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05 現状


 えーと、どうやら自身への付与をミスってブッ壊れかけたらしくて……


 その時のことは全く覚えていないのですが、みんなにめっちゃ迷惑をかけたことだけはなんとなく分かるという、困った状況。



 現在、自室での療養生活を送っております。


 体調は問題無し、気持ちもまあまあ落ち着いた状態。


 ただ、みんながとても優しいのですが、


 迷惑をかけた側の僕としては、それが大変に居心地が悪いわけで……




「けんちゃんからの伝言です」

「今後は自身への精神系の付与は絶対に禁止」

「みんなに大変な迷惑をかけたのだから、たくさん叱られてください、だそうです」


 ……あのう、プリナさん、まだ怒ってます?



「当たり前ですっ」

「あんなに心配させて、ちょっとくらい反省したからって、許してあげませんっ」


 ……ごめんなさい。




『サイリパパ、なにか食べたいのとか、ある?』


 特に無い、かな。


 ナルンは、今日のお散歩、どうだった?



『サイリパパといっしょじゃないと、つまんない……』


 ごめんね。


 みんなからお許しが出たら、またお散歩しようね。




「……サイリ、無茶しすぎ」


 ごめん、スーミャ。


 そういえば、遺跡調査の依頼、どうなったの?



「突然キャンセルしたから、司法官の偉い人からすっごく怒られた……」


 ちゃんとわけを話して、今からでも調査団に合流出来ないのかな。



「サイリが元通りのサイリになるまでは、冒険どころじゃないし」


 本当、ごめんね。




「……すまん、全て私のせいだな」


 イリーシャさんのせいじゃないですよ。


 僕がこんなポンコツなのは、あっちの世界に居た頃からですし、


 それを治そうとして付与掛けに失敗したのも、全部自業自得ですから。



「どうすれば償えるのだろう……」


 えーと、今回の僕のやらかしを、今まで通りに"ぽかり"してもらえると、大変にありがたいのですが。



「その口ぶりでは、まだ完治していない様子」

「以前のように軽口を叩けるようになるまで、絶対にこの部屋から逃さん」


 勘弁してくださいよぅ……




 フィナさんとフィグミさんは、僕のベッドのすぐそばに編みカゴを吊るして、


 まるで監視するかのように終日過ごしております。


 まあ、ほとんどおねむなのですが。




「未だ"サイリウム"放出量は安定せず」

「ただ、サイリさんが完治するまでは私もこの家で暮らせるので、それはとてもありがたし」

「サイリさんは、ゆっくりじっくり療養するのが"吉"」

「なんなら、ずっとこのまま介護生活を続けてもらうと"大吉"」


 うー、モルガナさんにいいようにあしらわれている感が、とても悔しい。


 たぶんこの悔しさが"サイリウム"放出量が安定しない理由だと思いますけど。



「それは困る」

「なぜなら、サイリさんが完治したかどうかの指針となっているのは、私のみが正確に測定出来る"サイリウム"放出量」

「完治したかどうかをチェック出来るのは私だけだが、私がそばに居るといつまでも"サイリウム"放出量は安定せず」

「つまりは、このままではこの療養生活はいつまで経っても終わらず」

「サイリさんは一生カゴの鳥状態」



 ふむ、ならば僕自身に"サイリウム放出量強制増量マシマシ"みたいな付与をすれば、完治したと認めてもらえる、かも。



「ふむ、サイリさんが全く反省していないということだけは分かった」

「いいかげんな付与が周囲に及ぼす影響は身を持って知ったはず」

「それでも本当に、マシマシチャレンジするのかな?」



 うー、八方手づまりとは、まさに今の僕。


 本当、どうしよう、この状況……



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