二人きりの甘い時間
甘ーい時間を堪能する二人をほんの少しだけ覗いてみました。いけないですね、秘密にしてください。
二人きりの甘い時間
静音は、日差しに背を向けた海斗の顔をじっと見つめていた。
海斗は本当に綺麗だ。整った顔立ちがすごく好きだと心の奥底から思う。
その美しい唇が肩先に触れるだけで、そこから肌が輝いて行くような気がする。
どうしようもなく体がうずいて、早く満たしてほしいと思ってしまうのを止められない…。
静音は、ねだるように、海斗を見つめた。
海斗の触れる指が、、唇が、体をしびれさせるように心地いい。体中が、触れてほしいとねだっている。
一度に全部は無理なのに、でも、触れてほしくてたまらない。
静音は切ない顔で甘くねだる。
「海斗…もっと…、」
海斗は、せつなくなって、静音をしっかり抱きしめる。裸の胸と胸をぴったり合わせて、手を背中に回し、静音を確かめる様に背中をなでた。
耳に首筋に、熱い吐息をまき散らして、キスを繰り返した。
静音も、海斗の背中に触れると、海斗が感じているのが分かった。海斗も私に触ってほしいんだと思うと嬉しくて、その逞しい肩や、うなじ、背骨のラインをなぞって堪能する。
さっきから感じている彼の熱い熱をぐりぐりと押し付けられている。それだけで静音の体から熱い液があふれてきて、二人の体をびしょぬれにしていた。
「もう…我慢できない…」
海斗が切なくつぶやく。
「うん、…私も…」
その言葉を合図の様に、熱い熱で、体を押し広げられながら奥まで届く。
体が解けてしまいそうに気持ちいい。
解けてしまっても、離れたくない。づっと、まとわりついていたい。
キュッと、包み込んで噛み締める。
「海斗、…好き」
思わず言葉がこぼれだしていた。
「静音、…愛してる」
気持ちがあふれ出して、言葉がいくつもこぼれる。
静音は、体の奥に熱いものがあふれるのを感じた。海斗は、こぼれないように体をぴったり合わせている。
それは、静音の体の中に染みこんでいくようできっと、吸収されているのだろう。しばらくすると、体中がぞわぞわと動いているような感覚があった。
「ちゃんと、吸収できたみたいだね」
海斗が満面のほほえみで、言った。
「うん…。きっと…、今、体中が動いてる」
「今日はこれくらいにしておこう、部屋のベッドに行ってもいいけど、君はもう少しここにいた方が辛くないかもしれない」
海斗が体を離そうすると、静音は海斗の首に手を回して頭を摺り寄せる。
「待って、もう少しこのままでいたい…」
途端に静音の中で暑く熱を持って膨れ上がった。
「…あのね、静音、僕が君の中で大人しくしていられると思うの? 無理だよ、一応我慢してたのに、僕を煽ったのは君だからね。また朝まで止まらなくても付き合ってよ」
「うん…。朝まで抱いて…」
「静音、愛してるよ。全部食べつくしてしまいたくらい」
唇は熱く重ねられ、二人の時間は続いて行った。
結局目を覚ましたのは日が高く昇ってからだった。
「…海斗、お仕事行かないと、」
「大丈夫、ハリが、代わりにやってくれてる…。もう少し眠ろう」
「そんなふうに怠けてると、イザナギに叱られるよ」
「叱らないよ。だって、新婚二日目なんだよ。そんなことを言うものがいれば、馬にけられてしまえだよ!」
「ぷっ! 何それ」
「だから、静音、まだ起きないで、もう少しこうしていよう…」
海斗の言葉が終わらないうちに、ピリッと、衝撃が走った。おそらくハリからの通信だ。
「ホテルで何か起きたみたいね?」
海斗は大きくため息をつく。
「はあ…、静音を仕留めたと思っている奴が動かないわけないか…」
海斗はしぶしぶ起き上がって着物を羽織った。
「静音は、もう一日、ここで体を休めていて」
「うん…。そうする」
昨日に続き、二日も同じことをしてしまったという自覚があって、きっと今日も岩から降りたら動けないだろうと思うと、発情した動物みたいだと、恥ずかしくなって頬がほてるのを感じた。
海斗は、そんな静音の様子をじっと見つめて、ますます離れたくない衝動にかられ動けなくなってしまった。
そこに再びハリからの通信が走った。
海斗はあきらめてションボリと言う。
「行ってくるよ…」
「うん。気を付けてね。私もしずさんの中にいるね」
「ああ、じゃあ後で…」
海斗が見えなくなってから静音は、しずとコンタクトすると、突然刃物を首に押し付けられていた。
何が起こったのか理解できなくて心臓がひっくり返るほど吃驚した。
「近寄るな、この娘を殺すぞ! 諏皇を連れてこい!」
「あいにくオーナーは今日はお休みをいただいていまして、不在なのです」
「よ、呼び出せばいいだろう! 大事な婚約者の命が掛かっているんだからな!」
「呼んでいるのですが、なかなか通じないのですよ。タイミングが悪かったと思って、今日の所は一之瀬さんを離して、帰られてはどうですか?」
「ば、!馬鹿なことを言うな、今ここで会えなかったら、婚約者の命はないものと思え!」
「それは困りましたねえ。もし、一之瀬さんになにかあれば、私たちがオーナーから叱られます」
そういいながら、ハリは、まったく困った様子がない。むしろ犯人をいたぶって楽しんでいるという感じだった。
静音は、しずからの情報と今の様子で大体のことが分かった。
周りをよく見れば、すでにハリが空間を隔離したようで、白壁に囲まれたここには、お客の姿も誰もいなかった。
この状況を作るために、颪がお客と従業員まで全員を誘導して避難させたようだ。
いきなり変わった周りの景色に、犯人はかなり動揺して、大きな声を張り上げている。
ふと、静音の目に、体を揺らすほど震えている犯人の腕が見えた。
よく見るとかなり汗ばんでいる。
きっとすごく怖いんだ! 其れなのにどうしてこんなことをしたんだろう?
静音が考え込んでいるうちに海斗がやってきた。
「僕の貴重なプライベートの時間を邪魔してくれたのはこいつか? 僕に話があるって?」
「やっと来たか! お前の目の前で、この女を殺してやる!」
「そんなことをして、無事に済むはずないと分かっているようだが…」
「お、俺は、自分の役目を果たせばどうなってもいいんだ! 偉大なあのお方の為になるなら何でもできる!」
男は元から捨て身で、死ぬ覚悟でもしているようだった。だから、こんなに震えていたんだ。死を覚悟していても、きっと死ぬのは怖いんだ。
男の様子をうかがっていた海斗は静音に言う。
「静音、しばらくしずとの通信を切ってくれないか」
あ、そうか、私がいては、しずさんが自由に動けない。静音は頷いて心の中で、行くね。とつぶやいて、急いで通信を切った。
静音が離れたのを確認して、海斗は犯人に向かって不敵な笑いを浮かべる。
敵の攻撃は続く! のんびりしている場合じゃないのですが…。皆さん、相変わらずの余裕ですね。だって、それ静音じゃないよ。残念でした。