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チーム結成

早朝、出掛け前のうさ耳をたっぷりと堪能していると、レインが俺を呼びに来た。


「ロック様、ビル様がいらっしゃっております」


ビルさんが?こんな朝早くから何の用だろうか?レインに案内され、居間に向かうとビルさんが待っていた。


「おう、ロック朝早くからすまねぇな」


「いえ、もう出かける所でしたから問題ないですが、どうしたんですか?」


ビルさんが腕を組みつつ

「いやな?昨日うちに泊まりに来た客が、お前さんに用があるんだとよ。それで確認に来たんだが……プミィってフェアリー族に心当たりはあるか?」


プミィって……あの親父妖精か!

「え、ええ……エマさんを救出した時に、一緒に捕まってた人ですね。その人が何の用でしょうか?」


ビルさんは顎に手を当てつつ

「俺も用件までは聞いて無くてな。今宿に居るんだが、会ってやるか?」


特に急ぐ用事もないし、問題ないだろう。あの時は協力もしてもらったしな。

「ええ、そうですね、行きましょうか?」


そう言ってビルさんと共に『微笑む親父亭』へと向かった。



■□■□■□■□■□■□■□



宿に着くと、食堂の椅子に見覚えのあるフェアリー?の姿があった。ハムを齧っていたようだが、こちらに気づくと羽根を羽ばたかせ飛んで来た。


「おー、ロックはん久しぶりやなぁ。元気にしとったかいな?」


「ええ、おかげさまで。プミィさんもお元気そうで何よりです」


プミィさんは嬉しそうに飛び回っていたが、しばらくすると椅子に降り立ち、俺にも椅子を勧めた。


「ビルさんから聞きましたが、俺に何か用があるとか?」


プミィさんは笑顔で頷き

「そうやねん!今日はロックはんにお願いがあってきたねん」


「お願い……ですか?」


プミィさんはテーブルに上ると

「そや、わしはな元々黒揚羽族の里と近隣の村との交易商をしとったんやけどな?うちの娘が、私は冒険者になるー言うて家を飛び出そうとしましてん、それでなわしは言うたってん、冒険者いうんは危険な商売やいつ死ぬかわからへんどー……」


1時間ほど身振り手振りを交えつつ、自分と娘の口論を寸劇形式で見せられたが、要約すると成人前の娘に冒険者の大変さを教えようとしたが、娘に「やったことも無いのに偉そうに言うな」と言われたと。それ売り言葉に買い言葉で「だったらわしが冒険者になって確かめてやるわ」と言ってしまい、商いを部下に任せ自分は冒険者になる為にグラリアまで来たと言うことらしい。

誘拐されたので危険はよく分かったのでは?とも思ったが、それは冒険者になる前の事なのでノーカウントだとか。助けられた後、しばらくの間はFランクの仕事をしていたので、ソロの仕事は少しはわかった。上位ランクの仕事をするためにもチームに加入を希望したが、そもそもフェアリー族はほとんど冒険者にならないため、どこのチームも見た目で却下されたそうだ。

そこで俺とチームを組んで欲しいと言うことなんだが……


「確かに俺もチームを探していたので、その提案は嬉しいんですが、その経緯だと、ある程度体験したらプミィさん冒険者辞めるんじゃないですか?」


プミィさんは頭をかきつつ

「そやなぁ、確かにずっというんは難しいなぁ。せやけどたかが数ヶ月やったいうて、冒険者をわかったとは言えんと思うんや。幸い娘が成人するまであと2年あるさかいな?それまでは続けようと思っとるで」


2年か、長いと言うほどでもないが、それなりの期間は続けるなら問題ないかなぁ。チームが分解して1年持たないこともあるし、その辺は相性だろう

「わかりました。それなら一緒に頑張っていきましょう」


プミィさんは目を輝かせ

「おお!組んでくれるんか!ありがとなぁ。ほな早速やけど、カードを見せ合おうか?お互いの能力の把握は必須やからな」


そういってプミィさんは自分のカードを取り出すと俺に見せてくれた。

-----------------------

ランク:F

名前:プミィ

性別:男

年齢:38

出身地:ビューナの里


Lv:6

職業:森の妖精


筋力:8  敏捷:80

頑強:4  魔力:72

器用:29 運勢:大吉


特記事項:フェアリー種の為、敏捷に補正(大)

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やっぱり体が小さいから筋力と頑強は低いなぁ。だが魔力があるってことは、魔法も使えるのか?


「見てとおり、わしは力仕事はちょっと不向きや、せやけどフェアリー族には固有能力として植物を操る魔法が使えるねん。それとわしは風の神さんの加護で風魔法も少し使えるから攻撃も出来るで?後はそうやなぁ、商人やったさかい交渉ごとや物を見る目は鍛えられとるな」


「サポート向けの能力って感じですね。それじゃ俺のカードも出しますけど……あんまり驚かないでいただけると嬉しいです」


-----------------------

ランク:E+

名前:ロック

性別:男

年齢:15

出身地:トト村


Lv:18

職業:魔法剣士


筋力:321 敏捷:174

頑強:307 魔力:XXXX(計測不能)

器用:423 運勢:中吉


特記事項:なし

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あ、プミィさんが固まった……目の前で手を振るも反応が無い。仕方が無いのでしばらくそっとしておくか。10分ほどお茶を飲みつつ待っていると、ようやくプミィさんが戻ってきた。


「なんやねんコレ……こんなん有り得へんわ……」


意識は戻ったようだが、今度はブツブツ言い始めた!?


