表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
PR

過去改変〜幸せになるために〜

作者: 斗山夜ヲ
掲載日:2026/07/11

書きたいところだけ書いてます。

あの時の私はこんな未来が訪れるなんて予想もしていなかった。私があの日を忘れることはきっと来ないだろう。だから…いつかあなたたちに復讐を……。












「姫様起きてくださいませ。今日は姫様にとってすごく大切な日ではないですか!」

こうして朝早くから慌ただしく起こしてくるのは私の専属のメイドであるルナである。私より少し年上のお姉さん的存在である。

「ちょっと、姫様〜起きてますか?急がないと間に合わなくなっちゃますよ…。」

「わかったわよ。起きるから、そんなに大きな声を出さないでちょうだいよ。」

そう答えた私にルナは小言を言っていたが私は無視をして支度を始めた。今日は私の15才の誕生日なのだ。普通の子の誕生日がどんなものかは分からないが私の誕生日は国を挙げて開催される。私はこの国の王家の娘。世間で言うところの王女にあたる。しかも今回の誕生日は婚約発表も兼ねたパーティーである。誰もが私の婚約者について知りたがっていた。これは未来の王様になる人物。知りたくないはずがない。私の婚約者によっては自分たち一族の今後の動きが変わるのだから仕方ないのだ。今日のパーティーは昼から開催されるためみんな朝から大忙し。私も早く準備を始めなければならない。





パーティーが始まって私は少し緊張していた。いままではあまり人前に出ることはなかったが15才という節目に社交外デビューが決まっていた。多くの人が私に注目していた。でも私は1人ではない。隣には将来の旦那様になるキフェル様が一緒だ。彼は私が緊張していることを察したのか握っている手を少し握り返してくれた。彼はいつでも私のことをよく見ている。この人と一緒なら私はきっと幸せになれる、そう思えた。

「どうしたの?そんなに僕の顔を見つめて。見惚れてくれたの?それだったら嬉しんだけど…。」

「あら?私は初めて会った時から貴方のことが好きよ?気づいていらっしゃらなかったの?うふふ」

私は挑発するように言葉を紡いだ。でもやっぱり彼の方が1枚上手だったようだ。

「そっかぁ〜。全然気づかなったよ。でも知ってるかい?僕は会う度に君に惹かれているんだよ。ティアナ、君がどんどん綺麗になっていくから僕はいつも不安でしょうがないんだ。だからこの日を無事に迎えられたことが凄く嬉しいよ。」

そんなことを素直に口にする彼に私は顔が赤くなるのを感じた。それ以上は私が恥ずかしさに耐えられなくなるので何も言い返しはしなかった。

そんなパーティーも程なくして終わりを迎えた。私の婚約者になった彼も王家に次ぐ家系であるためかどこの家からも反論はなかった。






そんなパーティーからあっという間に半年がすぎた。何事もなくいつも通りの日常がすぎていた。。だがこの日はいつもと違うように感じた。いつもならとっくの昔にルナが起こしに来るはずの時間になっても起こしに来る気配がない。それどころか誰も来ない。私は少し不安になって部屋の外に出た。いつもはいるはずの使用人たちの姿が見えない。私は胸騒ぎがして両親がいるはずの部屋に向かった。

「お父様、お母様、いらっしゃいますか?失礼してもよろしいですか?」

部屋の中から返事はない。いつもなら使用人が返事をくれたり、お母様が対応してくださるのに。不安に思い私は扉を開けた。ところがそこには人っ子一人いなかった。どうして誰もいないの。これは夢の中なのかしら。頬をつねっても痛いだけだった。現実であるのはわかったがなぜ人がいないのか想像もできないでいると、後ろから足音が聞こえた。恐怖を感じた私は部屋の中に隠れ潜んだ。

