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第2話 桜そして君1

笠野はなんであんなにも桜が好きなんだろうか。僕には分からない。あの花に特別な思い入れがあるのだろうか。明日学校で聞いてみようかな。


1日で桜の姿はかなり変わったように見える。これまでは満開の時の桜だけをイメージしていたけども夏に向けて葉をつけようとしている桜も風情があっていいなと思えた。昨日の笠野の言葉がかなり影響しているな。あとでお礼でもしなくちゃいけないかな。そんなことを考えているとすぐに学校に着いた。教室に入ると笠野は席に座って外をみていた。僕は席にカバンを置きながら笠のに話しかけた。

「おはよう。昨日笠野から聞いた話で桜の見方が180°変わったよ。桜って1日であんなにも姿が変わるんだな。新しい発見ができたよ。」

「田中くんかなり桜にはまったね。前から飽きたとか言っていたけど、好きになってくれてよかったよ」

「それにしても、笠野は桜が好きなんだな」

「うんそうだね」

「なんでそんなに桜が好きなの?」

「理由?そうだね、色々と思い出が詰まっているからかな」

「いいな、それはいい思い出なんだろうな。僕にはそんなに印象深い思い出がないからうらやましいよ」

「思い出なんて今からでも十分作る時間はあるから大丈夫だよ」

「そうかもしれないけど、時間があったら作れるってもんじゃないだろ」

「そうだね思い出は誰かと作るからね。時間と友達さえいたらいっぱい作れるよ」

「友達か」

「どうしたの?田中くんにも友達いるじゃんだからできるよ」

「そうだね」


やっぱり友達が必要だよな。思い出作りなんて容易いことなんだろうな。でも、叩けば簡単に崩れてしまうような。人と作る思い出は思い出ではなくてフィクションのドラマみたいなものだ。起承転結がなくて面白みがない自分が偽りの自分を必死に作り上げたようなドラマ。駄作のドラマ。だから僕は諦めずに頑張ってみようかな。


昼休み屋上が解放されてないうちの学校では一人で弁当を食べるのは辛い。だから結局は上辺だけかもしれないけど、人と何人かで弁当を食べることにした。それはあまりにも自分勝手かなって思ったけど真の友人を見つけるまでだからいいかな。そこではたわいのない話しで盛り上がるだけだった。その隣の女子グループで笠野は弁当を食べていたけど少しだけ無理しているように見えた。僕と似たような感じで相手に合わしているような。

まあ、本人がそれでいいならいいと思うけど、少しきになるな。


帰り、またささっと掃除を終わらせ帰っていると。笠野は桜を見ていた。

「また見ているんだ」

「あ、田中くんびっくりした。うん、やっぱり桜が好きだから」

「そうか」

「田中くんはさ、今の桜がどんな風に見える?」

「花がほとんど散りかけているけど、まだ綺麗に咲いている桜もあって頑張っているんだなって思うよ」

「昨日と比べてかなり桜の見方が成長したね。私はねこの状態の桜が一番嫌いなの」

「え、なんで?」

「みんなに取り残されたようで。今咲いているあの花がかわいそうだから」

「そうか」

「ちょっと理由が暗かったね。ごめんね」

「いや、昨日笠野は人によって見方が変わるって言っていただろ。だから全然問題ないよ。でもさ、桜の見方ってその人の心情が表に出るよな」

「う、うん、、そうだね」

「笠野はなんかあったのか。今日昼休み弁当を食べている時少し居心地が悪そうだったから」

「え、いや、そんなことはないよ。居心地いいよ」

「本当?僕は最近居心地が悪いな。なんか無理して他人に合わせるのが窮屈で、でも合わせなかったら1人になってしまう。だからどうしょうもなく無理に合わせて自分で自分を偽るんだ相手に嫌われないような自分を最初のうちはそれが普通だと思えていたけど最近、それじゃダメだ、自分が自分で無くなってしまうってそう思ったんだ。だから僕は変わろうと思うんだ。新しい自分に。いや、本当の自分に。なんでかな誰にも話したことなかったけど、笠野には話せたよ」

「、、、そうだよね。私も友達に合わせてるのが少し窮屈なのかな、ありがとう田中くん。田中くんになら私が桜が好きな本当の理由が話せそう」

「本当の理由?思い入れがあるのじゃなくて?」

「ううん、思い入れの内容をだよ」

「あ、そうか聞いてなかったよ内容」

「ちょっと長くなるから歩きながら話そうか」

「うん、そうしよう」



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