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置いてきぼりのノア

作者: アシカ

「ノア、困ったときは、夜空を見上げてごらんなさい」と、いつも母は言っていた。

というのも、優しすぎて木偶の坊と呼ばれ思いつめていたのだ。

小学4年生になり、一体なんのために勉強して人より賢くなる必要があるのだろうかと自問自答していたのだ。つまり、頭が良いことへの不信感が湧いていたのだ。

母は、とても敏感に僕の感情を理解し、見かねて、そっと優しい声をかけてくれた。

そんな優しい声に耳を傾けず私は「なんで?宇宙の話は衛生や月の行き方ばかりなの?ギリシア神話の物語は美しく星座についてすぐに頭に入ってくるのに。」と純粋なる暗闇から溢れた声で聴いてみた。

「ノア、困ったときは、夜空を見上げてごらんなさい」と、いつもの母は答えるだけだった。

近頃は、地震や豪雨はあたりまえになっており洪水での被害は年々増していた。

旧約聖書を読んでいると、大洪水についてしっかりと書いてある。

「人類よ。このことをよく見聞きしてみましょう。大洪水が大地を洗い流し更地になった。あらゆる嵐は七日と七夜、地球を洗い流し宇宙船に逃れた」

しかし、この事を学校の先生に話すと鼻で笑われる。

こんな感じにだ。「地球温暖化や天変地異の理由はなんですか?分かる人いるかな?ノアくんどうかな?」

「人間たちがよく見聞きすることを忘れてしまったから」とは言えない。

机の上の教科書45ページに答えが書いてる「雄牛から出るメタンなどが原因である」と。

しかし、ぼくは答えることができない「・・・」

そんな僕を見かねて先生は「ベガさんわかりますか?」と回答者を変える。

しかし、ベガも答えない。

昨日も一緒に旧約聖書の本を読んで目を丸くしていたからだ。

洪水は過去に何度も起きている。そして、そんなことは夜空を見聞きすればちっぽけなちっぽけな問題でしかないことを知っているのだ。

クラスの子どもたちは、だれもがうっすら気がついている。ただ、大人の求めている返答をして良い子ちゃんを演じている。

けど、許してあげなきゃ、夜空はいつでも許して僕達に生命をくれているのだから。


ベガとは小さい頃から、山々に囲まれて夜空を見にいく。

父の友達3家族でキャンプへいくのだ。

ベットタウンに住んでおり、七夕にも、星の群衆を見に行った。いつも僕は鳥肌が立つ。

流れる星々に目を追いものすごいスピードで動いていく。

小さな自分の存在を感知するのだ。

あの星々から見たら、僕はちっぽけな虫と同じだ。

日記に「今日は、友達のベガとキャンプに行き星を見ました。無限に広がる星々がありました。もっと星座や星の動き、星々の特性についてしれたら楽しく旅行にいくように、宇宙の冒険をしてみたい。」と書き目を閉じる。

瞼の裏には、いまも星々が広がっています。

勉強への不信感は、遥か彼方へ消えていた。

彼方を見つめると織姫と彦星は、仕事を怠け別々になったとされ、

彦星は牛を追いかけ迷子になってしまったようだ。織姫はひたすら織物を織り続け待つことになりました。

そんな中でも7月7日は二人がもっとも近づける日。

夜空を見上げるとそこにはいつも以上に美しい織られた星々があるのだ。


「困ったときは、夜空を見上げてごらんなさい」という母の口癖に素朴な疑問を聞くことにした。

「おっかさん、夜空を見るとなんでこんなに落ち着くの?」と、僕のなんでを聴いてみることにした。

母は、必ず何かしらの返答をしてくれる。

「それはね。琴を奏でるように、純白な糸を織っているからだよ」と、答えがあるのか、ないのかわからない優しい声が返ってきた。

僕は「よくわからない。」と、いつもあと一歩で解けそうで解けないのである。

「そのうち分かるわ。どんな事が起きてもね。」と母は答え「そうだ。純白な布切れを買って来ておくれ、ハンカチを織りたいんだ」と言い買い出しにいく。

「知り合いの養蚕の人に頼んであるから、夜空でも見ながらゆっくり行ってきて、まだ七夕祭もやっているみたいだから。ベガと楽しんできて、気をつけていくんだよ」とアワとヒエをついで養蚕の人に渡すよう言付けた。そして、最後にいつもの「困ったときは、夜空を見上げてごらんなさい」と僕の不安な心を後押ししてくれる。

「安心して、ベガと一緒なら問題ないよ。」「そうね。信じているわ。」

時刻は、まだ夕暮れ前。

早速、べガを誘って祭りにいきつつ純白な糸を買いに出かけた。

学校の友達も幾人と会話をしつつ、

屋台の店の一角に養蚕があった。アワとヒエを渡し、右手には、ベガの手があり左手には白い糸を持っている。

ベガの右手には綿あめがある。川辺の林の蔭で二人並んで静かに座って食べる。

くさべに寝そべって夜空を見上げ話し出す。

「あの十字型ははくちょう座だ。その尾にあるのはデネブだ。天の川の中でもとても輝いているね。」と、言っていると突如ここらではあまり見かけない、方舟が上流から流れてきた。