「姫様、いらっしゃいますか?いたら返事をくださいませ。」

その声を聞いて少し安堵した。この声はルナだ。でもいつもの声と違ってすごく切羽詰まった様子だった。

私は急いでルナの前に姿を表した。

「どうしたの。何があったの。ここに来るまで誰にも合わないし、いつもこの部屋にいるはずのお父様もお母様もいないの。みんなどこに行ってしまったの。」

「姫様……私からは何も言えません。ですがここからお逃げください。どうかこの場所から早く……私は、姫様を…ティアナ様をお世話することができて本当に幸せでした。」

そう言い残しルナは亡くなった。ルナの背中は血のせいで赤く染っていた。どういうことなの。どうしてルナがこんなことに。私は何がどうなっているのか分からず部屋の中から外を見た。そこはまるで地獄絵図のように真っ赤に染った人が沢山倒れていた。その瞬間私は理解した。誰かが王家を恨みこの事件を起こしたのだと。私は少しの可能性を信じて両親を探した。私の両親は謁見室にいた。父は母を庇うように死んでいた。2人とも剣で胸を一突きされて殺されていた。その状況を見ても私は泣くことができなかった。ただ私の胸の中にはなぜ殺されたのか、なぜ自分だけが助かったのかそれだけを考えていた。そんなことを考えていると外で人が話している声がした。このままではまずいと思い、私は王家が唯一知っている逃げ道を使いこの城を出た。







あれから3年が過ぎた。私はあの日のことを今でも鮮明に覚えている。私は名前を変え髪色を変えた。今の名前はエメニスだ。この国にとって3年前の王族殺しの事件は国賊が討たれたという話になっていた。つまりはこの国にとっての害は元王族で今王の座にいる一族が英雄という筋書きになっていた。今では誰もが今の王族こそが本物の王だ言い始めていた。私は当時知ることが出来なかった反逆者たちの名前を知ることができた。彼は…彼らは私の婚約者だったキフェルの一族だった。彼らは一体なぜ私の両親を殺したのか、なぜ私たち王家を裏切ったのか未だに理由は分からない。王家が国賊なはずがない。両親はいつもこの国のことを…国民のことを考えていたはずだ。それなのになぜ……そんなことを考えても答えは出なかった。キフェルが私と婚約したがったのはあの日のためだったのだろう。私と婚約すれば懐に入るのも容易いそう考えたのだろう。私のせいで両親はルナたちは死んでしまったのだ。私は後悔してもしきれなかった。いつか絶対に私自身を犠牲にしてでも復讐をするとと今は亡き最愛の人たちに誓った。

私は今は王都から遠い街の酒屋で売り子をしてる。あの日城から無我夢中で逃げた先でであった酒屋の店主に助けてもらったのだ。

「いらっしゃい。今日は何を飲みますか?」

「やぁ、エメニー相変わらず可愛いの〜どうじゃわしの孫息子と結婚なんてどうじゃ?」

私をエメニーとあだ名で呼ぶこのハオのおじさんは1番慕われているこの街の市長。とっても頼りになる博識な人だ。

「うふふ。私結婚には興味ないわ。ハオのおじ様。悪いけど他を当たってくださる?」

「相変わらずだね〜。そんなに結婚はいやなのかい?変わってる子だね〜周りは早く結婚したいって言う若い子ばかりなのにね〜」

そう店主は私たちの会話に入ってきた。私を助けてくれた、命の恩人 ベニアさんだ。この街はほんとに私にとって第2の故郷と言っても過言じゃないぐらい大切になっていた。

「そういえば知ってるかい?今度この街に王太子のキフェル様がいらっしゃるんですって〜なんでも婚約者になる者を探しているらしいわ。」

そうベニアは言った。私はその話を聞いて心臓がビクリとした。もし私に気づいてしまったら…殺されてしまうのかしら。まだ私の目的を果たしてもいないのに……。

「エメニー?どうしたの…。突然黙ったりなんかしちゃって。」

「なんじゃ、もしかしてエメニーも王太子が来ると聞いて結婚に興味でも湧いたのかい?」

ふたりは私の変わった様子に疑問を持ってしまったらしい。

「違うわ。そんなんじゃないけれど、なぜわざわざこんな遠い街にまで王太子自ら来るのか不思議に思っちゃったのよ。」

「あら〜そんなの決まってるじゃない。あんたに会いに来たんでしょうよ。」

「そうじゃの。お主はこの街で1番の美人さんじゃからの。王都にいる知人から聞いた話じゃがエメニーの噂が王都で広まってるらしいぞい。」

「え、それはどうゆう事ですの?私の噂って……」

「1年前から王太子殿下の結婚相手探しが始まったことは知ってるじゃろう。最初は王都で探してたみたいなんじゃが、殿下は納得しなかったようでの。この国を挙げて殿下が言う条件に当てはまる子を探してる時にお主の名が出たようじゃ。」

