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幕間:答えは聞くまでお預けです

「最近バタバタしててごめんねぇ~!」


カリーナさんのところから帰った後、万が一を懸念して暫くは近くをパトロールしていたらしく。


「今日はどうだった?」

「ん、全然大丈夫そうだった~!」


ふわふわにこにこのフィルの笑顔を見ながら、魔王コスプレ?をしながら不敵に笑う姿を思い出して思わず吹き出す。



黒髪、赤目、角。

私が伝えた魔王のイメージを再現してくれたが疎通は出来ていなかったようで。


「ね、フィル?あの魔王モードの角ってなんであの角にしたの?」


めちゃくちゃ鹿だったあの角をなんで選んだのかが気になり、深い意味なく聞いてみると。


「あぁ、あれはね、セトランタ属のミロカゲウだよ」

「へ?」

「ミロカゲウ、知らない?」


聞いたことのない名前を言われ、ぽかんと口を開けながら思わずふるふる顔を揺らす。


ミロカゲ····え、なに?


「この世で最も残酷な肉食獣と呼ばれてて、爪の内側には血を吸う吸盤があって、いたぶりながら徐々に血を···」

「ま、待って待って待って!何その怖い生き物!?」


全く想像出来ないがとんでもない生物である事だけ理解し慌てる。


「やっぱり魔王って言うくらいだし残酷な方がそれっぽいかなって思ってさぁ」


と、相変わらずの王子様スマイルで言われても逆に不気味なだけで。

そんなフィルは、絶句した私を見て何を思ったのか。


「リナが元いた世界には居なかったの?うーん、転移で見に行ってみる?」


なんて言い出して。


「いや、大丈夫、行かなくてほんとにほんとに大丈夫だから···!」

「遠慮する必要なんかないよ~!ちょっと行ってチラッと見てサッと帰ってくればいいんだよ!」

「嫌だ怖い行きたくない!!」


意地はらなくてもいいんだよ、と、こんな時に限ってフィルも引いてくれなくて。



「あ、あーーー!そういえば、カリーナさんにしてもらった占い、結果聞きそびれたね!!」


なんとか話題を変えようと必死になる。

そんな必死さが伝わったのかはわからないが。


「そういえばそうだね、何のカードかも結局見れなかったもんねぇ」

と、フィルも乗ってくれて。



「タロットってどんなカードがあったっけ?」

そういえば存在は知っていても全部で何枚のカードかすら知らない事に気付く。


私が唸っている事に気付いたフィルが、タロットカードの本を出してくれた。


「えっ、こんな本持ってたの?」

「うん、魔法の制御を学ぶ一環で魔導書を集めてた中に一冊紛れてたみたいで」


せっかくだからと二人でパラパラ捲ってみる。


「フィルは何のカードだったらいいなって思う?」

「えっ!?そ、そうだね、えっと、こ、恋人のカードとか···かな?」

「いい出会いしなきゃだもんねぇ」

「········。」


何故か落ち込んでしまったフィルを怪訝に思い、顔を覗き込むとプイッと顔を逸らされた。

だったらリナは?とフィルに聞かれ、また本に意識を戻し眺めてみる。


「そうだなぁ···」


ページを捲り、カードの絵柄とその説明を見ていると一枚のカードが目に止まった。


「私はこれかな、死神のカード!」

「えっ!?それなの!?」


目を見開いて驚くフィルの顔がなんだか面白くて。


「フィルの全てを終わらせちゃおうかなって!」

と笑いながら伝えると、

「じゃあ僕は魔王のカードを選ぶ!死神カードに魔王カードをぶつけてターンエンド!」

なんて反論してきた。


「タロットに魔王なんてカードはありません!」

なんて笑い合うこの時間がとても居心地がよくて。


その居心地の良さをクロも感じているのか、近くのクッションに丸まって寝ていた。



フィルは気付かなかったみたいだけど、死神のカードは“終わり”を示すカード。

終わりがあるということは新しいスタートを迎えるという意味もあるとその本には書いてあって。


“フィルの辛い思い出が全て過去になって、新しく楽しい毎日が始まりますように”






「次カリーナさんに会ったら、あの時のカードは何のカードだったか聞いてみよ!」


そう言うと、フィルも楽しそうに頷いてくれたのだった。


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