記憶の中のきみ
何故、私は朝からこんなソワソワしているのだろうか?この間の一件から、クラスのお友達からも、
「ねね、石川くんとデートするってほんと?」
だの、
「おめでとう!」
だの、
「俺、お前のこと狙ってたんだけどなー」
だのと訳のわからない事まで言われていたのに、
「私、なにやってんだろ?」スタンドミラーの前でおとなし目な紺色のワンピースを身体に当てながらつぶやく。
「同じケイくんでも、なんでこうも違うんだろ?はぁっ」写真立てに収まっているケイくんを見る。
「きみはいま、どこでなにをしてるの?」ケイくんとは、二日間一緒に遊んだ記憶しかなかったが、お兄ちゃんが欲しかった私にとってなんでも出来るケイくんは、お兄ちゃんのような存在だった。
「でも、なんで私なの?」思えばそれもおかしかった。クラスの中にも他のクラスにも、自分よりも明るく可愛いと思える女の子は、沢山いるのに···
「明日、か···」先週、私が住んでる幡市に大型のショッピングモールが出来て、石川くんに誘われた。
「あ、もぉすぐおばぁちゃまの誕生日だ。今年は、何を贈ろうかな?」
明日の支度をしてから、ベッドに寝転がるとチェストへ手を伸ばし写真立てを取り、眺める。
「うちのクラスにね、ケイくんと同じケイくんがいてね···」笑顔の毛くんに話しかけながらも、いつしか眠りに落ち···
『俺、ちゃんと言ったからな!』
『ん?なにをー?』公園からの帰り道、ケイくんはおばぁちゃまの家まで送ってくれた。
『えっと···いろいろだ!じゃぁな!』
『うん!また明日ね!』
でも、ケイくんは次の日にも、そのまた次の日にも公園に来てはくれなかった。
『ケイくんのばか。ともちゃんと遊んでくれるって言ったじゃん。ケイくんのばか···』幼ながらおばぁちゃまに抱きつきながら、泣いた事を覚えてる。
「ん?寝ちゃった。ケイくん?また、きみの夢を見たよ···」
「···ふぇっ···くしゅんっ!あぁ"?風邪ひいたか?」




