今カノ元カノ
「ごめん。やっぱり付き合えなくなった。」
は?
「いやバーバラがさ、忘れられないって泣くんだよ。」
ほう、それで?
「で、ヨリを戻したいんで俺らはここで別れよう。」
ボカッ!
奴をぶっ飛ばしてあたしは渡り廊下を走って、階段を駆け降りた。
ハァ、ハァ、ハァ
なーにが、元カノだっつーの!あたしは今カノなんだよっ!あんたから告って来たんじゃない、あんたがあたしを友達以上に好きだって言うからあたしは一週間悩んで悩んで悩み抜いて付き合うことを決めたんじゃないっ!
「あたしの立ち位置って、なんだったのよ。」
泣きたくないのに涙が勝手にボロボロと零れ落ちる。
「あたしの事好きじゃなかったのかよ・・・」
訓練棟の裏で芝生の上に膝をついて自問自答する。
あたしは奴を好きだった、思っていたより好きだったらしい・・・だから友情っていう曖昧な関係で居たかった。あたしが蓋をしていた気持ちをいきなりやって来てヒョイと開けて両手広げて、
「俺も好き〜。」
てな感じで告白して来てなんなのよ、なんなのよ・・・
「もうっ!なんなのよぉーーーっ‼︎」
馬鹿にするにも程が有る、これじゃ結局奴に友達としても大事にされてなかったんじゃない。
涙がふっと、止まってあたしは青い空を仰ぎ見る。
へ?今なんて考えたあたし。
トモダチとしてもダイジにされていなかった。
「ふっ、あはは。」
空を見上げたまま後ろに倒れこんであまりに滑稽な「恋」と呼べたのかもわからない出来事にもう笑うしかない。
でも、止まったはずの涙がまた溢れてくる。
悔しい悔しい悔しい。芝生の上でゴロゴロジタバタと足掻く。絶対、絶対に、
「後悔させてやるんだからぁ〜・・・うあ〜ん、ああぁ〜ん馬鹿野郎。」
シュトヴァーレン王国の国立学校を出てそのまま王立国軍訓練校に入校、現在15歳花も恥じらう乙女盛り。でも、でもねあたしには夢がある野心もある。女性騎士団に入隊し、憧れのエレノア・ドアルト騎士隊長の元で立派な女騎士として身を立てる。その夢のためなら男の一人や二人どうだっていいわ!うん、あたしはこれから剣に生きるのよっ。
腰のあたりでぐっと拳を握りしめ亜麻色の長い真っ直ぐな長い髪を風に靡かせ、これからの将来を胸に誓うアリシア・ベルモンドの姿をひっそりと眺めている人物がいたことを彼女は知らない。




