トナリ
まるで息をするように
そっとこの手を差し出してみれば
あたりまえのように僕を包む
ゆるやかな温もり
夢見て
同じ分だけあきらめて
卵のように丸くなり
冷たく自分を抱きしめた長い夜
からっぽに乾いた手のひら見つめ
存在する意味などない
吐き捨てるように
そうつぶやいた
切り立った僕の世界は
君が押したスイッチひとつで
たやすく裏返り
死んでいた細胞たちは
ドミノのように息を吹き返したよ
ねえ
瑞々しく触れあうこの日々の尊さを
あの頃の僕に
どう伝えたらいいんだろう
泣きそうに問いかける僕のトナリで
君はいつだってふんわりと笑う
まるで最初からずっと
そこにいたみたいに