プロローグ
春は街を明るく染め輝かせる。暖かな優しい風が人々を包み花を揺らす。桜が街を支配し街が春に飲み込まれて行く。そんな春に、心を入れ替え再び歩き出す者もいれば、思い出を懐かしみながら去る者もいる。そして皆桜を見ながら、春を感じる。
時間は人々に平等に与えられているのだろうか。人間は約80年ほど生きるような時代になった。ある人は、あっという間の人生と言い。ある人は、十分な時間が沢山あった人生だと言う。新しいこと、新鮮なことは記憶に残り思い出となる。何かに熱中し必死にしがみついた時間は、あっという間に過ぎる。だが退屈な時間、何の意味も持てなかった時間は、長く時間を感じさせるが記憶には何も残らない。その時の時間の流れは感じられていない。それでは、いくら同じ時間が経っていても、時間は平等に与えられていないことになるのではないだろうか。僕はこのまま人生を歩んで行ったなら、時間の流れを感じられずに死んでいくのだろうか。それはあまりにも虚しい。酷だ。人は生きていく上でそのようなことがあってはならない。いくつもの思い出に包まれながら死んでいくのが幸せなのだろう。それなら、一人で誰にも気付かれず死んでも何も悲しくないだろう。生きていたことを実感しながら死ねるのだから。だから僕も、生きていることを実感したい。一生忘れられないような思い出が欲しい。これまで作り上げてきた友人関係は上辺だけのもので何も感じられない。新しさ、新鮮さ、ドキドキ、ワクワク、何もかもない。マニュアルどうりのように相手の機嫌を損ねないように、自分を抑えしたいこともせず、相手に合わせる。言いたいことも言えない。それでは、何も生まれない。これ以上の関係も作れない。夢に向かい、必死になり、追いかける。そんな青春ドラマのようなことも起きない。このまま行けば僕は僕の人生の物語で主人公になれない。いつまでも、主人公になれやしない。僕は僕の人生の物語で主人公として生きたい。僕は誰かに自慢できるような人生を送りたい。ならば今までの全てを捨ててもいい。嫌われてもいい。僕が僕の人生の物語で主人公になれるのなら。
初投稿です読みにくい所ばかりだと思いますがたまに書きますので頻度は遅いと思います