その船体には大きな文字、だいたい一文字が僕の顔くらいで「宇宙船無限行き」と書いてある。

ピタリと僕達の目の前で停まった。

不思議に思ったが、せっかくなのでベガと乗ることにした。

早速乗り込むと「この度は、ご船上いただき誠にありがとうございます。この船の度は無限行き。船長は、ウトゥ。副船長は、ゼウス。遊覧船飛行をお楽しみくださいませ」

と言うと、川の上流に向かうように船は浮遊し夜空に光る一番大きな星に向かった。

べガと僕は、目を合わせなにか始まる予感に胸を輝かせ期待に踊った。

「えー、まずはツクヨミの世に生きた皆さま方々、大変御苦労さまでした。これから先は御苦労することはなく、極楽さまです。どうぞご安心して、美しい星の冒険をご覧くださいませ。」と、一瞬で凸凹した光る表面についた。

ベガは、「目を輝かせあれを見てと指で指した」

僕は夜空を見て驚いた。青い星がそこにはあったのだ。青い部分や雲、緑の大陸、少しばかり黄土色になった大陸。

「夜空は美しい。」と僕は言った。

それと同時に、凹凸の激しい表面に降りていた。それと同時にアナウンスが流れた「宇宙船無限行き:停船・停船。次の出航に乗り遅れないようご注意ください。古い思い出は置いていくことをおすすめいたします。」

どうやって、上陸したかわからない。状況を把握しようと周りを見渡してみるとそこには見たことのない船がたくさんあった。

円盤型や電車みたいな形のもの、卵みたいなものと青い星からは見えないように置いてある。

「やぁ、君等。七が重なる日とあって、ここから見る川は格別に美しいよ。」と声をかけてきた。僕は「あなたは、ここで何をしているの?」と質問した。「亀のカシオペアがどこかへ行ってしまってね。暗黒のホールができてしまったんだ。普段見かけるときは、ノソノソゆっくり歩くわりにいざ見つけようとするとなかなか見つからなくてね。でも、大丈夫。」と、言った

とたん。亀が現れた。

カシオペアは「こりゃ、いかん。私はまたどこかへ行っていたようだ。さすがは、ペルセウス君。仕事が速い」と亀のくせに流暢な深みのある声で話し出す。「いやいあ、一体どれだけ待ったと思っているんですか。それよりもあなたが時間と空間を超越してみせると自慢話していたせいで、ここにまた、暗黒ホールができてしまいました。いまから、休むことなくポセイドンとする神々に誤ってくださいね。」と鎖で繋がれて遥かかなたの星の光に向かっていった。

ほんの一瞬のことだった。

それと同時に「まもなく、宇宙船無限行き、出航いたします。ご乗車のかたはお早めに乗船ください。口は災いの元。口は災いの元。言葉には十分気をつけてください」

僕達は唖然としながら、ダッシュすると一瞬で船の上にいた。


ベガは動揺して「いまのは一体何だったの?亀がいきなり出てきて、星になっちゃったわ。そんなことできるわけがないし理解ができないわ。」と首を傾げていた。

副船長のゼウスは、「この船に乗っているときは、疑うのは常に自分の常識のほうさ。ありえないことなんてありえないんだからね。次はとうとう白い織りプレアデスにいくよ。頭を空っぽにして覗いて見てごらん。そうすれば、偶然に見えていた必然がみえてくる。まるで、純白な糸を織るハンカチのようにね。つぎは、尾を逆なでにしたサソリとアルテミスが、オリオンを華麗に射るさまをどうぞご堪能ください。」

すると、ぞろぞろ動物たちがでてきた。

セイレーンやゴルゴン、ミノタウロスなどである。

彼らの会話を耳に傾けると、

動物たちと言っても聖人だが、掟に従いお互いに感謝しつつ調和をしている。

その掟は簡単だ。無駄な殺生はしない。お腹の減ったときだけ食べる。

同族を殺すとより苦しみいきることは調和が崩れやすいこと。

自分の仕る事に自然の形で沿うこと。

数多くの調和で成り立っているようだ。

そこにすべてを飲み込む狩りの達人オリオンがやってきた。

オリオンは、自分の狩りに誇りを持ち動物たちを次々と殺めていた。

無駄な殺生をしたのである。自分の報いは自分で受ける。

蔭に隠れていた。一つの星が狙いを定め足元に忍び込みました。

サソリは、オリオンの狩りを毒によって控えさせることに成功しました。

オリオンは、サソリから逃れるため正反対の空の大海に逃げていきました。

大海を逃げて隠れているオリオンにアルテミスは駆け寄り矢を放ち見事身動きができなくなりました。

オリオン恋愛を絶たれ、反省し大人しく一角で収まっているのでした。

誇りを持つことは、傲りを持つことにもなる。

いまでもその劇場は見え、サソリが、オリオンを華麗に射るさまは、誇りと傲りとして目にできます。


一通り説明し終えると、「宇宙船無限行きはプレアデスに到着。美しき7姉妹は、オリオンから逃れるため鳩になりました。逃げる勇気もときには必要。乗船には気をつけてください」と、アナウンスが流れた。


