8話
お昼を食べながらエマと一緒にエルフであることを隠すために設定を考えた。
「エマ、とりあえず出身はベラルーシの田舎にしよう」
「でもベラルーシって国知りません」
「大丈夫だ、商店街にベラルーシを知ってる奴はいない、何かあれが俺が助けてやる」
「はい、お願いします」
「ところでエマはいくつなの」
「117歳です」
「え、117歳?」
「はい、100歳超えているので大人です」
「ちょっと待って、エマが居たところは一年は何日?」
「224日です」
「それでも俺よりかなり年上だ」
「人族とは時間の流れが違うそうですから」
「エマの世界の人間は何歳位まで生きるの?」
「ごめんなさい知りません、人族に初めて会ったのは右京さんなんで」
「そっか村から出たこと無いって言ってもんね」
「はい、でも初めて会う人族が右京さんでほんとに良かった、母には人族は危険だと教えられていたので、最初は捕まって奴隷にされんじゃないかと不安でしたが右京さんは優しかったので」
「日本には奴隷は居ないよ、奴隷になんかしたら警察に捕まったやうから」
「警察?」
「街の治安を守る人だよ」
「衛兵さんみたいなものかな」
「そうだよ」
いろいろ設定を決めていくが、エマの居た世界との常識が離れすぎて取り合えず。アマには日本の常識と日本語を覚えてもらうことにした。
取り合えず、出身はベラルーシで年齢は20歳、日本語が上手いのは近所に日本人が住んでいて教えてもらったことにした。
しかし、俺たちはエマの身分を証明する物が無いことを考えてはいなかった、エマの今の状態は密入国だと言うことを。
「さてとシチューを作りますか」
「もう作るんですか?」
「作るよ5時間位かかるから」
「そうなんですか?」
「エマも一緒に作ろう」
「はい」
まずは買ってきたすじ肉をフライパンで焼きます、哲也がちょうど良いサイズに切ってくれたので、どんどん焼いて行きます、エマはフランベの炎で驚かせるつもりがエマは炎の魔法が使えるらしく驚きません、焼けた物からどんどんと圧力鍋に放り込んで30分煮ます。
「エマ、本屋行ってエマの勉強ようの本買ってくるから鍋見てて」
「私も行っちゃダメですか?」
「さすがに2回目は捕まると思うので、俺だけで行ってくるね、エマはテレビでも見てて、後鍋も見ててくれると助かる」
エマにコンロとテレビの使い方を教え、俺は本屋に走った。途中おばちゃんたちに声を掛けられるが急いでいるからまた今度で逃げてきた。
本屋で小学生向けの教材を買うことにしたレジに行く前に女性向けの雑誌に目がいったが、買ってもエマは読めないから読めるように成ったら買ってやろう。
買うもん買ったら捕まらない様に急いで帰る。
「エマ、ただいま」
「早かったですね」
「テレビ何見てるの?」
「鎌倉ってところのスィーツの紹介です」
「なにか美味しそうなのあった?」
「どれも美味しそうですけど、私海を初めて見ました本当は魚人の街に行くつもりが日本に来て、海も見たかったので夢かないました」
「いやいや、叶って無いからテレビでちょっと見ただけでしょ」
「でも、見れました」
「それなら俺が海見せてやるから見に行こう」
「えっ、良いんですか?」
「もちろんだよ、ついでに水族館にも行くか」
「水族館?」
「魚がいっぱいいて泳いでるところが見れる場所」
「想像つかないけど楽しみ、海ってしょっぱいんでしょ」
エマのテンションが上がったところで料理の続きをした、今度はモモ肉を焼いて煮込む、そのためにバカでかい寸胴を用意する20人前は伊達じゃない。
モモを焼いて寸胴に移し、圧力鍋で煮込んだすじ肉も一緒に寸胴に入れる、ワインを注ぎそれから鍋に水を追加して炒めた玉ねぎを入れ、八百屋でもらった香味野菜の屑とブーケガルニ入れて煮込む。
タンは煮込みすぎると崩れるので後にするが、タン見ていると根元のタンだけ有って塩で焼いてレモンで食いたくなる、ちょっとつまみ食いするか。
「エマ、この肉上手そうだから食べてみる」
「ごはん食べたばかりなのに良い匂いがして食べたかったです」
「ちょっとだけな」
タンを厚めに切って塩を振り網で焼く、レア状態でレモン汁に付けた食べる。
「うまい」
「美味しいです、牛さんの舌って初めて食べたけど美味しいですね」
「エマのところじゃ舌は食べないの?」
「年に2回牛さんが村の近くまで来るので、その時に狩りますでも村に運びこまれた時には内臓とか全部捨ててしまいます」
「そっか勿体ないな、内臓は足が速いからしょうがないか、もっと食べたいけど諦めるか」
「そうだ、エマ明日焼肉食べに行くか?」
「はい、甘い物の次にお肉が大好きです」
それからジャガイモと玉ねぎと人参を切るのだけれど、エマは皮むきがとっても上手い、俺がピーラーで1つ剝く間に3つも剝いてる、包丁の使い方が上手だしかも面取りまで教えなくてもしている。
「エマ、皮剝くの上手いね」
「母のお手伝いしてたからそれにこのナイフすっごく使いやすい、こんなに薄いナイフなのに」
「エマは料理できるの?」
「手伝っていたけど、最後は母が味を調えていたので最後まで作ったことあまりないから」
「でもエマの料理食べたいな」
「今度作ります」
「楽しみにしてるよ」
「それじゃあ煮込んでる間に勉強しようか」
エマは教えればすぐにひらがなを覚えたが、日本にはカタカナと漢字が有るせめて書けなくても読めるようにはしないと、漫画はフリガナがふってあるので今度買ってこよう」
それから肉も柔らかくなったのでデミグラスソースとトマトペーストと調味料を加え表面を焼いたタンを加え最後にもう一度煮込む。
エマはそのまま勉強してる横で俺はスマホで遊んでいて気が付くと終礼の時間になので店に降りる、ちゃんと従業員分のシチューはタッパに入れて持っていく。みんな喜んでくれて遅番とバイトの子を残し帰って行った。
俺たちも食べようってことで俺はガーリックトーストを作り、エマにサラダを作ってもらった。
「これ、すごく美味しいです」
「そう良かった」
「お肉が口の中で溶けちゃいます」
エマはお替りまでして皿に付いたソースまでパンですくい取って綺麗に食べてくれた。
邪魔者が来るまで2人で楽しく過ごしていたのに。