表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新 VARIATIONS*さくら*  作者: 大橋むつお
28/42

28・ねだめカンタービレ・5

新 VARIATIONS*さくら*28(さくら編)

≪ねだめカンタービレ・5≫



 校長先生の家で晩御飯を勧められた。


 地下のスタジオから戻ると、息子さんご夫婦も帰っておられて、準備が整っていたので、断るのも失礼かとお誘いに乗った。

 家にはスマホでお母さんに連絡。


「かえって気を遣わせてしまったみたいね」

「いいえ、友達のマクサや恵里奈とはしょっちゅうですから」


 お料理は、気取らない多国籍料理だった。


「いいえ、冷蔵庫のありあわせの無国籍料理。共働きの三世帯でしょ、時間もまちまちだし、長年やってるうちに、こうなっちゃった」

 感じとしては煮物と炒め物にサラダ。それが微妙にエスニック。これも各自の好みを聞いているうちに四捨五入して「手抜き」という絶対数で割ると、こういうものになると、奥さんの弁。ちなみに息子さんと娘さんは大学生で、あたし同様、朝家を出たら糸の切れた凧のようだ。


「わたしたちの時代じゃ許されなかったけどね」

 そう言いながら、お祖母ちゃんが遅れて地下から上がってこられた。

「あ、そうだ。サクラさんに名刺渡しとこう」


 相変わらず、この「サクラ」は、あたしのことか、ひい祖母ちゃんのことか分からない。


――よろずクリエーター、白波園子――と書かれていた。


「この『よろずクリエーター』って、なんですか?」

 無邪気に聞くと、みんながホタホタと笑った。

「ようは、なんでもやりたがり屋。好きなことをやってはブログ書いたりYouTubeに投稿したり……お母さん、さっきの佐倉さんの投稿なんかしてないでしょうね!?」

 校長先生が顔色を変えた。

「もちろんアップしたわよ。だって、あたしと桜の仲なんだもん。ねえ、桜!」

 これは完全にひい祖母ちゃんと間違われている。

「ちょっと、確認」

 校長先生はテレビを点けると、入力をパソコンにした。

「『ゴンドラの唄 桜』で出てくるわよ」


 校長先生が、そう打ち込むと、まるで本物のスタジオで歌手が歌っているように、カメラ3台の画像が切り替わりながら、あたしの歌を流していた!

「いい出来ね。ネット仲間でテレビのメカニックさんがいてね。昨日来てもらって、こういう仕様にしてもらったの。ホホホ」

「佐倉さん、ごめんね、すぐ削除してもらうから」

「なによ、こんなにいい出来になったのにい」

「お母さん、肖像権の問題とか著作権の問題だとか……」

「著作権は切れてるからOK。写っているのは桜だし、ねえ」

「え、ああ、いいですよ。あたしYouTubeなんて載ったことないし、良く撮れてるし、記念になっていいです」


 そう答えたのが運命の分かれ道だった。


「ちょっと、さくらのアクセスすごいわよ!」


 帰るなりさつきネエに言われた。

 パソコンには、校長先生の家で観たのと同じ画面が写り、その下のアクセス回数は1000を超えていた。コメントも10個ほど来ていた。

 懐かしー! 若いのに上手! 大正ロマン!などなど、ご年配と思われる人たちのコメントばっか。

「これ、いつものさくらの鼻歌のレベルじゃないわよさ。なんか特訓した?」

「ううん、お姉ちゃんがのど飴ぶちこんだぐらいよ……」

 そこまで言って気づいた。

 こうなっちゃったのは、秋分の日の夜。尾てい骨骨折やって、なんだか無性に眠くなるようになった。で、そのあくる日にひい祖母ちゃんが夢に出てきて、それからだ……お彼岸ミステリー!

「ハハ、まさかね」


 まあ、一晩だけのジババのアイドルぐらいに思っていた……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