「ノア、とても美しかったはサソリとオリオンが目まぐるしく光る様は流れ星のように私達を惹きつける。」と、ベガは目を星にして言った。

僕は、夜空を見上げ「そうだね。ベガ。青い星はもう見えもしないよ。」「青い星ってなんだったかしら。ただあなたの指した青い星も銀河の一つでとても綺麗だ。まるで、そこにはそこのドラマがあり、母の温もりを感じるわ。サルの聖人になりかけているようにみえるわ。掟の理解を深め母の温もりで生きようするまるで、この航海のようなものね。」僕はベガの姿が眩しすぎて見づらい。まるで、なにかに呼ばれているようなそんな錯覚をした。

「僕達は、僕達でいよう。どこまでも美しく輝くんだ。」と僕が言うと「そんなことも必要も無いんじゃないかしら?ただ美しさを堪能すればいいのよ。あるうちは、きっといつまでも輝き続けるわ。わたしたちはいつまでも一緒よ。どんなに距離があってもね。」と思いもよらない言葉が返ってきた。

僕は言葉を失った。

すると、ゼウス副船長が「見てごらん。あれがかつて僕が輝いた星だ」とその星をみると「ピカン、ゴロン。シーン。ピカン。ゴロン。シーン」と雷のように一瞬光っては、また消える。

ゼウスは「この一角を照らしては消えている。君たちには一瞬に思えるかもしれないが朝と夜のようにこの光は意味をなしているんだ。かつてといったが、いまも私はここにいるんだよ。」と説明してくれた。

「木星に似ている」と僕は思った。

すると、ゼウスが答えてくれた「そうだよ。木星はその性質を帯びている。もちろん完璧に一緒ではないよ。同じ星はどこにも存在しないからね。人一人ずつ聖人一人ずつだれもが違うようにね。宇宙の聖人は動物とのハイブリットの肉体をもっているんだ。無限に広がる個性を楽しんでいるんだ。みんな、天の川の星々のように銀河の踊りがわかるよ。ほら、プレアデス星団は、とても楽しそうに僕達を迎えてくれている。起源は、あなたたちに人類とも似たものがあるよ。肉体もちゃんと存在し文明を築いている。より掟に沿って生きているから砂漠化せず星々を大切に感謝しているね。感謝は12の果実のうちの一つだ。真実・公正・智慧・美・忍耐・調和・・・・一つずつ学べるようなっている。掟を破ると必然とオリオンのようにバランスが崩れていく。とてもシンプルにできているんだ。ずっと、ずっとね。輝いては消え。消えては輝いて。また違った景色になる。一つずつでは、何が起きているか分からない。あるときは小さく見ていき理解を深め、またあるときは大きく見て理解を深める。この無限行き船のように天の川を統べるんだ。さぁ、プレアデスを堪能したまえ一旦ここで、宇宙船無限行きは分裂し2つになる。」と、意味深なこと言って、僕は急に変な胸騒ぎがした。

そんなことを他所にベガは、プレアデス星団に夢中だ。「みて、さっき華麗に射ったアルテミスが迎えに来てくれたわ。微笑んで丸と三日月とにっこりした形の魔法で浮かび上がらせてくれている。歓迎してくれているのね。あれ、またカシオペアもいる。暗黒ホールは問題なかったようね。オリオンに追いかけられ、鳩となった姉妹たちを移動させる手伝いをしているみたいね。なんて素敵な場所なのかしら。」なんだか、僕だけ置いてきぼりに感じる。

まるで、船体から振り落とされ浮き輪で孤独に泳いでいるようだ。

ゼウスはそんな僕を見かねて

「プレアデスは、スバル。彦星に位置する場所だ。天の川の中から見るとわからないよね。雄牛もいるはずなのに、近すぎるとその雄牛を認知できない。隣の芝はよく見えるのに、いざ自分の芝になるとわからなくなるのと同じようにね。一つずつ芝を見て全体を把握しようとするしかない。それが掟にも繋がっていく。ひとりでに旅にでて浮き輪にしがみつき泳ぐことも無駄ではないんだ。」

と僕の感情に寄り添い答えてくれた。さらに続けて「君たちは、自分たちのことになるとまるっきりわからなくなるんだ。その結果、雄牛の世話を怠けた。掟は掟であるが、いつでも沿うことができる。さぁ、ここらでこの天の川の旅は一旦終わりだ。」と、言われた。



「・・・・」

僕は、川辺から天の川を見上げていた。

右手には、白い糸を持っていた。

さっきまで、隣に誰かいたような気がする。

しかし、その誰かは分からない。川の向こうで、誰かが手を降ったように感じた。しかし、よくよく見るとそこには人影はなかった。

どうやら、船体から離れ孤独に浮き輪でプカプカ浮いているようだ。そのとき、一筋の雷が天上に走った。

「あなたのやることは、そこにある。雄牛の世話を思い出せ。」と、言わんばかりに天の川の牡牛座の首元から地平線の彼方へ消えた。

白い糸を母に渡すため全速力で走った。

いまは、それが必要のようだ。


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