エピローグ:それはいつかの未来の話
「でも、これからも命を狙われたりするのかしら···」
こそっと抜け出し私達の家に帰ってきたものの、気がかりはもちろんあって。
「それはないんじゃないかな?どこかの国に従属したなら別だけど、敵にするより味方にしたいだろうし。今回の件はユグル王国がなんとかするはずだからね」
しれっとそう言い切るフィルを見ているとなんだか本当にそんな気がしてくるから不思議である。
しかし流されてばかりいる訳にもいかない。
もしこの場所を攻められたら···
そんな心配に気付いたフィル。
「そうそうここに来れないとは思うよ、幻影魔法の認識阻害レベルも強化したし。メオルさんは一度来ちゃったからまた来れるだろうけど、ユグル王国はリナの存在と僕の力どっちも知っちゃってる以上敵対だけは避けたいはず。でも、心配はしないより絶対する方がいいから···」
ふむ、と少し考え込んだフィルは一瞬パッと転移して瞬きの間にパッと戻ってきた。
「えっと、今何を···」
「要塞にしてきたよ」
「えっと、今何を!?」
にこにこしているフィルの言葉を聞き慌てて外に出る。
そして家を囲むように天高い壁が出来ていた。
「あ····は、はぁ····?」
「外から近付く相手の敵意に合わせて自動で撃退する監視魔法もかけてあるし、家自体にもバリア張って物理的にも魔法的にも強化してみました~っ!」
こ、これは···!
見た目は普通のコテージのような家にアンバランスな禍々しい城壁···これはもしかしてもしかすると···
「ま、魔王城ってやつなのでは···!?」
それにしてもこれをあの一瞬で作るとかやっぱりフィルってチートなのでは···?
思わずジト目を向けた私をにこにこ見つめるフィル。
うっ、そんな顔されるとキュンとしちゃうんだけど···っ
「魔王城じゃなくて、僕達の愛の城ってやつだね?」
「····なっ!」
「ねぇ、リナ。僕子供いっぱい欲しいな」
それは初めて会った日に言われた言葉。
あの時は相思相愛の相手と作れと断った。
けど、今は···
「それは、まだ、ダメ!!!」
「えっ、えぇ~っ!?僕達相思相愛になったんじゃないのぉ~っ!?」
「子供ってのは、まず結婚してからよ!そしてまだ行ってない国も町も沢山あるわ」
「えっ!?もしかしてまだ僕のお嫁さん外で探すとか言わないよね!?」
焦るフィルを隠れ見て思わず笑みが零れてしまう。
こういうところも可愛いと思ってしまうのは、きっと惚れた欲目なのだろう。
「····新婚旅行、夢だったんだから」
小さな声でそう伝えると、困った顔をしていたフィルの顔が途端に満面の笑みに変わって。
「·····うん、そうだねっ、リナと色々僕も行きたいっ!」
ーーーどこか遠い森に魔王が住む家があるらしい。
そこには黒髪の魔女と、魔女の使い魔の黒猫も住んでいる。
ーーーどこか遠い森に世界王が住む家があるらしい。
そこには奇跡の魔法が使える少女も一緒に住んでいる。
ーーーどこかの世界にそんな適当な噂があって、結局言い伝えだの言われているけれど。
「ね、フィル!次はあっち行ってみましょ!」
「えっ、リナまだ食べるの!?」
実は、案外あなたの近くのお話なのかもしれませんーーー···




