初めての出会い
アリアを連れて一緒に家まで帰った後、畑から帰った両親と共に昼食を食べていた。
基本的に黒パンと具のあまり無いスープか、野菜の漬物が主なメニューである。俺やアリアの小さな胃なら兎も角両親がよくこれで持つと感心するくらいだ。
「もぐもぐ、ところでさお父さん魔法ってどうやったら使えるの?北のばっちゃは使えるんでしょ?」
「ん?魔法かい?そうだなぁ魔法が使えるのはねとても珍しいことなんだよ。魔法を使うためには魔力って不思議な力が必要でそれが無いと魔法が使えないんだよ。」
父は子供である俺に分かりやすいようにゆっくりと喋ってくれる。こう言うところがモテる秘訣なのだろうか………
「魔力があるってどうやったら分かるの?」
「んーお父さんは魔法使いじゃないからよくわからないけれど、北のばっちゃが言うには自分の中にある魔力を感じる修行をするらしいんだよ。ただばっちゃが生まれてから今まで他に魔力のある子は生まれていないから、ばっちゃも諦めちゃってねぇ。今では調べるのもやっていないんだよ」
ふむ………ばっちゃも確か80過ぎだしなぁ。村で唯一の魔法使いだからか色々頼みごとも多いらしいし、こりゃ自分で何とかするしかないかね。
「ふーん、よくわかんないけど大変何だねぇ。まぁいいや!ごちそうさまでした!アリアはお昼寝みたいだから、僕は出かけてくるね!」
アリアはお昼を食べてる途中から既に半分夢の中だったみたいで、母が布団に連れていったようだった。
「ああ、気をつけて行くんだよ。今日は広場のほうが騒がしかったからあまり近づかないようにな」
「はーい!いってきまーす!」
広場で何かあったのかね?だが村長の家に行くためには広場を通る必要があるからなやむを得ないんだ!許せ父よ!
ちなみに村長の家には文字を覚えたい子供用に、絵本がいくつか置いてあるのでそれが目当てなんだな。
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広場に近づくと、いつもなら農作業をしているはずのオジサンたちが集まってなにやら見物しているようだ。
6歳の身長ではまったく見えないが、だからこそ小さい体を駆使し人込みをすり抜けて前に出ることに成功した。
「では村長、依頼の件は東の森を進んだところに居るということで間違いは無いな?」
「はい、狩人たちが見かけたのは確かにその辺りだということです。念のためこちらのリューグを案内につけますので、よろしくお願いします」
おお!もしかしてあれが冒険者ってやつか!!
広場に居た3人組の男たちは、いかにも冒険者ですといった出で立ちだった。
一人は両手剣を背中に背負い、皮鎧に身を包んだ金髪の男だ。
一人はメイスを腰に吊り下げ、左手に丸盾を装備し鎧もブレストプレートのような部分鎧を装着していた。
もう一人は、まさに盗賊って感じの軽装にダガーと短弓を持った『猫耳』だった。
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Name:スコルビ
Sex:男
Age:20
Lv:15
Job:シーフ
tribe:猫族
Str:63
Agi:85
Vit:60
Int:19
Min:15
Dex:55
Luk:3
Talent:
なし
Skill:
鍵開け LV25
気配探知 LV10
半獣化
短剣術 LV19
弓術 LV15
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思わず鑑定しちまったぜ。亜人が居ることは確認していたが……やほーーーい!やっぱり獣耳だよな!!
モノによっちゃ直立した動物見たいな獣人の可能性もあったけど、少なくとも猫耳は存在する!!しかも冒険者で!!
感動に打ち震えていると、いつの間にか出発したらしく広場にいた見物人も居なくなっていた。こうしちゃ居られねぇ、村長の家で文字を学ばねば!!
俺は、広場を抜けて村長の家に入ると、置いてある絵本を片手に村長の元へ歩いた。
「じーちゃん、じーちゃん!僕も字を覚えたいからご本読んでー」
「ん?おおソイルんとこのロックか字を覚えたいちゅうことは、お前も外にいつか行くつもりじゃな?」
基本的にこの村で農業をするだけなら字の習得は不要だ。だから此処で文字を覚えようとするのは自警団に入った後に、書類作業をするために強制的に覚えさせられるか。俺のように外に出るつもりの子供たちになる。
ここは兎も角として外じゃ字が読めないと仕事探すのも一苦労らしいからなぁ。
去年帰ってきたシャリ姉ちゃんも、字を読めないまま街に出てえらい苦労したって言ってたし。
「ええじゃろう。ワシが読んでやるからよく聞くんじゃぞ?」
「うん!」
こうして俺は村長の読む絵本を記憶して、後から読み上げた言葉を照らし合わせることで文字を習得したのだった。完全記憶すげぇ!
あ、ちなみに冒険者の方はきっちりゴブリンを退治してきたらしい。
鑑定結果を一部修正
才能が無くても、ある程度までは技術は向上します。
才能があると習得速度と上限に大きく補正が入る感じです




