さが伝わってくるほどで、この静かな朝には少し場違いなほど張り切っていた。
「誰だろ、イカエルかな?」
ベットからそっと身を起こし、秘密基地の扉を押し開けると、
外では、リカエルがひとり、空に向けて剣を振り上げていた。そっとハシゴを降りて近くに茂みに座って彼を見ていた。
髪が金色に揺れ、踏みしめる土が小さく散る。
動きは少しぎこちないのに、声だけやたらと勇ましい。
シュッ、タタッ、シュ!!
左下から切り上げそのままジャンプ回転をし、左上から空気を切り裂いた。
「うおおお……っ、今の技どうしよう。俺かっこよかったし、ぐるぐる回転攻撃だな。」
あやかは思わず笑ってしまう。
こんな光景を「見る」とは思っていなかったし、名前がダサすぎて笑いを堪えることもできなかった。
リカエルがこちらに気づき、ぱっと顔を明るくした。
「おっ、起きたか! なぁ今の見た!?俺強そうだったろお?」
その笑顔が朝の光に照らされて、眩しいかった
「うん、名前はダサいけどかっこよかったよ。」
「別にダサくねーし。」
そうあやかに話し、また木でできた剣を空に振る
あやかは静かに綺麗な目で彼の動きを見ていた
彼の剣が描く線は滑らかでありながらも鋭かった。
ただ縦に振ってるかと思ったら、下に踏み込んで上に切るような練習もしていた。
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「ふー。とりあえず終わり、飯にするか。」
リカエルが剣を肩に乗せながら言う。
あやかは立ち上がり、二人で秘密基地へ戻った。
扉を開けると、髪がクルクルになっているミナリがベッドの上で、もそもそと動いていた。
髪があちこちに跳ねていてる。
「……んぁ、おはよ……」
「お、ミナリ起きたか! 飯だぞ!」
リカエルは誇らしげに、お母さんが作った弁当箱をドンと机に置き、三人はテーブルを囲むように座る。
あやかはやけに肌触りの悪い椅子に座った。昨日は無かったはずの椅子に。
箱の中には、サンドイッチのような物が3つ入っていた。
「リカエル……今日もいいの?」
「ああいいぜ! 俺のお母さんに三人分って言っといたから!!」
「これって……何?」
「これはですね、スノサンドって言うんだよ。」
ミナリはノートを取り出し、素早くページを開き、あやかに見せた
「はい、これがスノっていう鳥だよー。」
「うわー。なんかキモいっていうのかな?まぁありがと。」
あやかはふわふわの毛にキモい顔を見てメモを閉じた。
ミナリが眠たそうな目をこすった。
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食べ物を食べ終え、ミナリとリカエルは冒険チームの服に着替えていた
あやかはベッドの上であぐらをかき、向こうを向きながら着替えている二人を見ていた
その視線にリカエルが気づいた
「そういえばまだ、お前って冒険チームの服ないよな。」
「じゃあ今日、買いにいこーよ。」
「この服だと外に出たくない。」
自分のみすぼらしい服を見て彼らにそう話した。
「だよねー。じゃあ俺たち二人で買ってくるから、楽しみにしとけな」
「うん」
ぐっとぶと腕を上げ二人に見せた。
そしたら二人もそれを真似して、あやかに合計2つの初グッドブをプレゼントした。
リカエルとミナリは元気よく手を振り、森の小道へと駆けていった。
秘密基地の中に残された静けさは、少しだけ寂しいけれど、この何ともいえない暖かさが不思議と落ち着く。
あやかは一人、秘密基地の部屋を歩いていた。
床の軋む音、木の匂い、屋根の隙間から差し込む細い光。
見える世界は、昨日の夜とはまるで違っていた。
そのとき――ふと、本棚が目に入った。
棚には古い木が何個も並べられていた。
けれど、そこに並ぶ本だけは丁寧に扱われているのがわかる。
ミナリが集めてきたものだとあやかは思った
あやかは一冊、手を伸ばしてゆっくりと取り出した。
表紙には見慣れない文字が並んでいる。
でも、ページを開いた瞬間――あやかは衝撃を受けた
「、、、読めない。」
あやかは初めての文字を見て、何じゃこれはと表情が本にうったいかけていた。
初めて見る文字に挑戦的な感情が湧いた。
ページをめくる。
昔の物語ようで、手描きの絵と文字が交互に並んでいた。
文字の形、絵、、
たった2つの情報からあやかはこの世界がどんな世界なのかが分かった。ドラゴンのような大きな生命体がいて、魔法を使う人物がいれば、生命体を操る人、剣などの武器で野蛮的に戦う人などがいる。
あやかはまるで二日前まで頭の中で想像してた世界と、今いる世界があまりにも違うということがあやかはこの本から分かった。
一週間お休みします。




