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孤高の愚者  作者: パイ月
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プロローグ - 依頼 -

 傭兵とは孤高の存在で、尚且つ戦いと金に囚われた愚者だ。

 金に惚れ込んだ一匹狼とも言われるが、彼等ほど命を燃料とし、ただただ格好よく、ただただ格好悪く生きている者はいない。

 そんな命を燃やすことで金を得る一匹狼は、ここ最近の人々が描く人生の理想図な訳だが、やはりどの時代の人間も金が大事だと考えてしまうものだ。

 要するに、傭兵という職業は人間が人間を体現している、ハイリスクハイリターンな職業だ。

 どの時代の人間でも、ハイリスクハイリターンにはロマンが詰まっていると思わざるを得ないのだろう。

 やはり人間は愚かな生き物だ、俺も含めてな。


 僕はそんな彼の話を聞いていると、自分が今までしてきた事に矛盾を感じそうになり、とても陰鬱だった。

 彼の話は今日も長い。

 他の人の場合は話の種を二、三粒転がすだけで花は咲かないのに対し、彼の場合は話の種が一つあれば百は花を咲かせるのでそれはそれで助かる面もあるのだが、限度があるのも事実だ。

 しかし、彼の話にはいつも同じような結論があり、それはどんな時でも人間はやはり愚か者ということで、それを聞くたびに僕の曇り空だった心模様が、少しずつ晴れていくようだった。

 だがそれを先程言ったにも関わらず、未だに彼の話は止まる気配が無く、まるで雨のように僕の身体に降り注いでくる。

 そんな話を聞くためにここにやって来ているのではない、と言うのが僕の本音だったのだが、傭兵と言う職業柄、信頼関係や対人能力が重要な訳で、彼の日常会話に僕個人の河原の石ころのような感情をぶつけて良いはずが無かった。

 そうして僕は会話の濁流を長々と飲み続け、彼が本題を話し始めるのを待った。そうしていつもより少し多目に飲み干した所で、彼は口癖を放つと共に本題へと路線を変更する。


「さて。始めようか、新人(ルーキー)。君の可能性に期待しているぞ」

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