告白30分前
「飯でも食うか?」と渡瀬をフードコートに連れて行く。
「······。」
「凄い人ですね」渡瀬が、小さな声で言った。
「どこも空いてねーな」飯を食いながらとも思ったが···
「ク、クレープ···行きませんか?」ほっぺたを赤くしながら、俺のシャツを掴んでクレープ屋を指差す。
「そ···だな」甘いもの···甘いものでも食べて···
「······。」
「どうかしましたか?さっきから、無口になって」
(俺、甘いの駄目だったことを、いま!思い出した!!)
「い、いや。これ美味いな」と、我慢しながらも食いつく。
「はい。クレープ、好きなんです。私」俺の横でイチゴスペシャルをゆっくり食べる渡瀬···
(あの子もこんな風に甘いのが好きなんだろーか?)
渡瀬の横顔を見るとふと昔好きになった女の子を思い出すも、名前が思い出せない。二日間しか、遊べなかったし···
それをなんとか食い終わり、またモール内をブラブラする。
「あの!ちょっと、待っててくれますか?」渡瀬が、俺のシャツを引っ張って言う。
「あ?トイレ?トイレなら···」
「違います。ちょっと、買い物をしたいんです。あそこで···」渡瀬が、指さしたのは和装小物の店舗。待つのも暇だから、あとをついていった。
「すいません。瑪瑙の帯留めありますか?」とこれまた小さな声で渡瀬が言って、二回目で店員に声が届いたらしい。
それを丁寧に包装してもらい、鞄に収める。
(誰かのプレゼントか···。あの子いまいくつ位なんだろ?)
「お待たせしました」
(気が重い···や)