「条件ってなんですの。」

「確か、マリンブルーの瞳を持っていて上品さがあり自分と同い年の子じゃったかな。」

それってもしかして私を探しているということなの。あのとき殺し損ねた王家の血筋を絶やすためにこんなことを言い始めたのかしら…。それともただの偶然なの。分からないけれどこの街から出た方がいいのかもしれない。でも今出れば私だってことが丸わかりじゃない。どうすればいいの。

「そうなのね。たしかに私は当てはまってなくもないと言えるのかもしれないわ。でもこの国は広いですわ。同じ条件の人はごまんといるでしょうに。なぜ私なのでしょ。」

「やっぱり全然知らないんだね。エメニーが初めてって訳じゃないよ。条件にあった女の子のところにもう何度か行っているようだよ。まだお眼鏡にかなう相手は見つかってないようだけどね。さあ、私は他の仕事をしなくちゃね。」

そう言い残しベニアは他の接客にまわった。ハオおじさんはそんなに心構えなくても大丈夫だよっと言い残し店を出て行った。今は出ていくべきではないと判断しあの男が来るのを待つ事にした。




あれから数ヶ月、街に王太子殿下率いる軍隊が到着した。街は今まで見た事ないぐらいに賑わっていた。年頃の娘がいる親はもしかしたらの気持ちで殿下の近くに娘をよこした。私は3年ぶりに見る彼を見て不思議な気持ちになった。憎いはずなのに、恨むべき人物であるはずなのに見れたことが嬉しいなんて……ちぐはぐな感情に自分自身戸惑った。それでも顔には出さず遠くから見るだけにした。

それから2日たち殿下は私がいる酒屋に来た。彼は私を見るなり、声をかけてきた。

「初めまして。あなたが噂のエメニス嬢ですか?」

そう彼が聞いてきた。私は内心バレたんじゃないかと冷や汗をかいたがどうやらこの反応は気づいていないようだった。やはり、好きだと思っていたのは私だけだったようだ。じゃなければ気付かないはずがない。

「えぇ、そうです。王太子殿下。初めまして、お逢い出来て嬉しく思います。」

「嫌だな〜。そんなにかしこまらないでよ。僕のことはキフェルと気軽に呼んでよ。」

「そんな、この国の王家の者に失礼がすぎますわ。」

「えーいいじゃないか。まぁでも僕は君が気に気に入っちゃったから僕と一緒に王都に行かない?」

「失礼を承知で言いますが、いくらなんでも軽すぎませんか。この国の王太子ならばもう少し相手のこと見極めるべきだと思いますよ。相手が悪い人だったらどうするのですか?」

「大丈夫だよ。僕は人を見る目があるからね。それに君に一目惚れしたんだよね。だからどうして来て欲しいんだ。」

そう言われて私はどうするのが正しいのか判断できなかった。気づかれたからそんなとこを言うのか、はたまた本当にこの姿の私に気づいてないまま口説いているのか判断がつかない。でも着いて行けば復讐する機会が増える。でも……私は…。

「行っておいで。もし向こうで何かあって辛くなったら帰っておいで。私はあんたを本当の娘のように愛してる。どんなに遠くに行こうと何があろうと私はあんたの味方だよ、エメニス。」

それまで黙って聞いていた殿下は、話し合いが終わったみたいだから一緒に王都に行こね。と言ったあと店を出ていた。まるで今あったことが夢だったかのように感じるそんな気持ちになるほど一瞬の出来事だったように私は思った。





それから私はあの男と一緒に王都に帰った。3年ぶりの王都は相変らず綺麗で昔よりも豊かに見えるのがなんとも言えなかった。私は復讐すると誓ってこの男と一緒に帰ってきたがもし復讐が成功したらこの国はここにいる人たちはどうなるのだろう…そう考えてしまった。復讐するのにほかのことを考えてはダメよ。私は非道にならなければ、死んだ彼らが浮かばれないわ。私は今感じた不安や罪悪感に蓋をし決意を固めた。





