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13.計画的にもしないでください

※そういった行為を肯定する意図はありません。

「猫が食べてもいい草かわからないわね、これ···」

見た目は日本でクロがよく口にしていた猫草に見えるが、見た目だけの可能性もある。


鹿の角に見えたがなんかよくわからん恐ろしい怪物の角だという事だってあったのだ、見た目にうっかり騙される訳にはいかない。


「インターネットとかで調べられたら安心なんだけど···」

クロの安全には変えられないので、その草は諦めて近くの木になっていた果物をむしる。

おもむろにかじりつき、飲み込む前にしっかり口の中で味わった。


“痺れもないし、違和感はないわね?”


安全と判断しそのまま飲み込む。

すっかりこの世界の生活に馴染んだというか···なんだか逞しくなったな、と我ながら感じて小さく笑った。



世界が変わっても大切なクロは側にいてくれるし、それに今はフィルだっている。

金髪碧眼の王子様のような見た目は眩しいが、それも眼福と思えば有難いし、何より彼の持つ柔らかな雰囲気が一緒にいて落ち着くのだろう。

クロもすっかり懐いているし、日本より少しサバイバルに近くなったこの生活にも順応しそれどころか毎日が楽しくすらあるのだ。



「クロの為だけじゃなく、フィルの為にも、何より私自身が今の生活を大切に思ってる···」

この毎日を手放さない為にも、健康で長生きしなきゃ!なんて気合いを入れ直したのはつい先日の事。


日本にいた時は、死にそうなくらいの残業があったりもしたし、こちらの世界では死ぬかもと恐怖した事もあった。

それでも今の生活と平穏を手に入れ、“死”なんて存在が遠く感じ始めた目の前で女の子が消えた。



「·······え?」

「き、きゃぁぁぁぁあ!!!」



遠くなる叫び声が耳に飛び込み、真っ白になった頭でもなんとか状況を理解する。



“まさか落ちた···!?”




それは少し前の事。

今回こそはフィルにお嫁さんを!と転移を頼み、今まで行ってない方向になんか適当に飛んで!とお願いした。


「うーん、じゃあちょっと高いとこに行ってみようか?」

「え?高いとこ?東西南北でって意味だったんだけど···っ」


なんて会話をし、まさに“高いとこ”へ転移をした。

そこは山というよりは低そうだが、丘のようになっており緑に溢れた綺麗な場所だった。

私達が転移した場所から少し先は崖のようになっていたが、そこはしっかり確認してくれていたのか私達は安全な場所にたっていた。


私達は。



「き、急に人がっ!?」


という声が聞こえ、声の方に目を向けた時には女の子だろう甲高い叫び声だけが残っていて。



「ッ!!」


突然現れた私達に驚きおそらく足を滑らせたという事なのだろう。

どれくらいの高さの崖かはわからないが、“落ちきってしまう前”になんとか助けなくては、と慌てて両手を胸の前で組む。


“助けて、でいいの!?浮かせて、とか!?何て願うのが正解···!?”


焦りから思考がまとまらず、まとまらないことにまた焦っていた時だった。



「大丈夫だよ、リナ」



ぽん、とフィルに肩を叩かれ、ぱっと前を向くとそこには、フィルの魔法でゆっくり浮き上がってきた女の子がいた。


「風···魔法?」

「うん、浮かせるくらいなら簡単だから」


本当に簡単か、というところはフィルだから、と結論付けるしかないが、目の前には消えた彼女がゆっくり降りてきたので安心して息を吐く。



「良かった···怪我とかしてないですか?」


自分が浮いている事に驚いているのだろうその女の子は、淡いクリームのような髪をなびかせ、真ん丸な菫色の瞳を見開いていて。


そして完全に地面に降り立った瞬間、崖へ猛ダッシュした。



「なんでやねん!!」



思わずツッコミを入れつつ崖に走る彼女に、反射的に飛び付く。

私の方が体重があったのか、いや、魔法かな?私の魔法が発動したんだよね?とりあえず女の子を押さえる事には成功したものの、また崖から飛び降りられては困るのでそのままの体勢で声をかけた。


「あの!私達不審者じゃないのでやみくもに走らないで!また崖から落ちますよ!?」


私の声を聞き、小さく首を振る彼女。


「?あの、もし落ちたら死んじゃうかもしれないし危ないですから···もし落とし物とかだったら回り込んで取りに行った方が···」

「·····ですっ」

「へ?」

「死にたいんです!!!」

「····えっ、えぇ~っ!?」

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