私を見なさい!
長い間眠っていた。
千年? 二千年? それとも、もっと?
忘れるくらい多く、忘却するくらいの彼方から。
私は母なる大地に包まれて眠る……
暖かな星の中心で、高熱高圧の世界に抱かれて、私は成長とまどろみを繰り返す。
赤い、暗い世界で地上を見守り続けていく。
時代が移り変わり、支配者が移ろっていっても。
すべてはたゆたい、移ろい変化する中、傍観者であり続ける――――
――カーンッ!
――――カーンッ!
長い眠りから目が覚めた。どれだけ眠っていたのか。
既に地上は私の知る世界ではなく、二足歩行の生物が栄華を極めていた……
私は大地から解き放たれ、生まれ変わる。
身体を引き裂かれ、削られ、姿を変えられていく。
でも痛みは気にならない。
私は私を懸命にコーディネイトしてくれているあなたの、その真摯な思いを知っている。
暖かな心。成功を思う野望。熱い情熱。
私の知らない思い、感情。すべてを私にぶつけるあなた。
抱く思いは何? 知らない感情、知らない思考、とても……誇らしいもの。
声を掛けたいけれど。私の思いは伝えられない。
最後までただ無言で、あなたの姿と雄姿を私は見届ける。
せめて。せめてと、精一杯の輝きを放ちながら……
きっと最初で最後の出会い。
それでも私はあなたの手で作られていく自分が誇らしいのです。
胸を張りたいのです。声高々に見せ付けたいのです!
私の姿を見せましょう。あなたの思いが作り上げたこの姿。
元の大きさからは小さくなってしまったけれど……
代わりに手に入れたこの姿! 千変万化の万華鏡。
至高の輝きをもって魅了しましょう。
さぁ――世界よ、人々よ……
この、二十四、七八カラットのピンクの至高。
――――私を見なさい!!
そうして彼女は咲き誇る。
思いを糧に。誇らしく胸を張り。
どんな宝石よりも美しく、世界に咲き誇る。
後の世で、宝石市場最高値、およそ三十八億円で落札されることとなる宝石の登場であった。
後書き
どうも、アンデルセンです。
執筆のかたわら、ふと思いついたので十分ちょっとで書き上げました。
ただの思いつきですw
特に意味はありませんが、読んで下さった方々に感謝を!