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第二話 転生

…ん?どこだここ…意識はしっかりとある。俺は前世ヨナン・グリーフで……


「立て!!何意識失ってんだこの野郎!!」

「ーーーーっは!

ここは…どこだ?」

「何訳のわからないことを言ってんだ!グルージュ!」


男に蹴りを入れられ痛みが生じる。その瞬間、俺は理解した。

俺は前世ヨナン・グリーフであり、”転生”したんだ。そしてこの体はちょうど今物心が付き潜在意識がはっきりとした。だから俺の自我が芽生えたわけだ。


俺は一瞬で記憶を遡り今の”俺”すなわちグルージュと呼ばれる人物の境遇を確認する。


グルージュ。生まれながらにして奴隷でありこの名前は主人によって付けられたもの。日頃から暴行などを喰らっており全身アザだらけ。そしてグルージュが働いている所は犯罪組織の施設場。奴隷はグルージュ一人だけでなく多数おり、全員がグルージュと同い年の子供だ。


グルージュは今四歳。四歳になった今月から働いている。


「いいか?容量の悪いお前のためにもう一度言う。この薬液をこの瓶に入れるだけ。わかったか?」

「……」

「返事は!」

「はい」

「ちっ!最初から聞いとけよ」


四歳に随分酷い扱いだな。

この薬液…匂いでわかる。覚醒液だ。覚醒液とは、体内に覚醒能力が発動する物質が入っているこの液体を取り込むと身体能力が大幅に増加する。だが、その代償として自我を持てなくなる。主にこの薬液は魔法が使えない者が使用する。


しかし四歳にこんな危険な物を持たせるとは…ここは危険だな。

周りを見渡すと俺と同じ年の子が丁寧に薬液を瓶に移している。これは主人の恐怖によるものだ。

もし少しでも主人の恐怖がなくなり油断してこの薬液を体に入れてしまったら大変なことになる。


だからと言って今の四歳の俺ではあまりにも力不足すぎる。


……三年後…三年後だ。

七歳になったらこの施設を破壊する。

そのためにはまずこの施設を隅から隅まで知る必要がある。


ーーパリンッ!

瓶が割れる音が聞こえた。


「ご、ごめんなさい!」


瓶を落としたのは俺と同い年の少女。


「あ?何やってんだてめえ」


近くにいたこの施設の従業員の男が少女に近づき、拳を作る。


「悪い子には罰を与えないとな」


その瞬間、一つのドアが勢いよく開く。中から出て来たのは白髪に背丈の高い男。


「しょ、所長!工場に顔を出すのはお久しぶりですね」

「何をやっている?」

「…何を、、とは?」


所長と呼ばれる男は手を上げようとした男に近づいて行く。


「その手だよ。

まさか、僕の大切なおもちゃに暴力を振るおうとしたのかい?」

「ち、違います!私はただ粛清をとーー」


血が空高く宙に舞う。男の頭が潰されたのだ。


「僕のおもちゃに手を出すとは。無礼者め。おいお前、掃除をしろ」

「で、ですが私は奴隷たちの監視をーー」

「早く」

「承知しました」


……風魔法か。

側から見ればただ手を伸ばしただけに見れるが実際は目に見えない風を操り解き放っている。

だが恐れる必要はない。七歳になればあれぐらいは倒せるようになる。


俺は所長の姿を見た後自分の仕事に戻った。







「今日はここまでだ!部屋に戻れ」


部屋に戻ると、四人1組で構成されておりベッド以外何もない殺風景だった。


「飯だ。分けて食え」


…少ないな。

四歳だとしてもこの量は少ない。まあとりあえず頂くとするか。

味は案の定美味しい物ではない。


「…もういらないの?」


俺が一口食べた後自分のベッドに横になると先ほど殴られそうになった少女が話しかけてくる。


「ああ。俺はあまりご飯を食べないからな」

「…でも、いつもはもっと食べてるよ?無理してるんじゃない?」

「たまたまお腹が空いてないだけだ。大丈夫」


何をそんなに心配する必要がある。お人好しだな。


「なんか変わったな。グルージュ。お前から俺とか聞いたことない。お前はいつも僕だろ」


すると、四人の中で一番ご飯を食べている少年が指摘してくる。


「今日から僕じゃなくて俺にすることにした」

「なんでだ?」

「あいつらに舐められないようにするため」

「バカなのか?あいつらに勝てっこない。あいつらは大人。俺たちは子供だぜ?」

「そうだな。。まあ三年後見といてくれよ」

「あ?なんだよ三年後って……寝てんじゃねえかよ」


今の俺は未熟で子供で何もかも自分で出来ない。だが、三年後、七歳になればある程度力が付く。。

”才能開花”。それは七歳になると自分の魔力が目覚めること。

その時の魔力量や魔力濃度によって才能があるかどうか決まる。


だから七歳になる時まで俺は待つ。


「…お母さん…」

「…親父、、助けてくれよ」

「・・・・・」


みんなそれぞれの想いがある。

俺はその想いをただ叶えるだけ。



俺は拳を固く握り、必ずこの施設を破壊することを決めた。
















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