パート16
マヨラはリゾート内に入り、あの洗面所へと向かった。そこでは、遺体が運び出されているところだった。
マヨラは必死に涙を堪えていた。瞳が小刻みに震える。周囲のぼやけた囁き声や人々の話し声が、彼をいっそう追い詰めていく。
—— ガンズ・アンド・ローゼズ (2)
リゾートの外に、数台の車とバンが急停車した。多賀谷がそれを見つめる。それは裏社会の巨大組織のボスのものだった……ワンザ……キ。
車から一人の男が降りてくる。多賀谷警部は不穏な空気を感じ取り、マヨラに合図を送った。マヨラは自分を奮い立たせ、多賀谷の傍らに立った。
その時……。
背後からライフルを構えた男たちが次々と現れた。マヨラが叫んで周囲に警戒を促す。警官たちが外を見ると、すでに数人の男たちがリゾート内に侵入していた。
マヨラはエレベーターへと走り、地上階から上がってくるのを待った。
扉が開くと同時にマヨラは中に飛び込んだが、そこには一人の老人がいた。老人を庇おうとして、マヨラの鼻がエレベーターの壁に激突する。マヨラの思考は怒りで焼き切れそうだった。敵が階段からも来る可能性があることに気づいたその時、背後から銃声が響き渡った。
マヨラが鼻を押さえながら駆けつけると、そこには重傷を負ったオカイラが倒れていた。手足に弾丸を受け、身動きが取れなくなっている。
警官隊とワンザの部下たちによる激しい銃撃戦……。その真ん中で、無実のオカイラが巻き込まれていた。
マヨラは壁の陰から銃を抜き、叫びながら走り出した。弾丸の雨の中、オカイラを安全な場所へ引きずり寄せ、テーブルを倒して遮蔽物を作る。
マガジンを叩き込む音が響く。マヨラは正確な射撃で二人の男を仕留めた。
窓際でカバーを流す警官たち。そのすぐ近くには多賀谷とナズカワがいた。
マヨラは多賀谷に、オカイラを助けるよう叫んだ。多賀谷が弾丸を避けながら駆け寄る。マヨラはさらに前へ出た。倒れた敵のライフルを奪い取ると、フルオートで乱射を開始した……。
窓ガラスが砕け、テーブルや調度品が木っ端微塵に吹き飛ぶ。
血飛沫が舞い、床には血の海が広がっていく。マガジンが空になると、マヨラは別のライフルを拾い上げ、再び火を噴かせた。敵の数人が逃げ出し、ついにワンザがマヨラの射程に捉えられた。
激しく息を切らし、髪は乱れ、傷だらकेのマヨラがワンザの前に立った。
「あの3丁の銃はどこだ……?」
マヨラは沈黙を守る。ワンザが再び問い詰める。
「あのイリジウム弾を使った『プロジェクト・ビースト C2』はどこにある……!?」
かつてマヨラが屋敷でゴラリを仕留めた、あの忌まわしき銃のことだ。
マヨラはライフルの銃口をワンザの額に突きつけた。そして、ゆっくりと銃口を腰の下へと下げ……引き金を引いた。
警官たちが一斉にマヨラに銃を向ける。多賀谷が「落ち着け!」と叫ぶが、マヨラはすべてを無視した。
彼は仰向けに倒れたオカイラの元へ歩み寄った。身体中が弾丸で貫かれ、大量の血が流れている。
「こいつは、王なんかじゃない……」
周囲が困惑する中、マヨラは激昂して叫んだ。
「こいつはボスじゃない!!ただの使い走りだ……!!」
その時、警官隊の要請を受けたSAT(特殊急襲部隊)の指揮官が部下を引き連れて現れた。
8年だ……。8年ぶりに、そのSATの将校は、かつての潜入工作員であった多賀谷とマヨラを冷徹な目で見下ろしていた。
辺りは破壊され、人々は怯え切っている。マヨラ一人に全員の銃口が向けられる中、将校が歩み寄り、マヨラの頭に突きつけられていた銃を無造作に払いのけた。
警官たちが銃を下ろす。
その瞬間、将校はマヨラの頬を力の限り殴りつけた。さらに倒れ込んだマヨラを容赦なく蹴り上げる。壁際まで追い詰められたマヨラの口に靴をねじ込み、冷酷に問いかけた。
「この国を自分の私物だとでも思っているのか?」
マヨラは苦痛に悶える。
「ワンザの腹心という唯一の手がかりさえ、お前は殺した……。よくやってくれたな」
将校は靴を引き抜き、マヨラの顔面を激しく踏みつけた。
「連行しろ(逮捕しろ)」
将校の命令が下る。マヨラが朦朧としながら身を起こそうとする中、多賀谷はただそれを見守ることしかできなかった。
連行されていくマヨラの無残な姿を見つめ、ナズカワの娘の瞳からは涙が溢れ出していた……。