それから1年が経った。私は復讐できていない。ここにいればいるほどできなくなっていく感じがしていた。この街が、人々が優しい人ばかりなのだ。この人達の未来を考えれば考えるほどできないでいる。それじゃダメなのに。私はここ王都に帰ってきて王家が住む城に住んでいる。所々は昔のまま残っていた。私が案内された部屋はかつて私が住んでいた部屋だった。さすがに家具などは変わっていたが当時と変わらない面影が残っていて懐かしい感じがした。今私は1ヶ月に1回開催される食事会に向かっている。と言っても忙しくてなかなか家族で集まる時間がないこの国の国王、王妃、王太子が揃って夕食を食べるだけなのだが、何故か婚約者でもない私まで参加させられている。この1ヶ月に1回開催されるこの日が私は1番苦手だった。その日は朝から体調が優れないのだ。顔を合わせればあの日のことを思い出して吐き気がする。私の中で怒りと悲しみが折り重なって自分を保ち続けるだけで精一杯になるのだ。それでも誰も私の正体には気づいていないのがせめてもの救いなのかもしれない。食事中は彼らの話を静かに黙って聞いていれば終わるそれまでの辛抱だと自分に言い聞かせながら食事所に向かっていた。私は中に入ろうとノックをしようとしたが途中で動きを止めた。中の話が聞こえてしまったのだ。

「キフェル、あなたはいつまで彼女をここに置いておくつもりなの?あなただってわかっているでしょう。彼女がこの国の元王女だって。」

「ええ、わかっていますよ。お母様。それでも……」

私はそこまで聞いて今来た道を走って引き返した。そんな外の様子に気づいたらしい彼は私は追いかけてきた。私はどこに隠れればいいか分からず無我夢中で走った。走ってたどり着いた場所はかつて両親が折り重なるようにして死んでいた謁見室だった。この場所は昔と全然変わらないのだと、あの日は血に染まっていたはずなのにだとか場違いなことを思った。そんなことを考えていた時後ろからキフェルが入ってきた。

「……さっきの話聞いていたわ。私がこの国の元王女だと知っていたのね。いつから知っていたの?あぁ、もしかして最初からだったりするのかしら。」

私は乾いた声で笑った。なんと滑稽だったことか。気づかれていないなんて私の勘違い。最初からバレていたなんて、馬鹿すぎるわ私…。

「聞いてくれ、ティアナ。確かに最初からわかっていた。でも僕は…」

「私の名前を気安く呼ばないで。あなたなんかに呼ばれたくないわ。最初から騙していたのでしょ。私と婚約したのだってあなたのお父様の命だったのでしょ。良かったわね、思い通りになって。」

泣きたくないのに涙が止まらなかった。私の人生なんだったのだろう。好きだった人に裏切られて最愛の人たちはみんな死んだ。復讐を遂げると誓ったにもかかわらずそれもできてない。私は懐に忍ばせていたナイフを取りだした。

「何をする気だい、ティアナ。君はそんな危ない物持っちゃダメだよ。」

「うるさいわ、私に指図しないで。どうせこのまま生きていても幽閉されるか殺されるかの2択なら私は自分の手で死ぬわ。さようなら。もう二度と会いたくないわ。」

死ぬのは怖い。でも……このまま彼らの思い通りになんてなりたくないわ。私は覚悟を決め自ら心臓にナイフをつき刺した。痛い。痛い。痛い。心臓を刺してもすぐに死ねないのね…。それでも段々と意識が遠のいていくのがわかる。もし来世があるのなら今度こそ幸せになりたいわ。





………………。

男は目の前で最愛の人が死ぬのを見た。男は動けずただ彼女が死ぬのを見届けるしか無かった。男はやっと動きだし彼女の元まで行った。男はどんどん冷たくなっていく彼女を抱き抱えると彼女に刺さっていたナイフを抜いた。男は泣いていた。

「僕は誰よりも君を愛してるよティアナ。君は僕の天使なんだ。君が笑顔になるなら僕はどんなことだってしてみせる。だから……僕はまた君に会いに行くよ。待っててね。」

男はそう言い残し、手に持っているナイフで自分の首を掻ききった。




続きを書く場合ハピエンになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