パート15
水が灰に混ざり合う。マヨラのすぐ傍に立っていたあの女が、灰となって崩れ落ちた。
その恐ろしい顔からは、もう何の感情も読み取れない。
まるで、彼女が後悔と共に灰に還ったかのように……。
—— ウィッシュマスター (A WishMaster.)
かなりの時間が経った後、マヨラは意識を取り戻した。頭を抱え、ふらつきながら立ち上がる……。
目の前には灰が散らばっていた。
彼は前へ進み、まずツネリの元へ向かった。傍に座ろうとするが、まともに座ることさえできない。骨が軋む音が響く。
しばらくツネリを見つめた後、マヨラは声を上げて泣いた。
死体の山の中を独り歩くマヨラは、自分自身も死んでいるかのように感じていた。
「仕事は、まだ終わっていない……」
そう呟きながら、彼は銃を拾い上げる。そして、屋敷を後にした……。
仲間を見捨てて逃げ出した連中を、始末するために。
森は深く、蓮の花は枯れ果てていた……。
屋敷に仲間を置き去りにした者たちが、その中を進んでいた。
長い間歩いた末、彼らは道路に出た。
目の前には一台の車が停まっており、その傍に多賀谷警部が立っていた。彼らは喜び、駆け寄った。
「警部!仕事は終わりました……ゴラリは倒しましたが、誰も救えませんでした。もう、僕たちはエージェンシーを辞められますか?ただ、小さな願い(ウィッシュ)なのですが……」
多賀谷は彼らの姿を見つめた。
「ああ、お前たちは私の子供だ……。私はお前たちのウィッシュマスター(WishMaster)だ。心配するな」
多賀谷はまず煙草に火をつけ、車の窓を覗き込んだ。
少年たちは互いの顔を見て、ようやく解放されると喜んでいた。
その時……。
一人の頭が吹き飛んだ。残された者たちは呆然とした。
血飛沫が辺り一面に飛び散る。転がった頭部を見つめる彼らの瞳は、驚愕で見開かれていた。
多賀谷はショットガンを手に立っていた。そして、容赦なく撃ち始める。
一人の足に弾丸が食い込み、もう一人が必死に逃げ出した。多賀谷はショットガンを下げ、ピストルに持ち替えると、逃げる背中に向かって冷徹にヘッドショットを見舞った。
そして多賀谷は、車内でマヨラを待ち始めた。
夜が更け、ようやくマヨラが姿を現した。彼は車の前で力なく笑い、多賀谷もまた微笑んでいた。
マヨラは車に乗り込んだ。
「気分はどうだ、多賀谷警部……?」
「今朝、3匹の豚を片付けたところだ。4匹目が見たいという願い(ウィッシュ)があったが……お前が来たな」
多賀谷は車を発進させ、アパートへと向かった。
あの古い屋敷は炎に包まれ、3人の遺体もまた姿を消していた。
—— ガンズ・アンド・ローゼズ (Guns and Roses.)
ナズカワの娘の誕生日パーティーが開かれていた。エージェンシーの多くの人間が集まっている。
マヨラは独り、離れた場所に座って皆を眺めていた。
その時、マヨラの視線がナズカワの娘とぶつかった。彼女はずっとマヨラを見つめていた。
マヨラが目を向けると、彼女はすぐに視線を逸らした。マヨラは気に留めなかったが、彼女は再びマヨラを見つめ始める。今度はマヨラもそれに気づいた。その時、ナズカワが記念撮影のために姿を現した。
マヨラは、一人の男がずっと自分を見ていることに気づいた。マヨラが目を合わせても、男は視線を外さない……。
マヨラは席を立ち、リゾートの建物内に入った。
トイレで顔を洗っていると、あの男が隣に来て手を洗い始めた。マヨラが顔を拭こうとしたその時……。
「姉さんのことを思い出さないのか、マーヨ……」
マヨラは硬直した。
鼓動が速くなる。彼は男を凝視した。
「俺は、お前の姉の夫だ」
マヨラの指先が震えた。男は問い詰めるが、マヨラは喉が震えて何も答えられない……。
「何年経ったと思っている……? 言えよ、この野郎(MotherF...)……」
マヨラは説明しようとしたが、男は聞こうとしなかった。
突然、男はマヨラの頬を強く叩いた。そしてシャツを掴んで殴り飛ばし、鏡に向かって突き飛ばした。鏡が砕け散る。
マヨラは反撃しなかった。男はさらにマヨラの頭を机の引き出しに叩きつけた。その衝撃で引き出しのつまみが外れ、床に転がった。
激しい揉み合いが続く中、男がマヨラを外へ連れ出し、その正体を暴こうとしたその時……。
転がっていたつまみに男の足が滑った。男はバランスを崩し、頭を洗面台に強打した。洗面台は砕け、男はそのまま息絶えた……。
マヨラは頭を抱え、その場に崩れ落ちた。どうすればいいのか、何も分からなかった……。
しばらくして……。
マヨラはダンスと音楽で賑わう外へ出てきた。彼は酒のボトルを掴み、半分ほどを一気に飲み干した。
踊り狂う人々の中で、ナズカワ警部が上機嫌でマヨラを労った。
マヨラは酔ったようにふらつき始める……。その時、リゾート内から悲鳴が上がった。
人々が建物へ駆け込んでいく中、マヨラだけがその場に取り残された。彼の目から涙が溢れ出した……。
マヨラは深く息を吸い込み、頭に手を置いた。
窓越しに、ナズカワの娘は独り外で立ち尽くし、片手にボトルを持ったまま震えているマヨラの姿を、じっと見つめていた。




