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第3話 初パーティー

俺は声をかけてくれた受付のNPCの元へ移動した。

よく見たらネコ耳が生えているお姉さんだった。

「えーっと」

「はいっ!クエストをお探しですか?」

「いや、そうじゃなくて…」

「はい?」

「ここでスキル書が買えるって聞いたんで」

「スキル書ですねっ!ご希望はありますか?」

「希望って言うか、初級スキルのアロースキルが欲しいんですけど…」

「アロースキルですと3000Gになりますっ!」

「おっ、3000Gで買えるんだ。じゃあ下さい!」

「他のスキル書は要りませんか?」

「他にどんなスキル書があるんですか?」

「こちらがギルドで買えるスキル書一覧ですっ!」


ネコ耳のお姉さんはリスト表を見せてくれた。

俺はリストの中のひとつのスキル書に目が止まった。

「連射かぁ…」

――3000Gならチョッと狩りすれば買えそうだな


「連射のスキル書も買いますかっ?」

「いや、持ち合わせがないから次にするよ」

「…そうですか」

――なぜ残念そうな顔をするんだ?


「明日また買いにくるから」

「はいっ!」

――今度は瞳を輝かせて来たっ…ノルマか何かなのか?


「取り敢えず今日はアロースキルだけでいいです」

「わかりましたっ!ではこちらがスキル書です」

そう言い俺にハガキサイズ程の紙を差し出してくれた。


「支払いは…市民証で良いんだよな?」

「はいっ!こちらに翳して下さいっ!」

ネコ耳のお姉さんはカウンターの下から決済用の端末を取り出しカウンターの上に置いた。

俺は市民証を翳して決済を済ませた。


「ところで、スキル書ってどうやって覚えるんですか?」

「スキル書の上に市民証を置いてみて下さいっ!」

言われた通りに市民証を上に置いた途端、市民証の下にあったスキル書が消えた。


「えっ!?」

「これでアロースキルを習得した事になりますっ!」

「これだけ?」

「はいっ!これだけですっ!」

「市民証便利すぎなんですけど」

「全てが市民証で管理されていますので、市民証は無くさない様に注意して下さいねっ!」

「あっはい、気を付けます」

「クエストは受けますか?」

「いや、クエストはまたにします」

「では明日お待ちしていますねっ!」

――明日確定かよ。そんな瞳で言われたら断れないな


ギルドを出てチョッとだけ溜息を吐いた。


矢とスキルを手に入れた俺は再び南門を出て狩り場に向かった。


「まずは試し射ちしなくちゃな」

相変わらず門を出てすぐの狩場は人が多いので狼犬の狩場まで先に進んだ。


狼犬の狩場まで来たが、さっきと違ってここも沢山の人が狩りをしていた。

「マジかよ…ここも増えてて狩り出来る感じじゃないなぁ…仕方ない、ゴブリンまで行くか」


ゴブリンが居た場所まで更に歩く。

「やっぱこっちまで来ると人は余り居ないなぁ」


ゴブリンと遭遇した場所までは後少しと言う所で、明らかに苦戦しているであろうプレイヤーを発見した。


俺は苦戦しているプレイヤーの戦いっぷりを見ながらゆっくりとした足取りで近づいていった。

「おっ、女子か?」

苦戦していたプレイヤーは銀髪ロングヘアーで杖をブンブン振り回していた。

杖を振り回す度に豊かな胸の膨らみも大きく揺れている。

――いや、杖は振り回すもんじゃないだろ


俺はそう思いながら声を掛けた。

「魔法は撃たないのかい?」


杖を振り回しながら一瞬だけこちらを見たが、直ぐにモンスターへと向き直った。

「魔法が撃てないんですっ!」

「えっ?MP枯渇か?」

「いえ…MPはあるのに撃てないんですっ!」


魔法職を以前からのやっていた俺は魔法が撃てない=MP枯渇と最初は思ったが、ふとスキルの事を思い出した。


「もしかしてだけど…スキル覚えてないんじゃ?」

「えっ、スキル覚えないと撃てないんですか?」

「……たぶんね」

「えええぇっ…そんなの聞いてないですよぉ」

「だよな…助けは必要か?」

「お、お願いしますっ!」


俺は試し射ちを兼ねてモンスターに向け弓を構えた。

――あれ?スキルってどう発動させんだ?

取り敢えずアロースキルと念じてみた。

すると、弓に矢がセットされた。


「矢を放つからモンスターから離れてくれな」

「あっ、はい」

俺はゴブリンに向けて矢を討ったが矢はゴブリンに刺さらず、その後方へ飛んでいった。

直後[権限のないモンスターです]アナウンスが流れた。

「あっ!横殴りNG仕様みたいだ」


ゲームの仕様には他人とエンカウントしたモンスターを横取り出来ない様にするシステムがある。

協力して退治するにはプレイヤー同士パーティーを組む必要があるのだ。


「チョッとガイドブック見るからもう少し耐えててくれな!」

俺はガイドブックを開きパーティーの組み方を調べた。


「よしっ!パーティーの組み方が分かったぞ!」

「は、早くお願いしますっ…もう杖を持つ手が痺れて…」

――そもそも杖で殴ってる時点でダメなんだけど…


「パーティーウインドウオープン!」

俺の目の前にパーティーウインドウが展開され、周囲のプレイヤーの名前が表示された。


周囲のプレイヤーと言ってもウインドウには1人しか表示していない。


「キャラ名は咲耶(さくや)ってので合ってるな?」

「う、うん」

今PT(パーティー)申請したから承諾してくれ」

[咲耶がPTに参加しました。これにより取得経験値が1.2倍になります]


「よしっ、PT組めたぞ!もう一度モンスターから離れてくれ」

俺は直ぐさま弓を構え直してアローと念じ【Lv5 ゴブリン】に矢を射った。

「ギッギィィイー」

矢が刺さると同時にゴブリンが叫んだ。


間髪空けずに2本目の矢をアローと念じ準備する。

ゴブリンが動き回るので照準が合わせ難い。


俺は弓を構えたまま少しずつ距離を詰めゴブリンに近づくと、ゴブリンが俺の腹目掛けロケット頭突きをしてきた。

「うっ!」

頭突きを受けた時に[HPが5減少しました]アナウンスが流れ、俺のHPが減った。


俺は腹の痛みを我慢しゴブリン目掛け弓を射貫いた。

「ギャギィィィー」

叫びと共にゴブリンは消えた。


「あっ、今あたしの頭の中て音が聞こえたんですけど」

「あぁアイテム拾得を知らせる音だよ」

「えっ!アイテムですかっ?」

「あ、うん…たぶん通貨を獲得だと思うけどね」

「貰っても良いのですか?」

「いいも何も君のだからね」

「あ、ありがとうございます」

咲耶は俺に向かって何度も頭を下げながら礼を言っていた。


「それより、魔法も撃てないのによくここまで来れたな」

「それは…街を出てからモンスターと戦う事が無かったので」

たしかに、この場所までの狩場は他のプレイヤーで陣取られてるから戦う機会は少ないだろうけど。


「魔法職が魔法撃てないのはシャレにならないから、街でスキルを覚えてから来た方が良いよ」

「はい…そうします」

「じゃPT解散しとくよ」

「あっ、我儘って言うのは分かってるんですが…出来れば、その…もう少し…居ても良いですか?」

「俺は別に構わないけど?」

「あ、ありがとうございますっ」

まぁ俺としても恩恵が貰えるから…なんて言えないよな今更…

「俺も1人でプレイするよりPTの方が楽しいし」

このままPTでの狩りを始める事になった。

――と、言っても戦うのは俺だけなんだけどな


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