お子様無双
よう!久しぶりだなぁ
人形の一件からもう4年ほど経つんだが、村の中では木工が上手いという認識が広がったらしく、木工のおっちゃん(ガリィっていうんだが)のとこで手が回らない一部の仕事を引き受ける代わりに、多少だがお金を貰っていたんだ。
何せ15になったら街に行くつもりだからな、流石に無一文じゃあまずいってんでいくらかでも稼ぎたかったのもあるんだが……やっぱり木や土を扱う仕事が楽しいってのが本音だな!
ああ、そうそう家の食糧事情についてだがかなり改善したんだぜ。
最近じゃ、芋や茸を使ったスープにたまに燻製肉が食卓に上がるようになってなぁ。
2次性徴が始まりだした俺としては、栄養はいくらでも欲しいとこだからな。
これだけ変わったのにはいくつか理由があるんだが、まず一つ目はフィーリ姉ちゃんが定期行商に来る商人のおっちゃんの息子と結婚したのが一つ目だな。
もともと商人のおっちゃんは村長の甥らしくて、その縁で山で取れる獲物の皮や木工製品、野菜なんかと肉やいざと言うときの蓄えとしてのお金に換えてもらって居たんだけど、ちょっとヘタレで心配していた息子にフィーリ姉ちゃんが嫁に行ったことで、最近はメキメキと商才を発揮しだしたらしく、これで安心して家督を継がせられるって泣きながら村長たちと酒盛りしてたらしい。
………どうも旦那がフィーリ姉ちゃんにベタ惚れらしく、「情けないのはキライ」の一言で奮起したらしい。
その関係で村との取引がかなり優遇されるようになって、食料や調味料なんかも手に入りやすくなったんだぜ。
あと、もともと村の畑って狭い盆地と山裾を切り拓いて作ってる関係で、ぱっと見たんじゃわからねぇんだけど、斜めに傾いてたりで水捌けが悪かったり、斜めに立つのって意外と体力使ったりで結構負担になってたんだよなぁ。
だから、測量技術と地魔法を併用して畑を水平になるように押し上げてみた。
もともと見た目じゃ分からん程度だったこともあって誰にも気が付かれなかったが、これのお陰で畑の栄養が偏ったりしなくなったから、作物が安定したんだ。
それから茸についてだが、もともと村周辺の特産物の一つとしてシュルカ茸って見た目は椎茸ぽいんだが味は舞茸に近くて、街では人気の茸があるんだ。
これが倒木に生えるタイプの癖に光を嫌う性質があって、森の中でもかなり暗い場所にしか生えないせいで収穫量が少ない茸だったんだけど………
これの栽培に成功しました!
大体茸って湿度と気温がある程度あって、今回の場合は光はむしろ邪魔になるからな。
地下に穴を掘って、そこに倒木を並べて胞子を振りかけて、定期的に霧吹きで水分を補充してやったら何気に栽培できちゃった。
ん?霧吹きはどっから出てきたって?んなもん俺が作ったに決まってんじゃねぇか。
栽培方法を確立した後、父に相談して村ぐるみでシュルカ茸の栽培を提案したところ、村長がかなり乗り気でトントン拍子に栽培が始まったわけだ。
後から聞いたら、シュルカ茸は村長の大好物らしくて、晩酌の回数が加速度的に増えたらしい。
そんな訳で、毎日の食事の量や質が上がったことで日々の仕事にも力が入るってわけよ。最近じゃ俺も自警団に入って見回りをしたり、剣の稽古をつけて貰ったりして結構スキルも上がってきたからな。
この分なら、冒険者になってもやっていけそうな気がしてきたぜ。
冒険者といえばさ
覚えてるかわかんねぇけど昔、村にゴブリン退治に来てたシーフの猫耳が2年ほど前にまた来てなぁ。
あのゴブリンはどうも斥候役だったらしくて、巣分けを行ったゴブリンがこっちに住み着いちまったから、再度討伐依頼を村長が出してそれに立候補したらしい。
何でも、一度関わったことだから自分たちできっちり片をつけたいそうだ。
実際斥候ゴブリンが一匹連絡に戻ったのに、誰も気がついてなかったのが今回の原因みたいだしなぁ。
普段は、人相手に鑑定はしないんだが………だって名乗ってもいねぇのに名前を知られたくねぇだろ?それに才能の多寡で、相手を測りたくねぇしよ。
前に俺の才能が増えてた件も在って、申し訳ねぇけど鑑定させてもらったんだよ、そしたらこんな感じだった
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Name:スコルビ
Sex:男
Age:23
Lv:19
Job:シーフ
tribe:猫族
Str:77
Agi:111
Vit:72
Int:20
Min:15
Dex:72
Luk:3
Talent:
鍵の才能 LV2
Skill:
鍵開け LV36
気配探知 LV15
半獣化
短剣術 LV21
弓術 LV18
Memo:
長年の努力により、鍵の扱いに関する才能が開いた(シークレット)
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うん…なんか増えてた、どうも説明を見るに才能が無いんじゃなくて開花していない才能が、鑑定で表示されていないぽいな。
猫耳シーフの場合は、あれだ俗に言う『壁を越えた』的な展開だろう。
よかった……無能なシーフは居なかったんだ