表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴラリ・エージェント  作者: Adrashika
第3章:刃に捨てられて
13/43

パート13

— Finding Fear (恐怖の追求)

多賀谷タガヤさんは自宅で、散らばった書類や新聞の切り抜きを繋ぎ合わせていた。

「エージェントの報告が正しければ、大和内オウワチ町にこそ、ゴラリの正体を知るための秘密が隠されているはずだ…」

そう心の中で呟き、多賀谷は集めた情報を新たな視点で整理し始める。煙草に火を灯し、仕事に没頭していく。

一方マヨラは、気分転換のためにアパートを出て夜の散歩に繰り出していた。

夜の街を照らすネオンライト。騒音はなく、人々は仕事帰りの家路を急いでいる。

歩いていると、小さな飲食店が目に留まった。客は一人もいないが、店主は熱心に掃除をしていた。マヨラはそこで注文をする。

「10分ほどお待ちください、お客さん…」

店主は作業に戻った。しばらくすると、一人の少女が店に現れ、注文を済ませた。やがてマヨラに料理が運ばれ、彼は食べ始める。続いて少女にも料理が届いた。

マヨラが食べていると、不意に奇妙な臭いが鼻をついた。店主の方を見ると、店主も異変に気づいたのか店の中を確認し始める。

「店主も俺もこの臭いに気づいている。なのに、この少女は平然としている…」

しばらくして、少女は料理を半分残したまま店を去った。マヨラはその様子をじっと見送る。

その時、多賀谷からメッセージが届いた。確認すると、先週起きた事件の報告だった。そこには一人の少年と少女が殺害されたと記されていた。

マヨラがその情報を読み、スマホをポケットにしまって食事を再開しようとした瞬間……あることに気づき、戦慄した。

手の震えが止まらない。持っているスプーンが、まるで鉄の塊のように重く感じられた。食べ物が喉を通らない。

なぜなら、その事件で殺されたはずの少女が、つい先ほどまでマヨラのすぐ隣で食事をしていたのだから。

「なんてことだ(What the F—)……俺は、あいつの隣に座っていたのか?」

「何かおっしゃいましたか?」

店主が尋ねるが、マヨラは無言で首を振り、急いで会計を済ませて少女を追いかけた。

マヨラは必死に周囲を見渡す。目は疲れ切り、心臓が激しく波打っていた。

「どこだ……? 多賀谷さんに報告すべきか、それとも俺が……?」

走りながら少女を捜し続ける。

すると、道端に同じ服を着た女性の背中が見えた。マヨラは一瞬、疑念を抱く。

「……いや、あの女性ではないかもしれない」

だが、足を進めると、例のあの臭いが漂ってきた。

確信はないが、拭いきれない違和感。

「すみません……(Excuse me)」

女性が立ち止まる。その瞳の虹彩は灰色グレーで、肌は死人のように白く、唇だけが異常に赤かった。

マヨラは息を呑む。

なぜなら、呼び止めた女性の少し先を、例の少女が平然と歩き去っていくのが見えたからだ。

「……何か? あなたは誰?」

女性が問いかける。だが、マヨラの意識は先を行く少女に釘付けだった。女性が再び問いかけると、マヨラは我に返った。

「あ、すみません。あなたと同じ服を着た女の子を探していたんです……」

女性はいら立ちを見せながらも、そのまま歩き去っていった。

「バカね……(Fools)」

捨て台詞を残して彼女は消えた。マヨラはしばらく呆然と立ち尽くしていたが、ハッと気づいた時には少女の姿も見失っていた。

マヨラは踵を返し、歩き始める。あの臭いも消えていた。

全力で走ったせいで足が痛む。

マヨラは多賀谷に電話ですべてを報告した。多賀谷はすぐにアパートへ戻るよう指示し、マヨラは重い足取りで帰路についた。

その頃、多賀谷は渋谷エージェンシーの岡入オカイラ警部に電話をかけ、状況を伝えていた。

家に向かっていたマヨラの足が震え始める。目の前に一台の車が止まり、ドアが開いた。最初は戸惑ったが、窓が下がるとそこには多賀谷の姿があった。マヨラは車に乗り込む。

「……どうだった?」

多賀谷が尋ねる。マヨラは目をこすりながら答えた。

「最悪です……」

多賀谷はマヨラが不満を漏らすだろうと察していた。

「いいか、マヨラ。拳を叩き込むには、まず拳を固めなきゃならん(準備が必要だ)」

マヨラは多賀谷を黙って見つめた。

一行は渋谷に到着する。そこにはすでに岡入が待っていた。

「ウィッシュマスター(WishMaster)から連絡やメッセージはあったか?」

多賀谷はその問いに首を横に振る。

マヨラが車を降りる。岡入の視線はマヨラに注がれていた。マヨラを外で待たせ、多賀谷と岡入は密談のためにホテルの部屋へと入った。

多賀谷はまず水を一口飲み、本題に入った。二人は向かい合って座る。

岡入が多賀谷の前に、数枚の書類と紙片を並べた。

「見ろ、ここにある3つの銃。我々が持っているものと同じだ。以前、ゴラリを仕留めるために使われた。……これらには数億円の価値がついている」

多賀谷はその事実に言葉を失った。手が震え始める。

外で待っていたマヨラは退屈しのぎにホテルの外へ出て、あてもなく歩き始めた。

その時、またあの臭いが漂ってきた。マヨラはハッとして周囲を見渡す。あの少女のことを考えるが、今回は……何かが違っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