「プミィさん大丈夫ですか?やっぱり魔力がおかしいですよね?」


プミィさんは俺の胸にスパーン!と突っ込みを入れると

「魔力もそうやけど、ほぼ全部おかしいわ!!」


なんだと!?他の能力値は3桁しかないじゃないか!3桁なら居ないことは無いはずだぞ?


「筋力300言うたらもうBランクレベルやで!18レベルで到達するような数値じゃありえへんねん。どんだけの修練を繰り返したんやロックはん」


「えーと、毎日6時間以上自分と同じか上のレベルの相手と全力で殴りあいをしたりしたくらいですかね?」


プミィさんがあきれた顔をして俺を見つめている

「ロックはんて、見かけによらず無茶する人なんやなぁ。普通そないな事したら、先に体がぶっ壊れるで?」


ああ、普通だとそうだわなぁ。俺の場合は気の周天による回復力の強化があるから、飯をがっつり食えば、体力の回復はいくらでもできるからなぁ。

「そうですね……その辺も含めて、俺の能力を話しておきましょうか。ただあまり人に聞かれたくないので、プミィさんの部屋に移動しましょう」


その後、俺が使用可能な魔法や基本的な戦闘スタイル、その他トラブルになりそうな事情も伝えておいた(知らないと対処できないことも有るだろうし、年上で知識も豊富そうなので助言も期待してのことだ。あと裏切りの心配についてだが……プミィさんはなんか前世のセンパイ達に似てるんだよなぁ。これで裏切られたらまぁ俺の見る目が無かったてことだな)

それとプミィさんから、同じチームで敬語は要らないとの事だったので、喋り方も普段に戻しておいた。


「ふむふむ、非常識な魔法は置いとくとしてや、ロックはんは筋力と頑丈さを生かして壁役と、しかも回復力の強化も可能ちゅうことは、わしは遠距離や撹乱がメインの役割やな。ただわしは護身用にレイピアぐらいなら使えるんやけど、弓は未経験でなぁ」


風が使えるんなら、昔聞いたことがある使い方はどうかねぇ

「プミィさんは風が使えるんだよな?だったら矢を風の流れに乗せて打ち出すとか出来ないか?」


プミィさんはちょっと考え込んで

「川に流される葉っぱみたいに、風で道を作ってやるんか……確かにそれやったら弓が使えんでも飛ばすことが出来そうやな。ぶっつけやと不安やし、まずはギルドで練習してみようやないか」


俺は頷き

「そうだな、じゃあプミィさんが練習している間に、俺がチームの申請をしておくよ。チーム名はどうする?」


「そうやなぁ、チーム名ちゅうたら、そのメンバーの特徴を現すか、目指す未来をつけるらしいで。特徴ならわしやロックはんの魔法技能や見た目、目指す先なら栄光とか名誉みたいな言葉を含めるんが妥当やないやろうか?」


そうだなぁ、栄光とかは結構多いチーム名らしいし、付けるなら特徴がいいかねぇ。そうなると俺の地とプミィさんの風か木を元につけるか……


「緑の親父と銀の戦士」やら「栄光への叫び」とか色々と意見が出たが、最終的には成功への祈願と地と植物魔法にかけて「豊穣の大地」とする事に決めた。



■□■□■□■□■□■□■□



ギルドに移動し、チーム登録を申請するためにカウンターへと赴く。プミィさんはそのまま練習場へと飛んでいったが、まぁあっちは放っとけばいいか…


「エマさん、チームの申請はどうしたら良いんだ?」


今日は、登録受付の窓口担当だったので、聞いてみる

「あら?ロック君自分でチームを作ることにしたの?」


「ええ、ビルさんの用事が俺とチームを組みたい冒険者が宿に来てるって事だったからね。結構話も合うし、問題ないかなと」


エマさんはにっこりと笑い

「よかったわね、Dランクから上になるとソロで受けれる仕事がどんどん減っていくから、お姉さんはちょっと心配してたのよ?それでどんな人なの?」


「そうだなぁ、プミィってフェアリーの人なんだけど、娘さんが冒険者希望らしくって、どのくらい危険な仕事なのか自分で確かめるために冒険者になったらしい」


エマさんは名前に心当たりがあるらしく、ポンと手を打つ

「ああ、あの人ね。色々とチームへの加入希望で交渉されてたみたいなんだけど、年齢と見た目で弾かれてたみたいでちょっと可哀相だったのよねぇ」


「あの年で冒険者を始めるのは、そうは居ないだろうしなぁ。でも能力は優秀だよ?魔法も2種使えるらしいし、あのサイズだからね。滅多に攻撃も当たらないだろう」


俺の言葉にエマさんも同意する

「そうね、飛べるって言うのもかなりのアドバンテージになるでしょうし……人は見かけによらないものよねぇ、ってチームの申請だったっけ、ちょっと待ってね」


そう言うとエマさんはカウンターの下から申請書類を取り出し、説明を始めてくれた。構成メンバーとそれぞれのランク、チーム名とチームリーダーの設定などなど(一応俺がリーダーになった、プミィさんは参謀役としてサブリーダーになってもらう。と言ってもまだ二人なんだがな)を記入しエマさんへと手渡す。チームの記述をカードへと移すためプミィさんが戻ってきてから、最後の作業をする事になった。

二人分のカードをエマさんに渡し、登録をしてもらう。カードに新しくチーム名が刻まれたのをプミィさんと確認し


「よっしゃ、これでわしとロックはんは正式にチーム結成やな。これからよろしゅうたのんますわ」


「ああ、こちらこそよろしく頼むよ。特にプミィさんの人生経験は頼りにしてるよ」


俺とプミィさんは握手を交わし、早速チームでの仕事を探しにクエストボードへと向かうのだった。


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